Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

経済的に成功するためのキャリアパス

変わらず根強く残る就職観

「一流大学に入って一流企業に就職する」、そんな古典的なキャリア観が廃れてから久しい。と、私は思っていたのだが2024年の就職人気企業ランキングをみるとそうでもないらしい。総合商社、保険会社、大手都銀などがトップ20の殆どを占めていることに驚かされる。

https://job.career-tasu.jp/special/ranking/1_01.html

 

複数のランキングがあったが、上位陣の中での順位の変動はあれど、保険会社、都銀、総合商社が上位を占める傾向は今も変わらないようだ。「給与が高く、安定感がありそうな大企業」が根強く人気な理由は、「安定した大企業に就職して高給をえる」以外の魅力的な就職観が提示されていないからだろう。

 

「手に職」型という新風

上位50位くらいまで範囲を広げてみると、アクセンチュアやPwCコンサルティングのような採用人数が多めのコンサルティング会社がランクインしている。これは「手に職をつけてキャリアアップの足がかりとする」という就職観が浸透してきている証でもある。いわゆる日本の大学の中で最上位校と言われる大学に絞るとより、その傾向は強いようで少し安心できる。魅力的なキャリアパスがあれば、そちらに学生はなびくのだから、大人がもっと他の選択肢を若者に教えてあげないといけない。なので、ここでは、将来の経済的な成功を目指す上で、「一流大企業に就職する」、「コンサルティング会社に就職する」以外の方法を2つほど紹介をしたい。

 

株式性報酬の取得:搭載すべきもう1つのエンジン

1つ目は山崎元氏著の『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』から引用となる。

株式性の報酬を目指す働き方は、個人が安全に使えるレバレッジ(梃子)として、現在最も有利なものだろう。

株式性の報酬とは、自社株の付与、ストック・オプション、RSU(勤続年数など一定の条件を満たしたら付与される自社株)などのことだ。給与とは別に、株式性の報酬を約束してくれる会社に就職しようという作戦だ。
正直、自分の実績に応じてコツコツとあがる給与からえられる富には限界がある。会社が売上を伸ばしたところで、その伸び率に応じて給料があがり続けるわけではないし、1回の昇給額も限りがあるからだ。
その反面、株式性の報酬は事業規模の増加に応じて上昇する傾向が強い。会社員の給与が20倍になることはそうはないが、株式は20倍になることはそれほど珍しいことではない。「株式性報酬の取得」というのは、給与の他に確保すべきもう一つのエンジンであり、うまく行けば給与エンジンではいけない領域に一気に連れて行ってくれる爆発力を持つ。

安定して比較的高めの給料のみを支払ってくれる会社より、安定はしてないがそれなりの給与と爆上がりの株式性の報酬を受け取り、両立てで経済的な成功を負う、というのは今後は間違いなく検討すべき魅力的な会社との関わり方だ。

 

海外でのキャリア構築:異なる重力で高く跳ぼう

もう一つの道は、海外でキャリアを開くというパスだ。年収1千万円が日本では高給の一つの基準となっており、これは30年間物価があがらなかったこともあり、昔から変わらない。30年前は違ったが、今となっては年収1千万円というのはアメリカの大卒の初任給に近い。日本でも賃上げがようやく叫ばれ始めたが、日本が30年間給与をあげない間に、他国の給与水準というのは果てしなくあがっているのだ。なので、日本国内企業で昇進昇給するのと、アメリカの企業で昇進昇給するのは全く異なる。同じ脚力でジャンプしてもアメリカでは倍以上高く跳べるのだ。高く跳ぶことを目指すのであれば、重力が低いところで跳ぶにこしたことはない。
勿論、語学やビザなどのハードルがあるので、日本の大卒の学生がいきなりアメリカの企業に直接採用してもらうのは、一流エンジニアとかでもない限り難しい。ただ、キャリアパスとして、日本の大企業で出世を重ねるより、海外移住を視野にいれたキャリア形成というのは十分に検討すべきオプションだ。なお、NOTEでは、そうやって海外で活躍している人たちが沢山の刺激的な経験をあげているので、そういう話も是非参考にして頂きたい。

 

まとめ

若者のキャリアの選択肢として「株式性報酬の追求」と「海外でのキャリア構築」という2つを紹介した。この2つは勿論デメリットとして「一流大企業への就職」よりリスクも難易度も高いかもしれない。「理屈ではわかるけど、、、」という方たちに山崎元氏の本からの引用文をもう一つ紹介したい。

経済の世界は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸い上げるようにできている。

『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』

日本企業もますます資本効率性を意識した、株主重視の経営にシフトをしてきており、この流れと資本主義経済がひっくり返ることはしばらくはない。許容範囲のリスクを積極的にとって、明るい未来への展望を開いていただきたい。Good Luck。

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