"「みんなの意見」の活用法―IT企業が導入する予測市場の成果"で、Google、Yahoo!、Microsoft、HPなどの大手IT企業が予測市場を活用していることを紹介している。
Googleは特定のイベントがおきるかどうかについて予測する社内市場を作っており、自社のブログでかなりの精度で、イベントの発生確率をとらえることに成功している。
そのブログの中で下記のような記述がある。
We also found that the market prices gave decisive, informative predictions in the sense that their predictive power increased as time passed and uncertainty was resolved. When a market first opens there may be considerable uncertainty about what will eventually happen; but as time goes on, some outcomes became more likely than others.
時間の経過と不確実性がクリアになるにつれ、市場の予測力があがっていく。そういう視点でみると、予測市場の価格は、より確度が高く、有益な予測を与えてくれることも我々は発見した。
市場が初めにオープンした時は、何が本当におこるか相当の不確実性があるが、時間がたつにつれ、いくつかの結果は他のものよりより確度が高くなっていく。
時間の経過とともに当初あった不確実性が一つ一つクリアされ、次第に予測市場の価格の確度が高まっていくという直感的には当たり前の話。
例えば、ワールドカップ開催当初は、「イタリアが優勝する」というイベントがおきるかどうかの確度というのは10%にも満たないが、時間がたち競合国が敗退していくにつれ、その確度は徐々にあがっていき、準決勝が終わった瞬間には、およそ50%程度にはなっていただろう。
確率論的には50%だが、チームのコンディション、累積イエローカードで出場できない主力選手、相手国との相性などの情報がワールドカップ期間中に蓄積され、予想確度はより正確性をましていく。
この時間が経つ毎に情報が増え、予想確度の精度が増すというのは、当たり前のようにみえるが、時間軸をとっぱらって考えてみるとなかなか興味深い。即ち、予想する時期は一緒でも、集団の規模が増せば増すほど、情報量は増えるため、予想確度は増すと考えることができる。もう少し言えば、情報の総量という点のみで見れば、群集の叡智の力をうまく使えば、時間を越えることも可能と言うことができる。
- 作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子
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