今年も殆どの子持ち在米日本人の皆さんは、「夏の一時帰国」を終えたことでしょう。家族や友人との再会、日本食の堪能、買い物にパッキングと慌ただしくもあっという間に過ぎ、増えた体重と共に帰米するというのは毎年のパターン。わが家は今年は11度目の一時帰国。流石に、いつも通りのことが多いが、その中でも「今年はこうだったなぁ」ということを忘れないうちに少しだけ記してみたい。
娘との1年ぶりの再会
昨年の6月から日本の大学受験のために本帰国をした娘とは1年ぶりの再会。もちろん、LINEなどでよく話しているが、一人暮らし、大学受験、そして大学生活の開始と、大きな人生の節目を超えた娘は、心なしか大人びており、成長を感じられた。私の母校でもある娘の通う大学のキャンパスを案内してもらったり、成人式の前撮りをしたり、娘の一人暮らし先に家族で泊まったりできたことは、今までにない一時帰国のシーンがたくさんあった。
参院選と投票
一時帰国と参院選の時期がちょうど重なっており、久しぶりに日本の投票所での投票をすることができた。普段は、郵送や領事館で投票するが、市役所の投票所に懐かしさを覚え、得難い経験となった。もちろん、身元確認で若干のばたばたはあったものの、在外投票というイレギュラーにもそつなく対応を頂き、日本の公共サービスの質の高さを実感することになる(アメリカでは絶対にないスムーズさ!)。同じく投票を終えた娘と選挙速報を見ながら政治談議を交わせたのも良い思い出となった。
酷暑と日傘
日本の夏が暑すぎること、そしてその暑さが年々酷くなることは毎年のこと。今年は妻のススメもあり、携帯している折り畳み傘を日傘として使用したが、こんな身近に文明の利器があったか、と驚いた。日傘をさすだけで、あんなに体感温度が劇的に下がるとは思わなかった。正直、男性が日傘をさすことに少し躊躇があったが、そんな些末な見栄のために、日本の酷暑で身体に負担をかけるのは愚かしいことだと、実際にさしてみるとすぐわかる。最近は、男性でも日傘を使っている人も街中でも多く、今後も続けていきたい。
なかなか馴染めない日本のジム
貯筋活動の一環として、一時帰国中もジムにはちょくちょく行く。が、日本のジムはアメリカと比較して、利用マナーが非常に厳しいので、いつもドキドキしていて少し落ち着かない。市営のジムに行った時は、フリーウェイトのコーナーにテープで区画があり、時間制限は20分、終了時刻の記載は必須、そして次に利用する人が名前を書くというシステムだった。狭いスペースを皆で効果的に使用するための工夫なのだが、正直少し息が詰まる。パワーラックもあったのだが、こちらも時間制限は20分でこれではアップで終わってしまう。ちなみに初めて見知らぬ若者にフォーム指導を開始する「指導おじさん」を見て感動してしまった(若者は気の毒であったが)。
都心のインバウンド熱
インバウンド観光客が戻ってきているのは経済的には良いことと思う。母国である日本に他の国の方々が興味をもって訪れてくださるのも嬉しい。が、渋谷、新宿、秋葉原あたりのインバウンド熱は日本の夏くらいに年々熱を増しており、街の雰囲気まで一遍させてしまった感がある。渋谷のスクランブル交差点は、スマフォを高々と上げて撮影をしながらわたる方が結構いるし、秋葉原のドンキで買い物した時など、おそらくレジに並んでいる日本人は私だけだった気がした、、、。都心の人混みで唯一日本人しかいなかったのは、新宿高島屋でやっていた『プレバト展』だけだった。
賛否はあるだろうが、それでも海外在住者としては、東京がもっと魅力ある国際都市に発展してくらたら嬉しい。
一時帰国の醍醐味
11度目ともなると、一時帰国にもある程度の「慣れ」が生まれてくる。それでも毎年必ず「今年ならでは」がある。帰るたびに、「前と同じようでいて、同じではない日本」との出会いがあり、社会の変化や家族の成長を実感する。きっと、ずっと日本で住んでいては気づかないだろうが、一年に一度だからこそ際立って感じられることもある。一つ一つは取るに足らないことかもしれない。だが、帰るたびに小さな発見と驚きがあるのは、一時帰国の醍醐味だ。
来年は、どんな日本に出会えるだろうか。また、1年元気に過ごして、無事戻ることができますように。