Thoughts and Notes from NC

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

『哲学と宗教全史』 世界の成り立ちや人間の生きる意味とは何か?

「世界はどうしてできたのか、また世界は何でできているのか?」、「人間はどこからきてどこへ行くのか、何のために生きているのか?」という問いに対して、人間がこの三千年の間にどのように取り組んできたのかを一冊にまとめてしまおう、本日紹介する『哲学と宗教全史』はそんな意欲的な本だ。 

 

著者は本ブログで登場回数が最も多いであろう出口治明氏。私はアメリカに住んでいるので、読む本の殆どは電子書籍ではあるが、直感的に「これは紙だな」と感じ、日本から取り寄せたが大当たりであった。古今東西の宗教史と哲学史がもれなくカバーされており、『哲学と宗教全史』の名に恥じない名著だ。通読して全体のダイナミズムを感じるもよし、個別のテーマについて辞書的に使用するのもよしで、哲学と宗教について興味がある人には必携と言っても過言ではない。

 

本書の一番の魅力は何と言っても縦横の幅の広さだろう。最古の宗教と言われるゾロアスター教が生まれた紀元前1000年に遡ることにあきたらず、人間が狩猟生活から定住生活にシフトし、衣食足りて世界の成り立ちや自分の存在価値を考え初めたという、哲学と宗教の起源にまで考えを馳せるそのスケール感の大きさは、まさに出口氏の真骨頂だ。もちろん、横についてもキリスト教を中心とした西洋の宗教観に限定せず、イスラム教、ヒンドゥー教、そして中国の諸子百家までカバーし、世界の至るところ起きてきた知の爆発をあますところなくとらえようという守備範囲の広さは圧巻である。広く、大きく宗教と哲学をとらえることで、世界や自分自身について人間は考えるべくして考えてきたのだということが感じられる。

 

宗教や哲学は、「世界の成り立ちや人間の生きる意味とは何か?」という問いに対する答えを探すための人間の営為であり続けてきた。哲学から派生した自然科学が発展し、「人間は星のかけらから生まれ、動物であるがゆえに次の世代を残すために生きている」という結論が科学的に導き出されたわけだが、筆者は「皆さんはこの結論で、自分が生きている意味や世界の存在について納得しますか?」と問いかける。客観的な科学現象を超えたところに、「まだわれわれが捉えることができていない人間が生きる意味や世界の存在理由があり、それこそがこれからの宗教や哲学が切り拓いていくべき、新しい問いなのではないか」という問題提起を聞くと勇気がわいてくるではないか。

 

 

そんな新しい地平を切り拓いていくには、知の巨人たちが積み重ねてきた思考の蓄積に乗っかる必要がある。本書は、難解な宗教論や哲学が、筆者お得意の易しい言葉で丁寧に解説されており、教科書として申し分ない。深堀りしたいところをぱらぱらっとめくるには、やはり紙の本に勝るものはない。まだ読んでいない、または哲学や宗教の入門書が読みたいという方は、夏休みの課題図書として購入することを強くおすすめる。

『自己肯定感を上げるOUTPUT読書術』 世界で一番優しい読書のススメ

「本要約動画」というのは、YouTubeで確固としたカテゴリーを築いたと言っても過言ではない。アメリカ在住の私は、新聞や雑誌などの日本の書評が身近にないので、YouTubeの「本要約動画」は散歩中に聞き流すお気に入りのコンテンツだ。

が、その一方で最近の「本要約動画」は私には軽いものが多すぎる。タイトルはぱっと見で興味関心をそそられるが、2時間もかからず読めるような本を10〜15分ほどで要約したものの何と多いことか。食事に例えれば、何となく健康に良さそうなサプリのみをとって、実質的には小便と一緒にトイレに流れるだけ、というのと似た感覚をそういう動画の視聴経験から覚える。残念ながら「あぁ、この本は読んで見たい」と読書意欲を掻き立てられることは少ない。

もちろん、YouTuberの皆さんもアクセス数を稼いでなんぼなので、人目を惹きやすい本を中心に選ばざるをえないという事情があるのもわかる。が、そうするとどうしても、YouTubeの「本要約動画」映えがする本ばかりがタイムラインに並んでしまい、それが最近の悩みだ。

そんな軽めの「本要約動画」全盛の中で、本日紹介する『自己肯定感を上げるOUTPUT読書術』の著者であるアバタロー氏は、異彩を放つ「本要約動画」YouTuberだ。2021年7月時点で登録者20万人を超え、とりあげる本も下記のような哲学・思想系の骨太の古典ばかりだ。

  • 『ツァラトゥストラ』 ニーチェ
  • 『自由からの逃走』 フロム
  • 『方丈記』 鴨長明

難解な古典を、読者に寄り添った丁寧かつ平易な言葉で巧みに解説してくれ、いつも大変勉強させて頂いている。わかりやすさの源泉は、アバタロー氏自身が「わからない」から「わかる」に至った読書と思考の仮定に特に注意を払っているからだろう。マウントをとって「どうだ、俺はモノを知っているだろう」という外連味がなく、自らが歩んだ途に、案内板付きで、「どうぞこちらにお進みください」と読者を導こうとしている優しさがひしひしと伝わってくる。

