Thoughts and Notes from NC

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Book

『歴史を活かす力』 「何故、歴史を学ぶのか?」のかという問いへの答え

「何故、歴史を学ぶのか?」、そんなシンプルな問いを子どもから問いかけられたら、小難しい説明はおいておき、「まぁ、この本でも読んでみなさい」と取り敢えず渡してしまいたい、『歴史を活かす力 人生に役立つ80のQ&A』はそんな本だ。 歴史を活かす力 人…

『夢を叶えるための勉強法』 受験は自己肯定感を養う絶好の機会

私は都内の中高一貫の私立学校に通っていた。高校受験はしなかったので、高1の時がおそらく学力の底辺であった。全国模試などは中学受験以来受けたことなどなかったのだが、大学受験に向けて自分の位置を把握するのも大事だろうと考え、高1の終わりに河合…

『自分の頭で考える日本の論点』 新出口節と元祖出口節

日本に住んでいる時に一度だけ出口治明氏の勉強会に参加したことがある。キリスト教が歴史的に見て、何故世界の三大宗教になるまで発展したのかというテーマについて、氏独特の壮大なスケール感を熱っぽく参加者に語る姿が印象的な会であった。勉強会の後の…

『ユニクロ潜入一年』 実力主義の管理職に求められる資質

在宅生活が始まってからスポーツウェア以外は殆どユニクロ一択となっている。日本人の体にあったサイズが米国で買えるという現実的な事情もあるが、気ごこちとコストパフォーマンスを考えると、部屋着については正直他に選択肢が見当たらない。寒くなってき…

『未完の資本主義』 現代資本主義を問う新しい視点

本書『未完の資本主義』は、国際ジャーナリストの大野和基による、世界的に話題を集める知識人へのインタービュー記事である。 未完の資本主義 テクノロジーが変える経済の形と未来 (PHP新書) 作者:ポール・クルーグマン,トーマス・フリードマン,デヴィッド…

『流浪の月』 「ラベル付け」と「無知」

昨年受講した会社の管理職研修でTilt365という自己評価を実施した。物事を考えたり、意思決定をする際に何に重きを置くのかについて、アイデアとデータを縦軸に、結果と人間関係を横軸にとり、自分が四象限のどこに分類されるのかを把握し、それぞれのグルー…

『外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か』 外国語習得の羅針盤

本屋に行けば英語学習の方法論を著した本、並びに参考書は棚に溢れ返り、インターネット上にも同様のコンテンツは検索すらしきれないほど氾濫しており、正に情報の濁流と言っても過言ではない。豊富なコンテンツや情報技術の発達による新しいツール群は、学…

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 多様性と無知について考える

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだ。控えめな評価を与えたとしても、本書は今年読んだ本の中でトップ3に入る面白さであった。 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 作者:ブレイディみかこ 発売日: 2019/06/21 メディア: Kind…

『外国人にささる日本史12のツボ』 日本を語る第一歩

「どこの国に行ってみたいか」という話をアメリカ人の同僚とすると「日本」と答える人は決して少なくない。もちろん、目の前にいる日本人に対していくばくかの配慮があっての話であろうが、同席したブルガリア人の同僚に忖度して「ブルガリア」と答えた人は…

『感染症の世界史』 感染症と人類発展の歴史

新型コロナウィルスの猛威により、2020年5月9日時点で感染者数は400万人を超え、亡くなった方の数は28万人にも及ぶ。SARSについては、2003年9月26日にWHOが発表した限り感染者数は8,098名で、死亡者774名というから、正に桁違いのインパクトである。歴史を紐…

『福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」』 ブラック・スワン後の世界

前回紹介した『死の淵を見た男』は、ノンフィクションでありながらヒーロー性に富む物語でもあり、『Fukushima 50』という形で映画化される程だ。事実に忠実ながらも、現場 vs 東電本店と官邸という対立軸を用いることにより物語性が高まっている。東電本店…

『死の淵を見た男 』 事故現場の「底力と信念」の物語

いやぁ、久しぶりにものすごい本を読んだ、読後感はこの一言につきる。Kindleでページを手繰る際の一瞬の間が苛立たしい、そんな読書経験は本当に久しぶりであった。 本書は、東日本大震災の福島第一原発事故の現場のルポである。福島原発を襲う津波、電源の…

『強いチームはオフィスを捨てる』 リモートワーク導入で問われる管理職の資質

ウィルス騒動で日本でもリモートワークが少しずつとりいれられてきた模様。私は日本に住んでいる頃は、中央線と山手線を利用していたので、通勤ラッシュ時で消耗されるエネルギーの量はよくわかる。その通勤に費やされていた力が、仕事や私生活に振り向けら…

『宗教改革の真実』 宗教改革とブロックチェーンの意外な接点

王侯貴族や政治家の行動に焦点をあわせ、革命や戦争などの出来事をおい、社会の大きな変化に焦点をあてる歴史学に対し、社会の中下層の人に焦点をあわせ、百年単位では変わらない制度や習慣やものの考え方をとらえる社会史。ルターの贖宥状の販売に異を唱え…

『ブロックチェーンの描く未来』 記録と契約のパラダイム・シフト

「あれ、筆者は大学の教授、研究員だったけ?」という錯覚を覚え、筆者の経歴を確認することが読んでいる間に何度かあった。本書『ブロックチェーンの描く未来』に溢れるのは新技術への熱狂といよりアカデミックな探究心だ。 ブロックチェーンの描く未来 作…

