昨年は"測定できないものは管理できない"というエントリーで紹介したように、徹底的に時間の使用用途のログをとり、そこから改善点をみつけることにフォーカスした年だった。無駄を視覚的に把握すれば、多大な努力をせずとも無駄が自ずと削減されるということを実感した反面、無駄をなくすことに注力しすぎて、疲労で立ち上がることがたまにあった。やみくもに無駄を減らすのではなく、「持続可能な負荷の範囲で効率を追及」するというのが今年の課題。
でもこの「持続可能な負荷」というのが私には意外とやっかい。「きちんと休息もいれる」、「疲れた時は迷わず休む」というのも大事だが、でもこれだけでは芸がないし、あまりに普通で大成しなさそうな気がしてならない。脳みそを空にする時間を作ったり、疲労でパフォーマンスがあがらない時は仕事や勉強を切り上げるということは昨年後半は意識的にやってはいたが、休息をいれたことにより劇的に効果があがったという感じは今ひとつしなかった。24時間という限られた時間の中で、休息することが成功要因なら、世の中もっと能力がある人にあふれているだろう。
で、今年トライしたいのが、今までと同じ量の仕事や勉強はするが、仕事や勉強をしている時の負荷そのものを減らすことにより「持続可能な負荷」を実現するということ。もっと単純な言い方をすれば、昨年100の仕事・勉強をするために100の疲労を感じていたなら、今年はそれを50の疲労でこなせれば倍は仕事と勉強できるという理屈。まぁ、それができれば苦労はないし、それを実現するための一つの方法がスキルアップ・勉強なわけだが、それに加えて「ストレスと疲労を超意識的にマネージする」ことにチャレンジしたい。
正月に読んだカーネギーの『道は開ける』の一節を紹介する。
ここに驚異的かつ意義深い真実がある。精神的作業だけでは人間は疲れないというのだ。・・・<中略>数年前に科学者たちは、人間の頭が疲労せずにどれだけ長時間働くことができるか、それを発見しようと試みた。おどろいたことに、脳を通過する血液は活動中は全然疲れをみせないということを彼らは発見した。・・・<中略>
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脳に関する限り、八時間あるいは十二時間の活動後でも、最初と同じくらい活発に働くことができるのである。脳は全然疲れを知らない・・・・・・では、何が人間を疲れさせるのか?精神分析医の断言によれば、疲労の大部分は精神的そして情緒的態度に起因している。イギリスの有名な精神分析医J・A・は度フィールドは『力の心理学』という著書の中で「われわれを悩ます疲労の大部分は精神的原因からきている。純粋に肉体的原因で消耗する例は実にまれである」と述べている。
アメリカでもっともすぐれた精神分析医のひとりであるA・A・ブリル博士はこれを一歩進めて、「健康な座業労働者の疲労の原因は、百パーセントが心理的要素すなわち情緒的要素である」と断言している。
『道は開く』 〜疲れの原因とその対策 P.23、24〜
何故脳みそを使うだけでは疲労をしないにも関わらず、一日中オフィスにして仕事をしている私があんなにも疲れるのだろうか。
進めているプロジェクトがうまくいかなかったり、上から落ちてきた指示が気に入らなかったり、出した指示が期待通りに実行されていなかったり、雨あられのように飛んでくるメールに忙殺されたり、目的の不明確な会議への参加を要請されたり、仕事が追いつかなくて早く帰ろうと決めていた日に結局早く帰れなかったり、とあげればきりがないほどのストレスの中で自分は日々仕事をしているが、結局のところそういった「心理的・情緒的要素」が疲労の原因となり、結果として自分のパフォーマンスを落としているとカーネギーは指摘する。メールを読み、返信内容を考え、返事を書くだけなら疲労はしないが、メールの内容に憤りを覚え、眉間にしわをよせながら、キーボードをばしばし打ち、相手がその内容に対してどう思うかなどのことに不安をよせながら送信ボタンを押したりすると、ものすごく疲れるということだろう。
本音を言えば、上記にあげたような困難な状況の中でも成果をあげることが一つの私の快感であったし、過酷な状況を乗り切ることでストレス耐性を自然と身に着けてきたという事実もある。ただ、年々大きくなる仕事上の役割や自身の目標を達成するためには、とにかく負荷をかけることによって成長を実現するという中学生の部活的なやり方から、プロスポーツ選手のような科学的な手法をとりあげる必要がある。
なので、昨年まではストレスに対してノーガードだったが、不安や悩みや焦燥感というものを「超意識的」にマネージすることにより、少ない疲労の中で大きな果実をえるようチャレンジしたい。かなり長くなってしまったので具体的な方策については別エントリーで。