 

そんな最近のお気に入りのチャンネルの運営者である氏が『自己肯定感を上げるOUTPUT読書術』という本を書かれたというのだから、これは読まなくてはならない。

自己肯定感を上げる OUTPUT読書術

自己肯定感を上げる OUTPUT読書術

  • 作者:アバタロー
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
Amazon

 読後に一番初めに浮かんできたのは、「世界で一番優しい読書のススメ」という言葉だ。アバタロー氏は本を書いても、動画の通り優しい方であった。

 

本書は、「読書を通して、以下に自分たちの人生をより良く、より豊かにしていくか」というタイトルの通り読書術についての本だ。既に読書が習慣付いている人にも、哲学・思想系の本を見事に読みこなす氏の読書スタイルは大変勉強になる。が、普段から本を読まない人も、そのメインの読者ターゲットになっている点が興味深い。

  • どうやって、本を選べばよいのか
  • どうやって、本を読み進めていけばよいのか
  • どうやって、本の内容を咀嚼し、自分の学びとすれば良いのか
  • どうやって、読書経験を通して、自己肯定感を高め、人生を充実させることができるのか

という点について、ゆっくりしたペースで、丁寧に読者を導いてくれる。読書が習慣付いている方からすると、少しまどろっこしいなぁ、と感じるところもあるかもしれない。が、一人の本好きの人間として、ここまで読書の魅力を見事に描ききることができるかと言ったら、私にはとてもできない。なので、本好きな人にとっても、読書の魅力を再確認する読み物として大いに楽しめるはずだ。

 

アバタロー氏の動画の特徴は、本の内容だけでなく、その筆者の人生もかなりの時間をさいて解説するところにある。「この本の要点は3つあります、ワンツースリー」と進める動画が多い中で、「筆者の歩んだ人生をある程度理解しなければ、その思想も十分に理解することはできませんよ」、とただの本要約に留まらないのが魅力の一つだ。そして、氏のチャンネル購読者にとって嬉しいことは、本書の最後でアバタロー氏自身が、どうやって読書を通して自身の人生を切り拓いていったかが紹介されていることだ。本書を通して、氏の成り立ちを知ることができ、チャンネル購読者には新たな楽しみを与えてくれるはずだ。

 

本好きな人にも、本なんて最近読んでないという人にも、本書は強くお薦めしたい。読書の魅力が余すことなく語られているので、中学生や高校生の子どもたちにも是非読んで欲しい。筆者の優しさに触れ、本好きな子どもたちが増えることは間違いない。

『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』 良い文章を書くための道標

「良い文章を書きたい」

文筆家に限らず、こういう想いを持っている人は多いはずだ。特にブログが浸透し、誰でも自分の文章を世に発信できるようになった現在、そういう想いを持っている人はますます多くなっているに違いない。その一方で、

  • どうすれば文章が上手くなるのか
  • どんなことを日々心がければ良いのか
  • どのように自分の文章力を磨けば良いのか

というのは非常に難しい問いだ。「文章術」というのは学校でそれ程体系立てて学ぶわけでもなく、会社でみっちり研修があるものでもない。本屋に行けば文章術の本が溢れてはいるが、量が多すぎてどれを手にとったら良いのかわからない、と悩みをさらに深くする人も多いだろう。そんな悩める人のために『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』は強くお勧めできる一冊だ。

 本書は、選びぬいた100冊の文章術のベストセラー、ロングセラーから、ポイントを抽出し、多くの本で紹介されている上位40のポイントをランキング化してまとめたという画期的な本だ。

100冊の本の筆者は、三島由紀夫、川端康成などの文豪、外山滋比古、本多勝一などの大御所、池上彰、佐藤優などの現代の第一線で筆を振るう現役選手、そしてデール・カーネギーなどの海外勢と正に多士済々。100冊の要点を1冊読めば、とりあえずおさえることができるというのが、本書の一番の魅力である。が、本エントリーでは、そういうお得感に追加して、本書の以下三点の魅力を紹介したい。

  • 対立した考えが紹介されている
  • テクニックを超えた原理原則も紹介されている
  • 自分にあった文章術の本を見つけることができる

 

対立した考えが紹介されている

  • 21位 とりあえず、書き始める
  • 25位 書き始める前に「考える」

というような一見対立する考え方が、本書では共に紹介されている。これは、100冊の本からの抽出したポイントをランキングするという本書の形式に起因する。決して矛盾ということではなく、文章術に唯一絶対の答えはない、ということの証左だろう。
ある文章の達人は、「事前に要点を熟慮してから書きなさい」と良い、別の文章の達人は「まぁ、まずは書き出してご覧なさいよ」と言っている。「自分にあったスタイルをとっていいのですよ」というメッセージであり、もっと言えば「その時々のあなたの考えのまとまり具合や取り扱うテーマに応じて適した方法を選びましょうよ」というメッセージともとれる。こういった対立軸を一つの本の中で紹介するのは、一人の人が書いた本の中では難しい。この対立した考えが紹介されている、というのは本書独特の魅力の一つだろう。

