世間では、「年功序列の日本企業と違い、外資系企業は若手を登用する」という言われ方がされますが、それは多くの外資系企業では歴史が浅く、人手不足であることが多いからではないでしょうか。
吐息の日々〜労働日誌 - 身勝手な退社話
歴史が浅く、経験豊富な人が不足気味で、経験を力技で補っているというのは確かに正しい。ただ、若手でばりばりに働く人間50名に対し、1人くらいの割合で酸いも甘いも知っている経験豊富な知識人がいれば十分事足り、手は動かないが口だけはでるという人がそんなに沢山いてもしょうがないというのもまた真実。
平気で米国流の解雇を行うので上が詰まってないとか・・・
雑種路線でいこう - 外資系が若手を登用する背景
平気で解雇を行う会社もあると思うが、外資系でも従業員が数千人を超えるような大企業はなかなかそうもいかない(一番やりたがっているのはそういう会社だが・・・)。もちろんリストラはあるものの、猶予期間が長く、手当ても手厚い会社が多いのではないだろうか。手の動かないコメンテーターが無駄に多いのは会社側も認識はしているが、日本に根付いて長い外資系企業の場合はリストラも時間がかかるのが現状だろう。
でも、そんな時間のかかるリストラを瞬時に実施してしまうという裏技もある。それは事業売却。売却する事業部に所属している人も含めて外にだしてしまうというやり方。勢いあまって優秀な人も外にでてしまうという欠点はあるものの、事業売却という名のもとに組織のスリム化をはかる会社は多いのではないだろうか。
以前本社にたまたまいた時に、フロアにある社内テレビに社長の顔が映し出され、とある事業部を売却することを社内向けに発表するというシーンにでくわした。結構大きな事業部だったので、同じフロアにいる人は全員テレビに釘付け。売却先の会社について、対お客様に対する接し方、その事業と自社の今後の連携などの話が終わった後に、いよいよその事業部に所属する人の処遇に話が及ぶ。
当然、同じ会社の一事業部なので、その事業部の人も一緒に食い入るように社内テレビを眺めているわけである。同じフロアで・・・。で、社長から出た言葉は、「○○事業部にいる方は全員新会社に移って頂きます」。同じフロアで同じ社内テレビを見ていた人間が別会社になった決定的な瞬間。
これは結構えぐい。皆一様に鎮痛の面持ちをしているものの、中には前の月にその事業部から別の事業部に異動した人もいれば、その前の月に異動したばかりの人もおり、人によって思うところは様々。が、売却した瞬間に在籍していたかどうかだけが重要な事実という非常に厳しい世界なのである。
先日、そんな話を昼ご飯を食べながら、数々のそういった修羅場をくぐりぬけて来た方と話した時にその方の言った言葉が印象的だった。
「私も今まで、3回ほど背中のすぐ後ろで崖が崩れたことがありましたね・・・。外資系企業の事業売却はフルーツバスケットみたいなもんなんですよ。音楽が止まった時に、どの椅子に座っているかどうかのみが重要なんです。もっとも音楽が止まる瞬間に椅子を奪い合うなんて、自分の努力が反映される間もないですが・・・」
フルーツバスケットというような可愛いものではないが、これは言いえて妙。もっとも、崖が後ろで崩れ落ちたと思いこんでいるだけで、崩れていたのは自分が立っていたほうだった、なんてことも十分にありうるが・・・。