『WHY BLOCK CHAIN』 ブロックチェーンの切り拓く未来

私はオープンソースを事業の中心に据える会社に勤めてもう10年以上になる。転職した当時は、ビジネスの世界ではまだメインを張れるほどメジャーではなかった。転職前の会社は日本法人が2万人以上いる外資系の巨大IT企業に勤めていたので、「お前、ノーア…

『なんでもわかるキリスト教大事典』 キリスト教を横軸で捉える

先日読んだ『キリスト教から読む世界史』がキリスト教を歴史という縦軸で捉える本だとしたら、本書『なんでもわかるキリスト教大事典』は教派という横軸で捉えている。 なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫) 作者: 八木谷涼子 出版社/メーカー: 朝日新…

『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』

あまり将棋界に詳しくない私が棋士先崎学を私が知ったのは、人気将棋漫画の『3月のライオン』だ。先崎九段は『3月のライオン』の監修をされており、その単行本の中で将棋にまつわるコラムを掲載し、将棋界の広報活動に尽力されてきた。その豊かな表現力とユ…

『ニューヨーク日本人教育事情』 20年以上進歩のない海外子女教育

先日、子どもの通う補習校の古本市で『ニューヨーク日本人教育事情』を購入した。補習校の古本市は年代ものの本が発掘されることが多いが、本書は1993年初版、実に20年以上前の新書である。こんな古い本を読んでも参考にはならないだろうと思いつつも、補習…

『つながりっぱなしの日常を生きる』

中年女性社会学者によるアメリカの若者の声の代弁、というとシニカルすぎるきらいがあるが『 It’s Complicated(邦訳:つながりっぱなしの日常を生きる)』はそんな本だ。筆者のダナ・ボイドはソーシャルメディア、若者の教育問題の専門家。2009年には”Women…

『ゼロ』 ホリエモン、塀の中でなお自由を語る

『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』というタイトルが、昨年11月に家族と渡米し、新しい環境で日々悪戦苦闘する自分の心象風景にあてはまるように感じ、本書を手にとる。読み始めてすぐに思った、これはアタリだと。 ゼロ なにもない自分に小さ…

『経営論Z』 「個」の力の最大化と「理想の組織づくり」

世に経営本は多いが、一般的な考えにとらわれず、筆者自らが原理原則に立ち戻り、本質論に迫る本は少ない。また、世に経営者は多いが、経営者にしかできない仕事のみを徹底的にやっている経営者もこれまた少ない。本書は、20年にわたり経営者にしかできない…

『スタンフォードの自分を変える教室』 自分を変えるのではなく、知り、受け入れる

「やるべきことができない、続かないのは、あなたのやる気の問題ではなく、仕組みの問題」という最近の自己啓発に流行である「仕組至上主義」に食傷気味の方には本書はおすすめ。「仕組至上主義」は自らの意志力の弱さという自己管理上避けては通れぬ道をあ…

『不格好経営 チームDeNAの挑戦』 立案と実行の間の隔たりを埋める知恵

「何でも3点にまとめようと頑張らない。物事が3つにまとまる必然性はない」、本書『不格好経営』にはこんなコンサルタントあがりが思わずほくそ笑んでしまう言葉があふれている。 不格好経営―チームDeNAの挑戦作者: 南場智子出版社/メーカー: 日本経済新聞出…

『モダンガール論』 「仕事と家庭の両立」にまつわる歴史のあれこれ

私はジェンダー論を好んで目を通すほうではない。論理的かつ客観的であることを試みている文章でも、男性社会に対する恨み節であったり、恵まれない境遇への悲壮感であったり、善悪に固執する煙たい正義感が充満するものが多く、今ひとつ素直に読み込むこと…

『転がる香港に苔は生えない』 地面を疑わず苔むす日本

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)作者: 星野博美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 86回この商品を含むブログ (35件) を見る資本主義路線を歩みながら、国家として社会主義の面子を絶対に捨てない中国。何より…

『成功は一日で捨て去れ』 ファーストリテイリング 社員と経営者が直面する苦悩

前著「一勝九敗」は2002年11月に代表取締役社長の座を玉塚氏に引き継ぐまでの物語、本書「成功は一日で捨て去れ」は2005年9月に柳井氏が代表取締役社長に返り咲いた後の物語ととらえて、大枠で間違いはないだろう。経営に原理原則を貫き、ぶれることのない筆…

『ブラック・スワン降臨 9.11-3.11 インテリジェンス十年戦争』 本書自体がインテリジェンス

ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争作者: 手嶋龍一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/12メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (8件) を見る『ブラック・スワン降臨 9.11-3.11 インテリジェンス十年戦争』…

『挫折力』 経営書と現場の乖離をうめる発想

『ビジョナリーカンパニー』は名著ではあるが、『ビジョナリーカンパニー』を参考にしながら、ビジョナリーカンパニーを作れる人は万に一人としていない。よく整理されており、視点も斬新で、否定のしどころがないビジネス書を読んでも、ビジネスの現場から…

『北方領土交渉秘録 失われた五度の機会』 次世代の外交官へのエール

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)作者: 東郷和彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/04/26メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (7件) を見る元外交官東郷和彦による北方領土交渉の歴史を綴った文庫本にして548ペー…

Creative Commons License
本ブログの本文は、 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 非営利 - 継承)の下でライセンスされています。
ブログ本文以外に含まれる著作物(引用部、画像、動画、コメントなど)は、それらの著作権保持者に帰属します。