 

 

テクニックを超えた原理原則も紹介されている

文章がすぐに劇的に上手くなるテクニックがあれば良いのだが、そう簡単なものではない。本書のように、要点をまとめてくれた本を読むと、できた気になってしまうのは困ったものだ。先人たちは、そんな浅はかな私たちの期待をお見通しで、下記のような示唆を提示してくれている。

  • 28位 日頃から内面を豊かに耕す
  • 31位 テクニックでごまかさない

テクニックだけでなく、それを超えた原理原則も紹介されているのは本書の大きな魅力の一つだ。文章術の本を読むと、お手軽なテクニックに目移りしてしまうが、下記のように諭されると、良い文章を書くのに近道はないのだということに改めて気付かされる。

「言葉は身の文」と言われるように、言葉は、書き手の人柄、品位、心の様子、生活をあらわします。「言葉は心の使い」と言われるように、言葉は、その人が心に思っていることを自然とあらわします。

人生観がきちんとしていないと、人の心に響くような文章を書くことができない、ということを常に心にとめておきたい。

 

自分にあった文章術の本を見つけることができる

本書は、文章術の要点がコンパクトにまとまった良書であるが、さらっと本書を読むだけでは決して文章力は向上しないことにも気付かされる。表面をさらっとなでるだけでなく、自分が心に引っかかったポイントについてさらに深堀りをし、「あぁでもない、こぉでもない」と七転八倒しないと、文章の達人には近づくことは決してできない。七転八倒の一ステップとして、本書をインデックスとして用い、自分にあった文章術の本を見つけるというのは、深堀りをするとても有効な方法だ。

本書では、筆者の選んだ100冊から多くの引用が紹介されている。心に強く響く引用もあれば、それほどでもぐっとこない引用もある。筆者の選んだ各書の読みどころを元に、今の自分に多くの気付きを与えてくれる、自分にあった文章術の本を見つけることができる、これも本書の大事な要点の一つだ。

 

繰り返すが本書を読んだだけでは、残念ながら良い文章が書けるようにはならない。だが、本書はその長い道のりを歩むための道標となってくれることは間違いない。

 

「良い文章を書きたい」

そう思っている全ての方に本書をお薦めしたい。

10秒で仕上げる英文メールの書き出し メールの背景・目的編

仕事で英文メールを書く機会が増えている人は多いだろう。慣れないうちは、時間もかかるし、自分の書いた内容に自信が持てないものだ。本題に早く入りたいのだが、導入部でつまづき時間がかかるというのは、よくある悩みだろう。

 

  • 送るメールの背景を簡潔に書きたい
  • 実施した会議のフォローをして、相手のアクションを促したい
  • 自分の対応している案件の状況報告をしたい

 

上記のシーンは、仕事をしていれば日常的に発生する。日本語メールであれば、何も意識をすることなく、導入部を済ませて本題にすぐ入れるのに、英文だと一行目が重い、と悩んでいる方は多いのではないか。だが、実はこの「英文メールの書き出し」というのは実はそんなに難しいことではない。それぞれのシーンで鉄板の型があるため、その型さえ覚えてしまえば書き出しを10秒ですますことができる。効率的に仕事をすすめるためには、書き出しに時間をかけないことはとても大事だ。

 

私は仕事で英語を使い初めて15年ほどたつ。現在はアメリカに住み、アメリカの現地企業に日本人一人で仕事をしている。一日に300通くらいのメールを読み、50−60通くらいのメールを英語で書いている。さすがに、書き出しでつまづくことはないし、本題をどうまとめようかと考えながら、手が自然に動いて導入部分を書き終えるということが殆どだ。私は同僚のアメリカ人が送付したメールから使えそうな言い回しを抜粋してストックしている。このシリーズでは、そのストックの中から頻繁に使っている鉄板の型を紹介し、読者の英文メールを書く時間の大幅な削減のお手伝いをしたい。

 

 

送るメールの背景や目的を簡潔に書く

 新規にメールを書く場合、そのメールの目的や背景を冒頭で簡潔に書くことが求められる。背景や目的が明らかな場合は、省力しても構わないが、下記のような場合は、背景をきちんと書いたほうが、相手の理解やアクションを促しやすい。

 

  • 期日付きで何かを依頼する場合
  • 宛先に自分が普段コンタクトをとらない人が大勢入っている場合
  • 多くの人に何かを周知する必要があり、かつその内容が長い場合

 

