前回に引き続いて、「30代キャリア考」というテーマで先日より考えていることを書いてみたい。
前回のエントリーでは「自分の天職探し」に取り組むべきかどうかについて書いたが、今回は「自分が何に興味がある何者なのか」を探求するためには、どのように頭と手を動かしたらよいのかをについて考えてみたい。先日相談した方からその点について色々アドバイス頂いたのだが、自分なりにまとめると下記の通り。
- 自分の可能性空間の地図を先入観に囚われず、目先の制約に縛られず、地道に作り続ける
- 自分の興味や関心のレーダーが何に反応しているか、自らの日々の心の動きに注意を払い見極める
- 自分が何者で、何ができるのかを受け入れ、分かれることのできない自らと付き合う覚悟を決める
まず1点目。これは今選択できる転職や転籍の機会を列挙するという「今きることができる手持ちのカード」を並べるという狭いことではなく、将来的に獲得可能性のある機会、即ち「今手元になくとも、手にすることができるチャンスのあるカード」も含めて、自分のキャリアの可能性を探ってみるということ。選択肢がそれなりにある反面、考えが拡散してまとまりがない私にとっては、これは急がば回れ式の貴重なアドバイスだった。
「先入観に囚われず、目先の制約に縛られない」というのも大事なポイント。「自分はこの分野には興味がないから・・・」となんでもかんでもきって捨てるのではなく、「可能性空間」を押し広げるきっかけになるかもしれないので「先入観に囚われず」、幅広い選択肢を地図にのせるというのは重要。また、「妻子がいるからこのリスクはとれない」など目先の制約でばっさばっさ遡上からおろすのではなく、到達に向けての困難度合いやリスクも含めて地図に描いていくことも同様に重要。
ありていに言えば、ありとあらゆる可能性をまず地道に棚卸してみるということ。電撃的な出会いで天職が見つかった、自ずと今の職業が天職であった、ということももちろんあろうが、今そういうステージにないのだから、地道な棚卸作業から着手し、あれこれ考えることが今の自分にできる大事なことだと今は強く思う。
次に2点目。本を読んであるPhraseが気になったり、人と話をして感銘を受けたり、ネットで情報収集をしてブックマークをつけたり、日常生活の色々なシーンで自分の「興味や関心のレーダー」は反応をする。ある一つの反応のみをもって、「自分が何に興味をもつ何者なのか」を特定することはできないが、レーダーの反応を一つ一つ集積していくことにより自分の興味の全体像や価値観を浮き上がらせることができるというのがポイント。
また、興味の対象にとどまらず、心が動くきっかけを因数分解することを通して*1、自分は何に向いていて、何に向いていないのかを見極めることも同様に重要。これまた地道な作業であるが、今の自分には必要なことだと強く思った。
最後に3点目。自分の可能性を押し広げる努力は必要だし、物事に関心をもったり、喜びを知覚するために自分を磨くことはもちろん大事。ただ、自分が望んでも可能性空間の地図に描けないこともあれば、表面的に自分が興味あると感じていても、自らの根っこの部分がそれを受け入れないということ(別の言葉で言えば、向いていないこと)はままある。
友人や伴侶はある意味選択可能、かつ代替可能ではあるが、自分自身をそっくりそのまま変えることはできない。なので、あらゆる可能性を探り、自分の嗜好をぐりぐり考えた後は、現実的な可能性、及び向き不向きと真剣に対峙し、多くの可能性を捨てるという意思決定をしなければならない。そして、そこで求められるのは、代替不可能な自分という存在と最後の最後まで付き合う覚悟なんだろう。
なかなか道は険しそうだが、まずは行動あるのみか・・・。
*1:例えば、給料があがれば誰でも嬉しいが、その嬉しさは純粋に使える金額が増えるから嬉しいのか、自分の仕事の成果に対する評価をえたから嬉しいのか、同期と比較し自分の方が昇給が早かったから嬉しいのか、など嬉しいと感じる要素を紐解いていく、ということ