日経ビジネスの11月13日号で"転身経営者が拓く"という特集があり、第1回目はご存知エリック・シュミットでなかなか面白い。
グーグルにとっての成功モデルは、マイクロソフトともヤフーとも違う。ラリーとサーゲイ、そして間違いなくグーグルに加わった私も、マイクロソフトに時間を費やしたことはほとんどない。これはメディアが生み出した焦点だ。我々は時間をかけてマイクロソフトについて話したりしない。
『日経ビジネス 11月13日号』 〜ユーチューブ買収を決断〜
前職でMicrosoftに辛酸を舐めさせられてきたエリック・シュミットの皮肉をこめた勝利宣言という捉え方もできなくはないが、これは結構本当のことなんだろう。
"Google Spreadsheet"や"Writely"がMicrosoftとの競合という文脈で語られているのをよく見かけるが、その目的はあくまで「あちら側」の情報発電所の機能拡張にすぎず、法人からのソフトウェア・ライセンス収入というパイの取り分をMicrosoftから奪おうなんていう気はさらさらないだろう。
本気で競合する気であれば、MicrosoftがNetscapeを徹底的に叩きのめしたように、Google SearchやGoogle DesktopからMS Officeを検索対象として外すなどのえげつない手段も講じうるが、戦略的な優先度は絶対にそこまでは高くない。
ただ、「製品・サービス」という軸では、「マイクロソフトに時間を費やしたことはほとんどない」というのは事実だろうが、「優秀な人材獲得競争」という軸では、それなりの時間を費やしているだろうし、今後もすさまじく熾烈な戦いをMicrosoftと繰り広げる気で満々なのは容易に想像できる。
そのあたりの話は1年前に梅田さんの下記のエントリーでふれられており、非常に参考になる。