書き出しが冗長だったり、たどたどしいと注意を払ってもらえないので注意が必要だ。多くのアメリカ人はメールの内容を逐一確認し、理解をして、丁寧に対応することはしない。ぱっと見、面倒くさそうなもの、わかりにくいものは、平気で処理済みのフォルダーに放り込んでしまう。丁寧なメールを書いたのに全く返信がないという経験をした人は多いだろう。「わかりにくいものはスルー、もしそれが本当に重要だったらまた言ってくるだろう」というマインドなのだ。前置きが長くなってしまったが、3つほど鉄板の表現を紹介したい。

 

I am reaching out to you to 〜 (〜の件で連絡をさせて頂きます)

<例文>
I am reaching out to you to get a better understanding of how the account level quotas for North America region were set.
北米の顧客毎のターゲットがどのように設定されたのか、確認するための連絡をさせて頂いております。

 この書き方は、自分が相手に連絡をしている理由を自然に説明することができる。"The reason I am reaching out to you"という言い方でも、もちろん意味は通るのだが、少しもさっとした印象を受ける。また、この”reach out to”というのは、色々なシーンで使える便利な表現。何かこちらからの手助けを申し出たり、相手の注意関心を引きたい時によく使うので、書き出しに限らず覚えておくと便利だ。

 

本題からは外れるが、”get a better understanding”というのも便利な表現。「いや、わけがわからないんだけど、どういうこと(怒)」という時があると思うが、"Please help me to get a better understanding of how 〜"という言い方は、"not sure where you are coming from"とかより、ずっとマイルドなので、相手の支援がえられやすい。アメリカ人は攻められると、ガードが固くなるので、「私がより状況を理解するのを助けてもらえませんか」と言ったほうが、返事をもらえる可能性が高くなる。

 

 

I wanted to send you a update on 〜 (〜の件について状況の報告をさせて頂きます)

 <例文>
I wanted to send you a quick update on the current progress of the project as follows.
プロジェクトの進捗につきまして、以下の通り手短に報告させて頂きます。

 進めているプロジェクトなどの仕事の進捗を報告しないといけないシーンは多い。そんな時に、書き出しとして使えるのが上記の表現だ。主語を省略して、"Wanted to give you an update on"というように書く人も結構多い。進捗報告ではなく、もう少し内容について説明したい場合は、"I wanted to send you a note that 〜"みたいにしてthatの後に文章をもってくるやり方もある。

 

なお、この表現はよくでてくるのだが、wantが過去形なのがずっと謎であった。英文法などに詳しそうな年配の同僚に聞いてみたのだが、「最近の人は文法の正しさをあまり気にしないんだよね」とのことで、これが文法的に正しいかどうかははっきりしなかった。一応、「今現在だけでなく、少し前からそうしないといけないと思っていた」というニュアンスがあり、"I have wanted to send you"が変化したのだろうというコメントはあった。

 

 

Long story short, (手短にまとめますと)

 <例文>
Long story short, I've attached the new incentive program proposal which needs your approval. Below is the summary of this program.
手短に結論から申し上げますと、下記の新しいインセンティブプログラムについてご承認をお願いしたいと思います。以下、プログラムの詳細を説明致します。

 メールの背景や目的を説明をすっとばして、本題からずばっと入ることの方が実は多い。なので、結論から述べて、その後に背景や詳細を説明する際に、"Long story short"は便利な表現だ。「背景はすっ飛ばしてまずは結論から言いますよ」と前置きした上で、「後に長い説明があるけど読んでね」というニュアンスを3単語で伝えることができる、効率の良い表現だ。これは、おそらく"I'll make a long story short"の略だと思うが、略さないバージョンはあまりみない。

 

なお、冒頭で書き出しとして使うこともあるが、長い説明の最後に持ってきて、"So long story short, "でまとめるという形もある。「長々と説明させて頂きましたが、まとめますと」というような感じで要点を最後に確認する時にも使える便利な表現だ。

 

 

まとめ

 メールの背景や目的を説明する、英文メールの書き出しとして以下の3つの表現を紹介してきた。どれも、使い勝手の良い表現なので、是非参考にして頂いて、英文メールを書く時間の短縮に役立てて頂きたい。

 

  • I am reaching out to you to 〜 (〜の件で連絡をさせて頂きます)
  • I wanted to send you a update on 〜 (〜の件について状況の報告をさせて頂きます)
  • Long story short, (手短にまとめますと)

 

なお、例文の殆どは私が実際にアメリカ人から受信したメールからの抜粋だ。私はIT企業のファイナンスやセールスオペレーションでの経験が長いので、同じ職種の方は、ほぼ丸パクリできるケースもあると思うので、お役に立てれば幸いである。

 

この度、”自由に生きる海外移住”という新ブログを立ち上げました。より多くの日本人が海外で活躍できるように、アメリカでの仕事や生活についての情報発信をしています。興味のある方は是非御覧ください。新ブログでのリンクをこちらにも掲載させて頂きます。

