Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

『結局、炭水化物を食べればしっかりやせる』 脱なんちゃって低糖質ダイエットすすめ

健康志向の高まりを受け、健康系のパワーワードを製品に入れるというのは、デフォルトになりつつある。その中で「低糖質」、「糖質オフ」、「ロカボ」というのは近年最も目につく売り文句であり、もはやバズワードと言っても過言ではない。いつの時代から「白米」は悪者になってしまったかもはやわからないが、最近の「糖質」を目の敵にする食品メーカーのマーケティング熱は尋常ではない。

 

そんな時代の流れに逆らうような勇気ある良書、『結局、炭水化物を食べればしっかりやせる』を紹介したい。本書の要点をかいつまむと、

  • 「糖質・炭水化物」を食べると太りやすくなるというのは誤解であり、「糖質・炭水化物」はむしろ脂肪にはなりにくい
  • 「糖質・炭水化物」は減らせば体重は少しは下がるが、体の水分量が一時的に落ちただけであり、脂肪は実際には減っていないのでダイエットにはならない
  • 運動量を上げれば、「糖質・炭水化物」は自ずと消費でき、きちんと運動のエネルギーである「糖質・炭水化物」を摂取して、運動をきちんとするのが健康的なダイエットである
  • 減らすべきはむしろ「脂質」であり、「脂質」の摂取量に注意を向けずに、なんとなく「糖質・炭水化物」だけを減らすのは誤りである

という感じである。

 

 

私も実は、「低糖質」という世の中の流れに乗っかって、夕食ではご飯ものは極力食べず、朝もジューサーを買ってスムージーなどを飲み、昼間もサラダチキンと野菜というような食生活が習慣づけてきた。確かに、「糖質」を絞ると「絞りはじめ」は、「おっ!?」という感じで体重が落ちる。が、2キロくらいで下げ止まり、それ以上下げることがなかったので、本書の内容は納得できた。また、私はランニングをするのだが、「糖質」を抑えめにすると正直バテるのが早い。ある距離を超えるとがくっとペースが落ちて、体が途端に重くなり、足が前にでなくなる。体のグリコーゲンが枯渇した中で無理やり足を進めても、とても気持ちのよいランニングにはならず、苦心していた。

 

実は最近、パーソナルトレーナーに指導を受けながら、体全体の筋肉を増やそうと勤しんでいる。そのため、「低糖質」生活をすっかり脱却して、現在は一日300g〜350gを目安にせっせと「糖質・炭水化物」をとっている。朝は、白米を食べ、昼は蕎麦やうどんを食べ、夜も白米かパスタを食べている。それだけでなく、間食にみかん、バナナ、クラッカー、焼き芋などを取り込む「高糖質」、「糖質オン」、「ハカボ(?)」生活を送る毎日だ。まずは、体全体をバルクアップして、筋肉と脂肪をつけて、そこから脂肪だけを絞っていこうという作戦の中の現在は増量期だからだ。「高糖質」生活の良いところは、何と言っても運動が気持ちよくできることだ。走っても、筋トレをしても、前以上に「粘り」がでて、気持ちの良い汗を長くかけるのが心地よい。しっかり「脂質」を抑え、運動をしている限りに追いては、正直「よっしゃ、今日は「糖質」をかなり多めに摂れたぜ!」という日でも体重はなかなか増えてくれない。一方で、「あちゃぁ、今日は脂質多めになっちゃたな」という日の次の日の計量では、如実に体重増がみてとれる(私は20%を目安にしている)。

 

ケトジェニックダイエットくらい極限まで糖質を抑え、脂質をその分計画的にとるのであれば話は別であるが、何となく「低糖質」や「糖質オフ」をうたった食品を食べても、体を絞ることはできない。「低糖質」や「糖質オフ」商品を見たら、成分表の「脂質」量もチェックしてみると良い。多少糖質を抑えたところで、糖質と同量くらいの「脂質」が入っていたら、ぶっちゃけダイエット効果はないどころか、マイナスだと思う。「糖質」にのみ注意を払い、「脂質」に注意を向けないというのは本末転倒であり、「なんちゃって低糖質」なのだ。

にもかかわらず「低脂質」・「ローファット」をうたっている商品は、「低糖質」・「ローカーボ」と比較すると非常に少ない気がする。それは、おそらく万人が「美味しい」と感じる味を「低糖質・低脂質」で実現するのは難しいからだと思う。なので、本当は「脂質」を抑えないといけないとしりつつも、比較的美味しさを維持しやすい「低糖質・中脂質」製品が世にあふれているのだろう。もう一度繰り返させて頂くが、「低糖質」や「糖質オフ」商品を見たら、成分表の「脂質」量も是非チェックして頂きたい。「脂質」が「糖質」より高かったり同等だったりしたら、ダイエット食品としての意味はないので、そっと棚に戻すことをおすすめしたい。

 

健康的な生活の送り方は、それぞれにライフスタイルにあわせたものでなければならない。なので、それは人それぞれで「これなら全ての人に大丈夫」なんてやり方は絶対にない(私が書いたことも必ず読んだ方に当てはまるとは限らない)。なので、自分で学習をして、自分の体に問いかけながら、すこしづつ自分なりに健康的なライフスタイルを作っていくことだ一番大事だ。この「低糖質」や「糖質オフ」のマーケティングの嵐を乗り越えるための素養を身につけるために、『結局、炭水化物を食べればしっかりやせる』は絶好の学習書なので、健康志向の皆様には是非手にとって頂きたい。

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