外資系の大企業から従業員規模で400分の1くらいのサイズのこれまた外資系の企業に年初に転職をした私。転職にあたり多くの人生の先輩にアドバイスを頂いたのだが、その中で頂いた叱咤激励の1つが下記。
お前、一度メインストリームからはずれると二度とそこには戻れないんだぞ。メインストリームからはずれて一時の思いで、今よりレベルの低い会社に転職すると、その瞬間は待遇は少し良くなり、いい転職をしたと思うかもしれない。だけど、きちんと結果がだせず、転職をすることで待遇をあげることが癖になると、一生外資系の企業を転々とすることになるんだ。俺は何人もそういう奴を知っているが、率直なところ、それが良いキャリアとはあまり思えない。転職するなら実力をきちんとつけて、それなりのポジションで向かえてくれるところに行くべきだ。
転職活動時にその話を聞いたときは私は正直あまりピンとこなかった。別に待遇がよくなるから転職をするわけではなく、事業の魅力と成長可能性、そして自分の長期的なキャリアとの整合性に魅かれての転職だったからだ。また、外資系企業を転々とするというのも、色々な企業から求められる経験・実力あっての話で、それ自体がそんなに悪いことだとは思えなかった。
で、実際に転職をしてみて、今の会社の方と話をすると、まず、転職経験が豊富な方が多いことにまず驚かされた。そもそも新卒は採用しない会社なので、全ての人が転職組。今の会社が3〜4社目という人はざらだし、5社目以上という人も少なくない。そして、色々な方と話をしていく中で、転職経験が豊富な方の中にも、色々なタイプがいることがわかった。
- 自分のCore Competencyが明確で、自分の専門性が所属企業の成長をいかにドライブできるかが明確、即ち自社の成長戦略における自らの位置付けがきちんと描けているタイプの人もいれば、
- 職歴上は華やかな多様な経験がありながらも、際立った専門分野がなく、職をえること、そしてなるべく高待遇で入社することがまずはありきというタイプの人もいる。
はたまた、
- 自身のキャリアにおける数年という貴重なリソースを所属企業の成長に投資をするというスタンスの人もいれば、
- 十数年にわたって定職が確保されることのない環境の中で、なるべく勢いのある会社に入社して数年の雨宿りをするというスタンスの人もいる。
もうひとつ言えば、
- 自身の能力と時間を投じて、会社のミッションの実現を通して社会をよりよくしようという人もいれば、
- ストックオプションであたればあっという間にリタイアが可能な世界で如何に勝馬にのるかにフォーカスをしているか人もいる。
そういった色々な異なるタイプの方と接していると、冒頭で紹介したアドバイスの意味や懸念もなんとなくわかってくる・・・。
いくつかのタイプを紹介したが、私の嗜好は総じて前者であるが、どの道をとるかは人それぞれなのでここで良し悪しを議論するつもりはない。ただ、20代でまだマーケットにおける特定の強みを持っているわけではないが、今より少し高い待遇で華やかに見える外資系企業から声がかかって心が揺れている人は、専門性がないまま外に飛び出ると、職をえることが優先事項になり、キャリアにおいて選択が後手後手になりがち、ということは肝に命じたほうがよい。まぁ、私も30代前半にして「お前はまだ早い」という多くの忠告を退け、外に飛び出した身なので偉そうに説教はできないが・・・。
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