『女帝 小池百合子』 政治家としてやりたいことはない、政治家をやりたい人

政治家としてやりたいことはない、政治家をやりたい人

4年に渡る取材とエジプト時代の同居人からの情報を始めとする貴重な一次情報。そういった事実の積み上げで、都知事小池百合子の実像を浮き彫りにしようという意欲的なノンフィクション作品が『女帝 小池百合子』だ。小池都政の本質が浮かび上がってくるので東京都民には強く薦めたい一冊。

 特に下記のような人は必読の書だと言える。

  • 現都知事は旧態依然とした政界に新風を吹き込むという期待を持っている方
  • 現都知事がコロナ禍やオリンピック開催に揺れる都政でリーダーシップを発揮していると思っている方
  • 現都知事に過去の選挙で投票した方

都知事小池百合子の本質は、本書の下記の引用に集約される。

小池さんには別に政治家として、やりたいことはなくて、ただ政治家がやりたいんだと思うそのためにはどうしたらいいかを一番に考えてる

 『女帝 小池百合子』 「第四章 政界のチアリーダー」

 「政治家としてやりたいことはない、政治家をやりたい人」、そういう人を7割の人がリーダーとして支持しているのが東京都の残念な現状だ。

 

選挙を勝つために必要なことは、政策の実行力ではない

「正しい政策を実行に移し、都民の生活を良くする」、それが一般的に都知事に求められていることだ。が、小池都知事はそれでは選挙で票をとることができないことを熟知している頭の良い人だ。それでは、どうすればよいのか。それは、マスコミを通じて「旧態依然とした政治の世界に風穴をあける」というふわっとしたイメージを振りまく、それが何となく投票する層の票を集めるのに一番大事ということをよく理解している。

2016年の都知事選で、「待機児童ゼロ」、「残業ゼロ」、「満員電車ゼロ」、「ペット殺処分ゼロ」、「介護離職ゼロ」、「都道電柱ゼロ」、「多摩格差ゼロ」などの「7つのゼロ」を政策として掲げたが、条件付きで「ペット殺処分ゼロ」を達成したにとどまり、他に至っては実現に向けての道筋もない。「築地は守る」という公約は、「築地は守る、豊洲は活かす」という嘘で移転賛成派と反対派の票を取り込むだけ取り込み、選挙が終わったら築地跡地は国際会議場にするというちゃぶ台返しぶりだ。

公約なんて守らなくても、その場その場で耳障りの良いことをふわっと言えば、マスコミは飛びつくし、有権者も公約を果たしたかどうかなんて覚えていないし、気にもしない、ということを本人はよく理解をしている。東京都民はなめられているのだ。

 

新型コロナ対策の是非

東京都民は、事実に基づいて、都の新型コロナ対策を評価すべきだ。都の財源から、博報堂や電通に広告費で4億、5億のお金を払い、派手な宣伝パフォーマンスをうつことにばかり注力しているのではないか。
このコロナ禍で、自分が、また家族が高熱にかかり、PCR検査を受けようとしたことのある人であれば、実情は知っているはずだ。体調不良で、さらに精神的に不安の多い中で、市役所、保健所ともに検査を門前払いされ、ただただ自宅待機を命じられ、なすすべのなかった人は多いはず。私の住むノースカロライナ州では州立、群立、市立の検査場がそこかしこにあり、即日で無料で検査結果を受けることができる。感染の拡大を防ぐためには、感染者が感染していることを把握することが第一歩だ。いつでも、無料で検査を受けれる体制があるというのは本当に安心感が高い。
広告代理店に億単位の金を使うのであれば、もっと都民によりそった政策実行をすべきと思うが、YouTuberと対談したり、かるたを作ったりする方が「やってる感」がでるし、東京都民は「やってる感」を一番大事するというのを、都知事は残念ながらよく理解している

 

都民は本を読まないから大丈夫

本書『女帝 小池百合子』は、大宅壮一ノンフィクション賞も受賞し、累計20万部を超えるヒット作となっている。小池都知事の実像を浮き上がらせる力作となっているが、本人は、気にもならない数字だろう。前回の2020年の都知事選での、得票数は360万票。20万部の4名に一人が都民と見積もったとしても所詮5万だ。そして、小池都知事は賢いのでよく知っているのだ、「自分に投票する有権者の殆どは読書をしないので、難しそうなノンフィクションなどまず読まない」と。民主主義というのは、市民がより良い社会を作るための終わりのない過程だ。繰り返しになるが、下記のような方々には本書を是非手にとって頂きたい。

  • 現都知事は旧態依然とした政界に新風を吹き込むという期待を持っている方
  • 現都知事がコロナ禍やオリンピック開催に揺れる都政でリーダーシップを発揮していると思っている方
  • 現都知事に過去の選挙で投票した方

海外生活を通した子どもの英語習得についての3つの誤解

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「アメリカに住めば子どもは英語をすぐに習得することができる」は都市伝説

