mixiが東証マザーズに上場するとのこと。上場するにあたり、有価証券報告書が作成され、それが閲覧可能になっているのでちらっと見てみた。mixiという事業の運営を開始したのが、2年半前であることを考慮すると、過去のトレンドから今後の成長率をみることにそれ程意味がなさそう。
danさんが"mixiはいつmixiになるか?"というエントリーでこの財務諸表はmixi事業そのものの財務諸表ではないとの指摘をされているがおっしゃるとおり。
数字を見ても、所詮「へぇ〜」で終わってしまうのだが、折角なので「へぇ〜」と思ったポイントをまとめてみたい。
見方を代えればウェブアプリケーションの画面遷移数であるため、一概に通常のページビューと比較することはできないが、それにしても月間で約60億というのはすさまじい。
mixiのプレミアム会員からの課金収益は、約1.2億円で、全収益の6.3%を占める
上場申請のための有価証券報告書 P.28
無料が常識のウェブサービスの世界において、課金ビジネスで2年半でこれだけの収益をあげるようになったのは結構すごい。また、mixiの広告事業の収益が約5.2億円であり、課金の比率も現時点では結構高い。だが、今後mixiの会員数がさらに増え、プレミアム会員が今の10倍になったとしても、12億円にしかならないとみることもできる(おそらく広告はもっとその間すさまじく伸びるだろう)。現状の単純なプレミアム会員という課金モデルのみではあまり成長を期待できないということができるだろう。
売上原価のメインはmixiが稼動しているサーバーの費用で約77%を占める。粗利率は約94%と驚異的。
上場申請のための有価証券報告書 P.28 / P.56
サーバーの費用が原価の約77%というのは結構すごいが、何を原価として計上すべきかがまだ柔らかいように見える。現に、サーバーの減価償却費は昨年は原価に入っていなかったが今年からいれていると言ったように計上ルールを変更している。また、販管費にニュース提供料を含めているということだが、mixiというウェブサービスの質の向上のためにかけているコストが原価でないというのも少し違和感はある。今後mixiは外部からコンテンツを購入し、サービスの向上をはかることが予想されるが、それらを売上原価と考えるのか、販管費と考えるのかによって、粗利率は大きく変わってくる。よって、粗利率は約94%という数字だけを見て、超高収益事業と考えるのは危険だろう。
2006年第一四半期の売上は約8.8億円。売上総利益約8億円。営業利益約4.5億円。経常利益約4.5億円。
上場申請のための有価証券報告書 P.87
四半期毎の成長率を加味しなくとも、2006年度は売上約35.2億円は実現できそうで、ビジネスは目下非常に堅調。