最近、素人くさいマイクロフォーマット論を展開しており、いつ「お前は全然わかっとらん」という突っ込みがくるかびびっていたが、yomoyomoさんから下記のマイルドなトラックバックを頂いた。
microformat という言葉はもちろん以前から何度も耳にしていたが、よく理解していなかったので個人的にとてもためになった。
しかし……これを読んで思ったのは、「でもそれってセマンティック・ウェブでは?」という疑問である。
マイクロフォーマットが目指すものはセマンティック・ウェブとは違うのか?
これを読んで、「えっ!マイクロフォーマットって、セマンティック・ウェブ実現のための一つの手段ではないの?やばい、やってしまったか・・・」と、ぱっと思い、紹介されている下記のリンクやWIKIPEDIAを読んでみた。
どうも上記の私の思い込みは100点から程遠いが、あながち0点とも言い切れない模様。
セマンティックウェブとマイクロフォーマットの関係については色々な解釈がありうるようなので、いくつかの気になった解釈を以下整理してみたい。
<マイクロフォーマットはXHTMLという技術を用い、セマンティックウェブはRDF、OWLなどの技術を用いる>
解釈が容易でないことには、大体広義と狭義の2つの意味があるものだが、セマンティックウェブも例に漏れないように思える。
- 広義:あらゆるウェブ上の情報がコンピュータに理解可能な形式で格納されており、検索・データ処理の実現範囲・容易性が飛躍的に高まったウェブの世界
- 狭義:RDF、OWLなどの技術を用いて情報が整理されたウェブの世界
上記の狭義の意味で解釈するのであれば、マイクロフォーマットとセマンティックウェブは区別する必要がある。使用するツールに起因する違いなので、言うなればこれはフットサルとサッカーが異なるように両者は異なるものと考えなければならない。
<マイクロフォーマットは部分最適で、セマンティックウェブは全体最適である>
RDF、OWLとXHTMLの違いには触れなかったが(厳密に言うと理解がおいつかなく触れられなかったのだが)、想像するにどれだけ抜本的にやるのかの違いのように思われる。家をリフォームするのか、思い切って立て直してしまうのかとか、社内基幹システムの効率化をシステム間インターフェースを作ってやり過ごすのか、ERPを導入して抜本的に作り直してしまうかの違いに近い。
既存フォーマットを活用するというmicroformatの考え自体は悪くないが、下手をすると関係者間でしか意味が通じない語彙が量産されて、逆ネットワーク効果を生み、ウェブが分断されかねないというのは、ぜひ念頭に置いておきたいポイントだ。
yomoyomoさんが引用されている上記の指摘は正に部分最適・全体最適の議論だと思う。手はつけやすいが、整理統合度合いの弱いマイクロフォーマットを使用すると、DVDの規格が乱立するような混乱がウェブの世界にもおきうるということだろう。
また、そういう視点での解釈としては
多くの問題を解決するための大きな仕様ではなく、特定の問題を解決するための小さな仕様で、ウェブ上のデータに Simple & Easy にメタデータを与えていきましょう...その試みが microformats です。
microformats って一体何だ?
というnaoyaさんの解釈も理解を深めるのに役立つ。
<マイクロフォーマットはセマンティックウェブの現実解である>
これは上記naoyaさんのエントリーのはてブコメントに多かった解釈。狭義のセマンティックウェブを実現する上でのボトルネックは、兎にも角にも年々増加するウェブへの情報発信者に対して、ルールに従ってウェブ上に情報を発信することを徹底することにつきる。
- 何も気にせずともセマンティックウェブに準拠した形式でウェブ上に情報発信をできるツールの普及・浸透
- その上で、セマンティックウェブ形式ではない情報は情報にあらずという域に到達
ボトルネックを解消するための道筋は上記以外に今は想像できない。が、そうは言っても、その域への到達はあまり現実感がなく、マイクロフォーマットを使って、プチセマンティックウェブというあたりに落ち着くのがせいぜいなのでは、という見方もある模様。