多くの日本人は「アメリカに住めば子どもは英語をすぐに習得することができる」と思い込んでいるが、これは私に言わせれば都市伝説である。アメリカでの子育てと教育は、「誰だよ、子どもはすぐに英語をできるようになるって言ったの!?」という驚きと失望から始まると言っても過言ではない。もちろん、習得が早い子どもがいるのも事実だ。でもそれは、クラスに足が速い子がいたり、感性豊かな文章を書く子がいたり、面白くて皆をいつも笑わせる子がいたりするのと同様に、アメリカでの英語習得がかなり早い子もいる、ということに過ぎない。なので、すごく時間がかかる子どももいるので、自分の子どもが英語に苦労しておりアメリカ生活になかなか馴染めない、という方もあまり焦ってはいけない

  • 子どもが学校の授業に全くついていけないので、学校に行きたがらない
  • 子どもだけではとても宿題ができないので、親の支援が必要ですごく大変
  • 日本では沢山友だちがいたのに、言語の壁にぶつかり友だちが殆どいなそう
  • 上記のことが積もり積もって、「日本に帰りたい」モードになってしまう

 などのことは、普通のことであり、多くの人が通る途なので、アメリカに来たばかりという方々はどうかあまり心配しすぎないで頂きたい。苦労が当初の予想以上であるのは、そもそも子どもの語学の習得について誤解があったからであり、誤解を解消し、きちんとしたサポートを提供することこそが重要である。なので、本稿では、海外生活を通した子どもの英語習得についての3つの誤解をあげていきたい。

 

誤解その1 アメリカに住めば、子どもは英語をすぐに習得できる

「子どもは大人よりもすぐに英語を習得できる」という点については私も否定はしない。実際に渡米当初は私のほうが子どもより英語がはるかにできたが、この7年ほどで子どもたちは私を抜き去り、手の届かないところに既に行ってしまった感がある。が、この「大人より」という非常に重要な前提条件が取り払われた「子どもはすぐに英語を習得できる」という説が一般的に受け入れられていることには驚かされる。もちろん、「すぐ」がどれくらいなのかは人によって異なるが、「渡米後半年たっても子どもがなかなか英語が話せるようにならない」というような悩みは私もたまにきくが、半年なんてそんな「すぐ」には話せるようにならないよ、と私は思う。

アメリカの外務職員局(Foreign Service Institute)のサイトによると、英語話者が日本語を習得するには、言語の構造上に大きな違いがあるため2,200時間ほどかかるという。仮に逆も真なりとして、日本語話者が英語を習得するのにも2,200時間かかるとしてみよう。子どもが、平日に学校で英語に触れる時間を6時間程度とすると367日ほどかかることになり、土日や夏休みなどを考慮するとざっくり1年半ほどかかることになる。もちろん、個人差があるのでもっと早い子どももいれば、もっとかかる子どももいるが、わが家の子どもたちに「現地校の友だちと言語の壁をあまり感じず、会話ができるようになったのは渡米後いつ頃か?」という質問をしたら、「大体1年半くらいかな」と二人とも答え、偶然とは思うがかなり近い値となった。

「うちの子どもはもっと早かった」、「うちの子どもは毎日楽しみながら英語を勉強していて苦労など見受けられなかった」という人がいるのはもちろん認めるが、そうでない人も沢山いるという事実についても十分理解を頂きたい。もう一度繰り返すが、「子どもは大人よりもすぐに英語を習得できる」というのは大抵の場合あてはまるが、「子どもはすぐに英語を習得できる」はそうではないのだ。

 

誤解その2 アメリカに住めば、子どもは自然とバイリンガルになる

「お宅のお子さんは、小さい頃からアメリカに住んで、日本語と英語を自然と話せるようになっていいですね」というような妄言を吐かれると、相手の頭をかち割りたくなる。アメリカに住んでいるだけで、日本語と英語の両方が苦労なくできるようになるわけがない。もちろん、皆さん悪気があって言っているわけではなく、単に無知なだけなので仕方ないのだが、子どもたちの努力を目の当たりにしてきたので、どうしても怒りが先にたってしまうのは私の人間の未熟さだろう。

英語を習得するには2,200時間ほどかかるという一つのデータを上述したが、単純な勉強量の多さだけでなく、下記のような苦労を抱えている子どもたちは多いはずだ。

  • 授業が全くわからないけど、一日中学校の授業を受け続けないといけない苦痛
  • 自分をだして気兼ねなく話せる友だちが現地校におらず、自分を隠さないといけない孤独
  • 絶対の自信を持てない言語の使用を常に強いられる環境へのストレス

東京にICU(国際基督教大学)の付属高校があり、本校は多くの帰国子女を受け入れている。一時期娘を高校から日本に帰すことを本格的に検討して、学校説明会に行ったことがある。そこで、在校生が口々に言っていたのは「ここでは本当の自分をだせる」ということで、国に限らず共通に海外子女が抱える孤独や苦悩に逆に直面することになり、私は強いショックを覚えたのを今でも覚えている。

