ACA(Affordable Care Act)と言われても何のことかわからないという日本人は多いのではないか。通称でオバマケアと言われるやつだ。2010年から施行され、2014年から本格的に運用が開始され、今年で10年ほど経つ。だが、当時は注目を集めた割にはその話はその後あまり聞かない。トランプが大統領になった際に廃案になるだろうなんて話を職場で同僚と話したことがあるが、アメリカ人との話で話題にあがることは殆ない。最近読んだ本の一部を引用しながら、現状をまとめてみたい。
上記は民間保険に加入している人と公的保険に加入している人の数を表したもの。ざっくり言うと、”Any private plan(民間保険)”が2億人で、”Any public plan(公的保険)”が1億人で、公的保険を利用してない人が半数以上だ。オバマケアが導入されても、この大きな構造は変わっていない、というのは大事なポイント。 ちなみに私はどこに位置するのかというと、”Employment-based"の中におり、勤め先の提供する福利厚生を活用して健康保険に加入しており、このグループが実はアメリカでは一番多い。”Any public plan”の下の”Medicare"は高齢者向けの公的保険、”Medicaid”は低所得者向けの公的保険であり、これらもアメリカの健康保険の主要な部分に新しい。 で、それらに当てはまらない人は自分で民間の保険会社から直接購入しないといけない。そういう「福利厚生で健康保険を提供しているような大きな会社には勤めておらず、かつMedicaidを受給するほど生活が困窮していない」人たちは高額な健康保険になかなか手が出ず、少なくない人たちが無保険者となっていたのだ。そこの部分をパッチワークでもよいので解決しようというのがオバマケアだ。
オバマケアの4つの施策
具体的に何をしているのかと言うと、まずは「保険加入の義務化」。「とにかく全員入れ」というもので、当初は罰金があったが、トランプ政権で罰金が撤廃されたため、義務化の効果は若干薄れてしまった。 そして次に、低所得者向けのMedicaidの拡大。中央政府から州政府の補助金を出して、もっと広い所得範囲の人にMedicaidを適用しようよ、というもの。ただし拡張の選択権は州政府にあるので、先程述べたように州ごとに差が出ている。 そして、”Any Private Plan”の下の”Direct-Purchase"、即ち勤め先ではなく保険会社から直接保険を購入している人を増やそうぜ、というもの。そのために、州政府が健康保険を購入できるようマーケットプレイスを設立できるようにし、そこ経由で購入した人はプレミアムつきの税控除を通して補助金を受給することができるのだ。”Market Place Coverage”と書いてあるのがそこに該当する人たちで、あえてここを別立てに表記しているのは、オバマケアの効果測定をするためだろう。まとめると、オバマケアは、