Book
政治家としてやりたいことはない、政治家をやりたい人 4年に渡る取材とエジプト時代の同居人からの情報を始めとする貴重な一次情報。そういった事実の積み上げで、都知事小池百合子の実像を浮き彫りにしようという意欲的なノンフィクション作品が『女帝 小…
「ねばならない」より大切なこと アメリカで仕事をしていると、「この人たち、本当に自由だな」と感じることが多い。 子どものお迎えは当然のこととして、犬の散歩を理由に定時前に帰宅する 期限内に仕事が終わっていない場合でも、「他の優先事項があったの…
シックで重厚な表紙、「投資の大原則」という背筋の伸びるタイトル、バートン・マルキールとチャールズ・エリスという著書の厳つさから、とっつきにくそうな印象を受けるが、本日紹介する『投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント』は、誰にでも実現可能…
「何故、歴史を学ぶのか?」、そんなシンプルな問いを子どもから問いかけられたら、小難しい説明はおいておき、「まぁ、この本でも読んでみなさい」と取り敢えず渡してしまいたい、『歴史を活かす力 人生に役立つ80のQ&A』はそんな本だ。 歴史を活かす力 人…
私は都内の中高一貫の私立学校に通っていた。高校受験はしなかったので、高1の時がおそらく学力の底辺であった。全国模試などは中学受験以来受けたことなどなかったのだが、大学受験に向けて自分の位置を把握するのも大事だろうと考え、高1の終わりに河合…
日本に住んでいる時に一度だけ出口治明氏の勉強会に参加したことがある。キリスト教が歴史的に見て、何故世界の三大宗教になるまで発展したのかというテーマについて、氏独特の壮大なスケール感を熱っぽく参加者に語る姿が印象的な会であった。勉強会の後の…
在宅生活が始まってからスポーツウェア以外は殆どユニクロ一択となっている。日本人の体にあったサイズが米国で買えるという現実的な事情もあるが、気ごこちとコストパフォーマンスを考えると、部屋着については正直他に選択肢が見当たらない。寒くなってき…
本書『未完の資本主義』は、国際ジャーナリストの大野和基による、世界的に話題を集める知識人へのインタービュー記事である。 未完の資本主義 テクノロジーが変える経済の形と未来 (PHP新書) 作者:ポール・クルーグマン,トーマス・フリードマン,デヴィッド…
昨年受講した会社の管理職研修でTilt365という自己評価を実施した。物事を考えたり、意思決定をする際に何に重きを置くのかについて、アイデアとデータを縦軸に、結果と人間関係を横軸にとり、自分が四象限のどこに分類されるのかを把握し、それぞれのグルー…
本屋に行けば英語学習の方法論を著した本、並びに参考書は棚に溢れ返り、インターネット上にも同様のコンテンツは検索すらしきれないほど氾濫しており、正に情報の濁流と言っても過言ではない。豊富なコンテンツや情報技術の発達による新しいツール群は、学…
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだ。控えめな評価を与えたとしても、本書は今年読んだ本の中でトップ3に入る面白さであった。 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 作者:ブレイディみかこ 発売日: 2019/06/21 メディア: Kind…
「どこの国に行ってみたいか」という話をアメリカ人の同僚とすると「日本」と答える人は決して少なくない。もちろん、目の前にいる日本人に対していくばくかの配慮があっての話であろうが、同席したブルガリア人の同僚に忖度して「ブルガリア」と答えた人は…
新型コロナウィルスの猛威により、2020年5月9日時点で感染者数は400万人を超え、亡くなった方の数は28万人にも及ぶ。SARSについては、2003年9月26日にWHOが発表した限り感染者数は8,098名で、死亡者774名というから、正に桁違いのインパクトである。歴史を紐…
前回紹介した『死の淵を見た男』は、ノンフィクションでありながらヒーロー性に富む物語でもあり、『Fukushima 50』という形で映画化される程だ。事実に忠実ながらも、現場 vs 東電本店と官邸という対立軸を用いることにより物語性が高まっている。東電本店…
いやぁ、久しぶりにものすごい本を読んだ、読後感はこの一言につきる。Kindleでページを手繰る際の一瞬の間が苛立たしい、そんな読書経験は本当に久しぶりであった。 本書は、東日本大震災の福島第一原発事故の現場のルポである。福島原発を襲う津波、電源の…