そして、アメリカに住みながら日本語を維持するというのも決して簡単ではない。わが家の子どもたちは、土曜日に日本語の補習学校に通っているが、週一回の授業で日本のカリキュラムをこなそうとするため、自ずと宿題も多くなり、現地校と補習校の宿題のダブルパンチをこなしつつ、週休一日で日本語と英語の両方の習得に向けて努力を重ねている。アメリカという国が英語習得の点では学習効果の高い恵まれた環境であることは確かだが、一つの言語を習得するというのは誰が、どんな環境で実施しても相応の努力が伴うものであることは強調したい。

 

誤解その3 子どもは高い英語力を身につける環境を与えてくれた親に感謝する

アメリカに住んでいても、英語の習得は大変なものであることを以上述べてきたが、こういう話をすると「今は苦労しているけど、将来絶対お父さんとお母さんに感謝するよ!」などとわが家の子どもに熱っぽく語る人もいるが、正直これは大きなお世話である。環境の差はもちろんあれど、子どもにしてみれば自分が苦労や努力をしながら身につけた語学力である。自分が望むわけでもなく、そういう千尋の谷にぶち落とされて、何とか這い上がってきた結果であるから、多分感謝なんかしないのではないかと思う(これは想像ではあるが)。

 わが家の場合は、「人生を豊かにするために異国の地でも家族で生活をしてみたい!」なんて脳天気な理由で私が家族を連れてアメリカに移住したので、表にはださないが(一時期は思いっきりだされていたが)、「こいつのせいでこんな所に連れてこられて」と感謝どころか、きっと恨まれていると思う。自分の子どもたちが、親になり、彼らの子どものことを思い、子育てに苦労したり、壁にぶつかったりした時に、少しくらい私と妻の彼らに対する親心に1秒でも想いを馳せてくれたら嬉しいな、というような淡い期待はある。が、「お前ら、オレのお陰で若くして高い英語力を身につけることができたんだから感謝しろよ」なんて傲慢な考えは、少なくとも私は1ミリも持っていない。

 

まとめ

「アメリカに住めば子どもは英語をすぐに習得することができる」というのは都市伝説だ。語学の習熟の早さは人それぞれであるので、もちろん早い人もいることは否定しないが、大変な努力と苦労の結果、高い英語力が身につくことが殆どだ。

  • 誤解その1 アメリカに住めば、子どもは英語をすぐに習得できる
  • 誤解その2 アメリカに住めば、子どもは自然とバイリンガルになる
  • 誤解その子どもは高い英語力を身につける環境を与えてくれた親に感謝する

 

アメリカに家族で来て、子どもがなかなか環境に溶け込めず苦労しているという方は、上記の3つの誤解をあらため、正しい認識をもって、お子さんをサポートしてあげて欲しい。

 

この度、”自由に生きる海外移住”という新ブログを立ち上げました。より多くの日本人が海外で活躍できるように、アメリカでの仕事や生活についての情報発信をしています。興味のある方は是非御覧ください。新ブログでのリンクをこちらにも掲載させて頂きます。

 

「人新世の『資本論』」の読み方

本書「人新世の『資本論』」は、進行を続ける環境破壊を止め、真の持続可能な社会を実現するためには、資本主義から脱し、マルクスの『資本論』にならってコミュニズムを導入しないといけない、という壮大なテーマをぶち上げた、大変意欲的な本である。

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

  • 作者:斎藤幸平
  • 発売日: 2020/10/16
  • メディア: Kindle版
 

 

話題になっているだけあり、環境問題の本質をわかりやすくあぶり出し、それに筋を通した解決策が論理的に提示されており、大変読み応えがあった。SDGsなどが騒がれる昨今、話題の本なので、興味を持たれている方も多いと思うが、何しろ「人新世」と「資本論」のダブルパンチで、タイトルから難しそう感がにじみでているので敬遠している人も多いだろう。が、私も準備体操をしてからえいやっ、と読み始めたが、実際のところ思った以上に読み易く、高校生の娘にも薦めたほどだ。本エントリーでは、自身の整理も含めて、まず本書の骨子を私の言葉で要約し、その上でいくつかの点について考察をしてみたい。

 

