Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Book

『挫折力』 経営書と現場の乖離をうめる発想

『ビジョナリーカンパニー』は名著ではあるが、『ビジョナリーカンパニー』を参考にしながら、ビジョナリーカンパニーを作れる人は万に一人としていない。よく整理されており、視点も斬新で、否定のしどころがないビジネス書を読んでも、ビジネスの現場から…

『北方領土交渉秘録 失われた五度の機会』 次世代の外交官へのエール

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)作者: 東郷和彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/04/26メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (7件) を見る元外交官東郷和彦による北方領土交渉の歴史を綴った文庫本にして548ペー…

飛行機の中での読書

諸般の事情でドミニカに行く機会に恵まれた。往復で50時間以上にもおよぶ移動。普段出張で海外に行く際は、意気込んで本を4〜5冊もっていくのだが、仕事をしたり、飲酒をしたり、映画をみたり、居眠りをしたりで、当初の目論見以上に本を読むことはない。た…

書評『一瞬の夏』

その面白さに、むりやり時間や場所を見つけて読み進める本にたまに出会う。年に2〜3冊だろうか。『一瞬の夏』は私の中で間違いなくそのレベルに到達する秀逸な読み物である。一瞬の夏 (上) (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1984/0…

『バーボン・ストリート』 壮年の男性におくられるエッセイ集

最近どうもビジネス書や自己啓発書には今ひとつ食指が動かない。その類いの本を読みすぎたからなのか、この年にしていよいよ読書らしい読書に目覚めたからなのか定かではない。 その代わりではないが、昨年末から沢木耕太郎をよく読んでいる。 自己啓発書の…

『ソフトウェア企業の競争戦略』 製品で儲けるか、サービスで儲けるか

『ソフトウェア企業の競争戦略』を読んだので書評を。ソフトウエア企業の競争戦略作者: マイケル・A.クスマノ,Michael A. Cusumano,サイコムインターナショナル出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2004/12メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 178回こ…

『昭和16年夏の敗戦』 日米開戦という意思決定とその失敗の本質

猪瀬直樹(@inosenaoki)の『昭和16年夏の敗戦』を読んだので書評。 昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)作者: 猪瀬直樹出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/06/25メディア: 文庫購入: 23人 クリック: 88回この商品を含むブログ (59件) を見る十六年夏、彼らが…

『ドキュメント東京電力』 木川田一隆と日本の電力の歴史

先日父親から『ドキュメント東京電力企画室』という1981年に出版された古い文庫本を借りた。田原総一朗による日本の電力の歴史をひも解くドキュメンタリーで、戦前から続く通産省対電力会社の主導権争い、その争いの中で日本の原子力発電がどのような歴史を…

『間違いだらけの子育て』 子育てに魔法の杖はなし

間違いだらけの子育て―子育ての常識を変える10の最新ルール作者: ポー・ブロンソン,アシュリー・メリーマン,小松淳子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2011/05/31メディア: ハードカバー クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見るポー・ブロン…

『禁断の市場』現代の金融工学は原始的

本書の著者のマンデルブロは、数学者、自然科学者、経済学者という多彩な顔を持つ。また、『ブラック・スワン』の著者のあのへそ曲がりで気難しいタレブが、唯一尊敬と羨望の眼差しで見て、手放しで賞賛する人物。 本書は『ブラック・スワン』で取り上げられ…

『Nurtureshock』教育的な番組は実は子供の攻撃性を助長する?「子供の諍い」考

以前紹介した『Nurtureshock』の中でまた興味深い話があったので紹介したい。NurtureShock作者: Po Bronson,Ashley Merryman出版社/メーカー: Grand Central Publishing発売日: 2009/09/03メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) …

『ブラック・スワン』を読んで思う原発問題 原発事故は再び起こることを受け入れる

「東関東大震災や福島原発の事故は”ブラック・スワン”である」という話を最近よく耳にする。ナシム・ニコラス・タレブという人が『ブラック・スワン』という本を書いて非常に話題になったこと、予期しなかった非常に稀な現象のことをタレブが”ブラック・スワ…

『NurtureShock』 子供は誉めたら伸びるのか、実は逆効果なのか?

