Thoughts and Notes from NC

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

組織の論理より大切なこと

「ねばならない」より大切なこと

アメリカで仕事をしていると、「この人たち、本当に自由だな」と感じることが多い。

  • 子どものお迎えは当然のこととして、犬の散歩を理由に定時前に帰宅する
  • 期限内に仕事が終わっていない場合でも、「他の優先事項があったので」とあまり悪びれない
  • より魅力的なポジションを社内で見つけると、引き継ぎ二週間くらいでささっと異動してしまう

というようなことは日常茶飯事であり、そういう例をあげるときりがない。彼らは「定時の間は会社にいなければならない」、「約束した仕事は残業してでも期限内に終わらせなければならない」、「会社員である以上、自分の希望よりも組織全体の利益を優先しなければならない」などの、沢山の組織の「ねばならない」に縛られていない。そういった組織の論理よりも、自分の人生の価値判断基準や優先順位をもって、「自分はどうしたいのか」というところに強い重きをおいている

 

組織の論理が軽んじられても、組織は回る

そういう話を聞くと、「そんなことで組織が回るのか?」と疑問を持つ方がいるかもしれないが、これが意外と回るのだ。アメリカの一般的な雇用形態では、雇用者が一ヶ月前に通知をすることで従業員を解雇することができる。それは本人のパフォーマンスが低かったことが原因の場合もあれば、業績不振によるリストラという会社都合の場合もある。そういう意味では、会社に対しての価値を提供することができなければ、直接的であれ間接的であれ職を失うことになる。なので、大事なのは

  • 定時に会社にいなくても、仕事できちんと成果をだす
  • 頼まれた仕事を期限内に終わらせなくても、それ以外の仕事で高い価値を提供する
  • より自分の能力が発揮できる環境で、活躍をし続ける

ということである。生活の支えとなる仕事を確保することを「ジョブ・セキュリティを維持する」というような言い方をこちらではするが、ジョブ・セキュリティ、自身のキャリアアップ、そして私生活の充実を常にバランスをとりながら、日々自分自身で選択をしているのだ。

 

私自身が社内異動をした時のはなし

かく言う私も、2年ほど前に、渡米してから5年ほど働いていた部署を離れ、今の部署に社内異動をした。たまたまタイミングが重なってしまったのだが、私が異動の希望をだしたのと同じタイミングで、私の直属の上司が転職してしまい、その上司の抜けた穴を私に埋めてほしいというのが、所属していた部署の希望であり、組織の論理的には非常にやめにくい状況にあった。CFOに呼び出されて慰留されたりして、かなりすったもんだあったのだが、3ヶ月間というアメリカ人的にはクレイジー、日本人的には普通の引き継ぎ期間を確約することで、晴れて社内異動を果たすことができた。

とは言っても、直属の上司が辞めたタイミングというのは私も引っかかっており、結構後ろめたい気持ちがあった。3ヶ月という長い引き継ぎ期間に内密のはずの私の異動話は瞬く間に社内に広がり、色々な方に「異動するらしいじゃん」と声をかけられることになった。「いやぁ、このタイミングで異動かよ」という誹りは免れないという覚悟はあったのだが、

  • Congratulations for your new challenges!
  • Great choice! Well deserved transition!

というような、非常に前向きなコメントのシャワーを浴びることはあれ、嫌味や誹りを受けることは一切なかった。そこにあったのは、個人の選択と決断への尊重、簡単に選択する権利を手放さなかった勇気への称賛、そして自分の人生の決断をしていく同士へのエール、であったと思う。

 

「エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする」

本当は最近読んだ『エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする』の書評を書こうと思っていたのだが、2014年刊行にも関わらず、既に自己啓発書の古典に名を連ねつつあり、書評と解説動画の溢れる本書に今更私の評をつけることに気後れを覚え、本書からの学びと私の経験を上述させて頂いた。最後は本稿を書く上でインスパイアされた本書の一節を紹介して、締めくくりたい。

 

選ぶ力は自分だけのものであり、何者にも奪えないということを理解しなくてはならない。<中略>エッセンシャル思考の人は、選ぶ力を無駄にしない。その価値を理解し、大切に実行する。選ぶ権利を手放すことは、他人に自分の人生を決めさせることだと知っているからだ。
『エッセンシャル思考』 〜第2章 選択ー選ぶ力を取り戻す〜

 

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