私なりに言いかえるとこれは、文系を排除した理想のナスダック、つまり「理系ナスダック」である。
内部に対しては「愚図愚図してると『理系ナスダック』で外部から調達しちゃうぞ!」というプレッシャーを与え、外部に対しては「自分のサービスに自信があるツワモノは、(上場基準や審査スピードがよりハッカー向きになっている)我が社の『理系ナスダック』でEXITしませんか」という勧誘になっている。
ようつべ買収はグーグルの世界政府β版=日本政府2.0への序曲
公開株式市場かの如く、多岐にわたる事業を保持し、Googleの20倍以上 *1の時価総額を誇るすさまじい会社がある。ジェフリー・イメルト率いるGEだ。IBMと並び10年間時価総額ランキングの10位以内にランクインし続けている、恐ろしい会社だ。
大分古い記事になるが、id:essaさんの"理系ナスダック"という言葉にびびっと来た人は下記の梅田さんの日経ビジネスによせたコラムを見ると面白いと思う。
要点を言えば、
『「自分が得意とするたった1つのこと」に個々の企業は集中するというのが現代の株主志向経営の常識にも関わらず、GEはシナジーが全く存在しない非関連事業の多角化を達成し、しかも市場の信認を集め、世界最高の時価総額を維持している。それは市場の監視力をウェルチ氏の経営力が上回っていることに他ならない。』
という感じになる。
Googleが「理系ナスダック」なら、GEは「ぷちナイス*3」ということができるだろう。
「Google VideoをもつGoogleがYouTubeを買収したらそりゃシナジーが働くだろう」という感じる方もいるかもしれないが、Flickrやdel.icio.usがYahoo!に買収され、それ程シナジーが働いている気もしなければ、働かせようという意図も私にはあまり見えない。
無理に全体最適を追求するよりも、個別最適の集合体を築き、必要最低限な緩やかな連携をすることにより、人的資本効率の最大化を狙うというのが、最近の大手インターネット関連企業の戦略なのではないかと感じている。
「ペイジ・ブリン・シュミットの経営力が、ナスダック市場の監視力を上回ることができるのか?」、その結果として「"理系ナスダック"は"ぷちナイス"GEを上回ることができるのか?」、"理系ナスダック"という言葉を聞いて、そんな興味がむくむく湧いてきた。