『NurtureShock』という本を現在読み途中なのだが、なかなか興味深かい内容なので読み途中だが紹介を。NurtureShock作者: Po Bronson,Ashley Merryman出版社/メーカー: Grand Central Publishing発売日: 2009/09/03メディア: ハードカバー クリック: 3回この…

『後藤新平 日本の羅針盤となった男』 近代日本を作った男の構想力と実行力

本書は台湾総督府民政長官、南満洲鉄道初代総裁、東京市長、逓信大臣、内務大臣、外務大臣などの閣僚を歴任した後藤新平の物語。後藤新平は関東大震災後に帝都復興院の総裁として「国家百年の大計」の見地から東京復興策を練り上げた人物として昨今注目を集…

『営業力』 営業の感性を磨くために必要なこと

田坂広志の『営業力』を読んだので書評を。プロフェッショナル講座 営業力―「顧客の心」に処する技術と心得作者: 田坂広志出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2004/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (10件) を見るこの…

『小倉昌男 経営学』 「経営の現実」と「成功の軌跡」

小倉昌男の『経営学』を読んだので書評を。小倉昌男 経営学作者: 小倉昌男出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 1999/10メディア: 単行本購入: 20人 クリック: 365回この商品を含むブログ (97件) を見る経営者の回顧録を何冊も読んできたが、名著もあれば、自慢…

『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階』 アメリカ型経営の罠

ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階作者: ジム・コリンズ,山岡 洋一出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2010/07/22メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 140回この商品を含むブログ (43件) を見るジェームズ・コリンズによる『ビジョナリー・カンパニー』…

『これからの「正義」の話をしよう』 自分は何者なのか

名著と思うし、勉強にもなるし、人に勧めたいとも思うが、それを評する自分の能力への不安から、書評を書くことを躊躇する本がたまにある。『これからの「正義」の話をしよう』は、私にとってはそんな本だ。これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延び…

『志高く 孫正義正伝』 孫正義のできるまで

『志高く 孫正義正伝』を読んだので書評を。志高く 孫正義正伝 完全版 (じっぴセレクト)作者: 井上篤夫出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2007/07/20メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 158回この商品を含むブログ (30件) を見る本書はジャーナリスト…

『東京の副知事になってみたら』 猪瀬直樹と言葉の力

猪瀬直樹(@inosenaoki)さんの『東京の副知事になってみたら』を読んだので書評を。東京の副知事になってみたら (小学館101新書)作者: 猪瀬直樹出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/06/01メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 185回この商品を含むブログ (28…

『「思考軸」をつくれ』 出口というオヤジは噂通り器がでかい

『「思考軸」をつくれ あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由』を読んだので書評を。「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由作者: 出口治明出版社/メーカー: 英治出版発売日: 2010/06/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 7人 クリッ…

『ジョゼフ・フーシェ - ある政治的人間の肖像』 政治力とは何か?

『ジョゼフ・フーシェ - ある政治的人間の肖像』を読んだので書評を。ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)作者: シュテファン・ツワイク,高橋禎二,秋山英夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/03/16メディア: 文庫購入: 6人 ク…

挑戦 巨大外資(上・下) 長時間フライトのお供に最適

高杉良の『挑戦 巨大外資(上・下)』を読んだので書評を。挑戦 巨大外資 上 (小学館文庫)作者: 高杉良出版社/メーカー: 小学館発売日: 2009/12/04メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る挑戦 巨大外資 下 (小学館文庫)作者: 高杉良…

死ぬときに後悔すること25 「死から生を考える」素養を磨く

『死ぬときに後悔すること25 -1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた』を読んだので書評を。死ぬときに後悔すること25作者: 大津秀一出版社/メーカー: 致知出版社発売日: 2009/05メディア: ハードカバー購入: 28人 クリック: 385回この商品を含む…

『20歳のときに知っておきたかったこと』 創造やイノベーションは単なる結果

『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』を読んだので書評を。20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子出版社/メーカー: CCCメディアハウス発売日: 2010/03/…

『誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール』「人に関心を持つ」を因数分解する

誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール作者: 野口敏出版社/メーカー: すばる舎発売日: 2009/07/21メディア: 単行本購入: 106人 クリック: 998回この商品を含むブログ (160件) を見る私は、初対面の人と話すのは得意ではない。子供の頃から人…

「図で考える」を実際にやる上での阻害要因

『図で考えるとすべてまとまる』を読んだ。図で考えるとすべてまとまる作者: 村井瑞枝出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)発売日: 2009/09/14メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 27人 クリック: 443回この商品を含むブログ (31…

『フリー からお金を生み出す新戦略』におぼえる違和感

話題のクリス・アンダーセンの『フリー からお金を生み出す新戦略』を読んだ。フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2009/11/21メディア: ハードカバー購入: 133…

コーチングのプロが教える 「ほめる」技術 アクノレッジメントする生き方

『コーチングのプロが教える 「ほめる」技術』を読んだので書評を。〈NJセレクト〉 コーチングのプロが教える 「ほめる」技術作者: 鈴木義幸出版社/メーカー: 日本実業出版社発売日: 2009/10/08メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見…

『そして、奇跡は起こった!』 戦略とリーダーシップの本質

『そして、奇跡は起こった!』を読んだので書評を。そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還作者: ジェニファーアームストロング,Jennifer Armstrong,灰島かり出版社/メーカー: 評論社発売日: 2000/09メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 23回こ…

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