ウィルス騒動で日本でもリモートワークが少しずつとりいれられてきた模様。私は日本に住んでいる頃は、中央線と山手線を利用していたので、通勤ラッシュ時で消耗されるエネルギーの量はよくわかる。その通勤に費やされていた力が、仕事や私生活に振り向けら…
王侯貴族や政治家の行動に焦点をあわせ、革命や戦争などの出来事をおい、社会の大きな変化に焦点をあてる歴史学に対し、社会の中下層の人に焦点をあわせ、百年単位では変わらない制度や習慣やものの考え方をとらえる社会史。ルターの贖宥状の販売に異を唱え…
「あれ、筆者は大学の教授、研究員だったけ?」という錯覚を覚え、筆者の経歴を確認することが読んでいる間に何度かあった。本書『ブロックチェーンの描く未来』に溢れるのは新技術への熱狂といよりアカデミックな探究心だ。 ブロックチェーンの描く未来 作…
私はオープンソースを事業の中心に据える会社に勤めてもう10年以上になる。転職した当時は、ビジネスの世界ではまだメインを張れるほどメジャーではなかった。転職前の会社は日本法人が2万人以上いる外資系の巨大IT企業に勤めていたので、「お前、ノーア…
先日読んだ『キリスト教から読む世界史』がキリスト教を歴史という縦軸で捉える本だとしたら、本書『なんでもわかるキリスト教大事典』は教派という横軸で捉えている。 なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫) 作者: 八木谷涼子 出版社/メーカー: 朝日新…
あまり将棋界に詳しくない私が棋士先崎学を私が知ったのは、人気将棋漫画の『3月のライオン』だ。先崎九段は『3月のライオン』の監修をされており、その単行本の中で将棋にまつわるコラムを掲載し、将棋界の広報活動に尽力されてきた。その豊かな表現力とユ…
先日、子どもの通う補習校の古本市で『ニューヨーク日本人教育事情』を購入した。補習校の古本市は年代ものの本が発掘されることが多いが、本書は1993年初版、実に20年以上前の新書である。こんな古い本を読んでも参考にはならないだろうと思いつつも、補習…
中年女性社会学者によるアメリカの若者の声の代弁、というとシニカルすぎるきらいがあるが『 It’s Complicated(邦訳:つながりっぱなしの日常を生きる)』はそんな本だ。筆者のダナ・ボイドはソーシャルメディア、若者の教育問題の専門家。2009年には”Women…
『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』というタイトルが、昨年11月に家族と渡米し、新しい環境で日々悪戦苦闘する自分の心象風景にあてはまるように感じ、本書を手にとる。読み始めてすぐに思った、これはアタリだと。 ゼロ なにもない自分に小さ…
世に経営本は多いが、一般的な考えにとらわれず、筆者自らが原理原則に立ち戻り、本質論に迫る本は少ない。また、世に経営者は多いが、経営者にしかできない仕事のみを徹底的にやっている経営者もこれまた少ない。本書は、20年にわたり経営者にしかできない…
「やるべきことができない、続かないのは、あなたのやる気の問題ではなく、仕組みの問題」という最近の自己啓発に流行である「仕組至上主義」に食傷気味の方には本書はおすすめ。「仕組至上主義」は自らの意志力の弱さという自己管理上避けては通れぬ道をあ…
「何でも3点にまとめようと頑張らない。物事が3つにまとまる必然性はない」、本書『不格好経営』にはこんなコンサルタントあがりが思わずほくそ笑んでしまう言葉があふれている。 不格好経営―チームDeNAの挑戦作者: 南場智子出版社/メーカー: 日本経済新聞出…
私はジェンダー論を好んで目を通すほうではない。論理的かつ客観的であることを試みている文章でも、男性社会に対する恨み節であったり、恵まれない境遇への悲壮感であったり、善悪に固執する煙たい正義感が充満するものが多く、今ひとつ素直に読み込むこと…
転がる香港に苔は生えない (文春文庫)作者: 星野博美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 86回この商品を含むブログ (35件) を見る資本主義路線を歩みながら、国家として社会主義の面子を絶対に捨てない中国。何より…
前著「一勝九敗」は2002年11月に代表取締役社長の座を玉塚氏に引き継ぐまでの物語、本書「成功は一日で捨て去れ」は2005年9月に柳井氏が代表取締役社長に返り咲いた後の物語ととらえて、大枠で間違いはないだろう。経営に原理原則を貫き、ぶれることのない筆…