「人新世の『資本論』」の要約

  • 先進国は、自分たちの豊かな生活を維持するために、経済面だけでなく環境面でも発展途上国に負担を押し付けている。電気自動車は、使用をする先進国の環境負荷は低いかもしれないが、レアメタルの採掘などの生産過程で環境負荷を後進国に転嫁している環境負荷は、生産から消費までの全工程ではかられるべきであり、消費にのみ着目したSDGsやグリーンニューディールなどはまやかしである。
  • 経済成長と環境負荷の削減を両立することは難しく、技術進歩がその問題を解決するというのは楽観的すぎる。資本主義は、その構造上、成長をひたすら追求する性質があるため、このまま資本主義を維持していくと、地球環境は破壊され続け、安全な環境で生活することができるのは、富が集中した一部の超富裕層のみになってしまう
  • 資本主義に代わる仕組みとしてコミュニズムが必要である。ソ連や中国は公共財産(住居、交通機関、電気、水、医療、教育など)を国有化することにより、資本主義とは違うモデルを作ろうとしたが、うまくいかなかった。ソ連型ではなく、民主主義とコミュニズムを両立させ、コミュニティに属する人たちが自主的に公共財を管理運営するという仕組みに移行していくことが必要である。
  • 市場原理の下、教育や医療などの公共サービスすら値付けをして、商品化していった資本主義により、労働者や消費者(受益者)は軽んじられ、資本家にだけ富が集中している。資本主義が経済並びに技術発展をもたらしたのは事実だが、資本家へ富が偏りすぎ、それは今後もますます加速していく。環境問題を解決するためには、暴走を続ける資本主義を打破し、労働者と受益者にもっとコントロールを戻し、彼らに富を還元するような仕組みが必要で、それがコミュニズムだ。
  • そのためには、工場のような生産設備を労働者が協同管理したり、水や電気などの公共サービスを受益者が協同管理することが必要であり、それらを資本家の支配から開放し、富を労働者と受益者に再分配しなければならない。そのためには、GDPや売上や株価の上昇などの資本家目線での成長をあきらめ、脱成長を受け入れることが必要である。
  • きらびやかなマーケティングに踊らされずにモノやサービスを使用価値で判断し、資本家や経営者の視点ではなく、労働者や受益者の視点で生産や労働を見直し資本家の都合から開放された真に必要な仕事を実施することが必要だ。



考察:民主主義とコミュニズム

東西冷戦の結果、国の統制に基く社会主義を追求したソ連が崩壊し、民主主義・資本主義を掲げる西側諸国がその勢力を広げたことから、民主主義とコミュニズムを水と油のように、私などは脳が自然ととらえてしまう。が、それらを相反するものと考えず、個人の自由を尊重する民主主義とコミュニズムを組み合わせることの重要性を説いている点が本書は面白い。民主主義を「選挙で国民の代表者を選ぶ政治制度」という側面のみでとらえると民主主義とコミュニズムをくっつけることは難しい。が、民主主義を、「市民が共に平等に生きていくために、自分たちの課題を自分自身で主体的に解決し、よりよい社会を作っていく終わることのない過程」といった理念として捉えるとコミュニズムとの親和性はぐっと高まる。本書は、その「民主主義とは?」というところは実はあまり触れられていない。「今さらマルクスはないでしょう!」という規定概念にチャレンジするのが本書の骨子なので、筆者の難しいコンセプトを分かり易く紐といて解説していく能力を発揮し、もう少し民主主義について噛み砕いてくれたら、よりわかりやすく、とっつきやすくなっていたと思う。

考察:コミュニズムとオープンソース

多くの本書の読者が読後に思うことは、「で、どうやって脱成長コミュニズムに移行していけばいいんだ」、「理念や概念はわかるんだけど、そんなの難しいんじゃない」というところだと思う。そういった読者の指摘は筆者も折込済みで、「フィアレス・シティ」を掲げたバルセロナ市政の取り組みを紹介したり、3.5%の法則などを紹介し、市民によるボトムアップの改革の力を強調している。が、紹介はされているものの方法論の部分がぼんやりしていて、手の届く感じがまだあまりしないのが惜しいように感じた。筆者には、その説得力をより強めるためにオープンソースをその研究対象として広げることを強く薦めたいオープンソースはソフトウェアという現代社会における最も価値の高い公共財産を、資本家から完全に独立した開発者コミュニティが管理運営している、本書の主張に正に合致した絶好の事例だ。何故、報酬を一切もらわないコントリビューターが、様々なオープンソースのプロジェクトに参加し、マイクロソフトやオラクルのような超巨大IT企業が作成するより遥かに素晴らしいソフトウェアを作ることができたのかというのは、ここ20年で研究と様々な考察が重ねられてきたが、筆者が資本論の視点でどうオープンソースを考察するのかは私は非常に興味がある。

 

まとめ

冒頭にも述べたが、本書はこの時代に再度『資本論』を考え直し、コミュニズムで環境問題を解決しようという壮大なものだ。が、全体の骨子は、決して突飛なものではなく、古くはロバート・ライシュの『暴走する資本主義』、最近ではフレデリック・ラルーの『ティール組織』などの古典に通じる論点が多い。格差社会や環境破壊に疑問や問題意識がある方は、今の旬の本なので是非手にとっていただきたい。また、SDGsなどの影響でエコバックをもったり、電気自動車に乗ったりするのは何もしないより良いことなので、それを止めるものではないが、持続可能な社会の実現に向けて取るべき行動として最も重要なことはやはり学習をし、様々な知見にふれ、正しい知識や多様な見方を身につけることだ。本書は多様な視点を身につける上で、絶好の学習書となるため、より多くの方に手にとって頂きたい。



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