Nicohlas Carrが"Microsoft's forecast: cloudy"というエントリーでMicrosoftの"Service Transformation"*1、について、語っており、なかなか興味深い。Ray Ozzie曰く、Microsoftは"Utility Computing"へ3つの階層で参入しようとしているとのこと。
First is the "physical layer" of data centers, which are "of massive scale."
1番目の階層は、巨大な規模のデータセンターという"physical layer"。
GoogleやMicrosoftがデータセンターに膨大な投資を続けているというのは有名な話。ただ、Microsoftが自らが持つソフトウェアパッケージをウェブサービスで提供するとなるとこれはものすごい話。Nicolas Carrのエントリー曰く、昨年マイクロソフトはデータセンターの規模を倍増し、さらに増強に増強を重ねているとのこと。
The second level is "our cloud infrastructure services layer" which forms the "utility computing fabric upon which all of our online services run."
2番目の階層は、すべてのMicrosoftのサービスが稼動する"Utility Computing"の基盤を構成する"our cloud infrastructure services layer"。
データセンタのマシンのキャパシティ管理やストレージ・ネットワークの管理をするソフトウェア群が2つ目の階層とのこと。いわば、ウェブサービスを提供したり、"Utility Computing"を実現するためのOSと言える。この領域で一日の長があるGoogleやAmazonに対して、既存の技術力を活かしてどのように戦うかは興味深いところ。
The third layer - what Ozzie calls "the Live platform services layer" - consists of a set of shared services, such as identity management, contact databases, and advertising, that the company's online applications will draw on.
3番目の階層は、Ray Ozzieが"the Live platform services layer"と呼ぶ、認証管理、契約データベース、広告のような共有サービス群で、Microsoftが提供するアプリケーションがこれらのサービス群を活用する。
企業で言えば経理や人事などのバックオフィス機能。様々なアプリケーションが共有可能な機能については集約し、重複投資を避けることが狙い。
着々とSaaSへの対応を進めるかに見えるMicrosoftであるが、上記の3つの階層というのは何某かのウェブサービスを提供している会社であれば、どこも保持している至極当然の機能、及び階層であり特に新規性はない。しかも、Ozzieはむこう12ヶ月から18ヶ月の間にプラットフォーム、アプリケーションの両方のレイヤーでいくつかの新しいサービスを提供しようとのこと。ここまでの準備に費やした時間は約2年間。合計3年から3年半市場にでるまでに時間をかけることになり、とても素早いとは言い難い。
MicrosoftチームはまだフィールドにでてきていないとNocholas Carrの採点は曇り。大企業病の感染危機にさらされているGoogleに対するMicrosoftのある意味唯一の差別化要因は大企業病を克服し、素早く動くことのできる大組織を手にすること。Ray Ozzie、Steven Ballmerのチームに期待をしたい。
*1:ソフトウェアパッケージを販売する会社から自社ソフトウェアをサービスとして提供する会社への転進