ktdiskのブログ

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何をもってオープンソース・カンパニーとするのか?

Montyの"What is an Open Source Company?"というエントリーが面白い。世に自社のことをオープンソース・カンパニーとうたう会社は多いが、じゃぁオープンソース・カンパニーって一体何なのかということを問うている。エントリーの中で引き合いにだされたのが、SugarCRMやEucalyptus。これらの会社は全てのコードをオープンソース・ライセンスの下で公開しているわけではないが、そういったスタイルに対するMontyの評価は厳しい。

To me it's clear that just because some of your product(s) is available under an open source license, you can't claim to be an open source company, as that would make the term meaningless. Under such a definition even Microsoft would be an open source company, as some of their products are now available as open source.
私にはオープンソース・カンパニーの定義はとてもクリアだ。もし、自社の製品のいくつかのみをオープンソース・ライセンスの下で公開しているだけであれば、その会社はオープンソース・カンパニーと名乗ることはできない。そういったやり方をすることがその言葉を意味のないものにしている。もし、自社製品の一部をオープンソース・ライセンスで公開しているだけでオープンソース・カンパニーと言えるのであれば、マイクロソフトだってオープンソース・カンパニーだ。

SugarCRMやEucalyptusは一部の機能をプロプライエタリのままにしているが、結局ユーザはその部分について変更や再配布できないし、自身でバグ修正をしたり、機能拡張をすることはできないので、全てプロプライエタリと比較すればましではあるが、ベンダーにロックインされているという事実に変わりはないとMontyは一刀両断する。


が、ここまで読んで一つの疑問が頭をもたげる。もうOracleに買収されてしまったが、彼が創設したMySQLは確かデュアル・ライセンスを採用していたはずなので、上記の定義に従えばオープンソース・カンパニーではないのではないだろうか?エントリーを読み進めると、その点についても下記のとおりふれられており、Montyは一貫している。

David and I did however make a small mistake in that the shareholder agreement only said that "MySQL software" should be kept under an open source license. This allowed the MySQL management in 2006 to release Merlin, the MySQL monitor, as a closed source product, by claiming "this was not based on the MySQL server code". So even if we, the founders, managed to keep the MySQL server free, MySQL AB was only an "open source company" until 2006.
Davidと私は、小さな間違いをおかした。株主合意書の中では、"MySQL Software"はオープンソース・ライセンスが適用されるとだけ書かれている。この記載によって、MySQLの経営陣は2006年にMySQLのモニターであるMerlinをクローズドソースとしてリリースすることができた、Merlinは"MySQL Software"でないとしたのだ。これによって、創業者である我々がMySQL ServerをFreeとし続けたのに、MySQL ABは2006年をもってオープンソース・カンパニーでなくなったのだ。


そして、Montyは下記の通りオープンソース・カンパニーの定義をするのだが、これがコメント欄で物議を醸し出す。

1) You have to be a company that produces software, documentation or other works that are released under an open source license.
2) All software the company delivers to its users must be available to everyone under an open source license. This includes all server code that is required to run and use the software.
1)オープンソース・ライセンスの下でライセンスされたソフトウェア、文書、その他成果物を作成している会社であること。
2)その会社の作成するソフトウェアはオープンソース・ライセンスの下で全ての人に対して公開されていなければならない。これには、ソフトウェアを実行、使用するのに必要な全てのサーバー・コードも含まれる。

まずはオープンソース・ライセンスでないソフトウェアを1つでも保持していればオープンソース・カンパニーと言えないのか、という点。例えば、プロプライエタリ・ソフトウェアを保持する会社を買収し、そのソフトウェアをオープンソースで公開しようと準備している会社があったとする。その会社が一時的にでもオープンソース・ライセンスを適用していないソフトウェアを保持しているからといってオープンソース・カンパニーと呼ばないのかという突っ込みがコメントではいっている。これはかなり的をえている。しかし、Montyはコメントで、指摘はわかるが定義をシンプルに保つために例外を作るべきではないと主張。プロプライエタリのソフトウェアをオープンソースにしようという行為は、世の中からプロプライエタリのソフトウェアを一つなくし、オープンソースを一つ増やすという点で、オープンソース・カンパニーに資する活動と思うが、定義の簡潔さを追求するために、Montyは対象外としてしまっている。定義のための定義となってしまっている感があり、これは今ひとつと言わざるをえない。


もう一つのつっこみはソフトウェアは開発していないが、オープンソースを使用してコンサルティングやエンジニアリングサービスを提供している会社の取り扱い。Montyの定義に従うとこれらの会社も対象外となってしまうが、これに対しても疑問の声が多い。コメント欄の議論を通して、Montyは別にコミュニティに対してバグフィックスのコードを提供するなどのエンジニアレベルでの貢献があれば、オープンソース・カンパニーと名乗っても構わないし、コンサルティングやサポートを提供している会社の中でコミュニティへの貢献が少ないほうが珍しいと述べている。ばかげている、という厳しいコメントが多いが、コミュニティに何らかの貢献をできうるだけのエンジニアリング力のある会社をその対象とするという定義は私にはそれほど違和感はない。


一連の議論を見て思ったのが、オープンソースの世界も裾野がかなり広がってきたという点。こういった定義をするのも、考慮すべき色々なケースがあり一筋縄ではいかない、この事実はまさに裾野の広さを表していると思う。コメント欄での議論はまだ続いているようなので、引き続き注目していきたい。

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