Thoughts and Notes from CA

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

許してやれよ、「おとう飯」

内閣府の「おとう飯」キャンペーン炎上しているとのこと。男性の炊事への参画を促すキャンペーンのようで、私からみれば厚労省の「イクメン」キャンペーンと大差はない気がするのだが、敢え無く炎上してしまったようで、色々なご苦労の末、推進されてきたご担当の方にはご愁傷さまとしか言い用がない。主な炎上のポイントは下記の模様。

  • 自分はきちんと料理をやっている、男性を舐めている!
  • 洗い物までしっかりやらなければ意味がない!
  • 長時間労働の是正が先だ!

何と言うか、「みんな心が狭いな、「おとう飯」を許して、もっと温かく迎えてやれよ」って感じ。

私は「イクメン」キャンペーンなんてものがが始まる前から父親業に真剣に取り組んでいたので、「〇〇さんってイクメンですよね」って言われても、ちっとも嬉しくない(むしろ煩わしい)。でも、男性の育児への参加を促すことそのものは良いことだし、そのキャンペーンをきっかけに子育ての楽しさを覚える男性が増えるのはとても良いことだと思う。なので、「おれは元々ちゃんと父親やってるんだよ、舐めんな!」とかは思わないし、「キャンペーンがうまく浸透しているようで良かったね(自分はあまり関係ないけど)」、というようにポジティブにとらえている。既に「料理をよくやっているよ」という人も、「おとう飯」キャンペーンをみて「男を舐めるな!」とか憤るのではなく、「あぁ、自分はキャンペーンのターゲットではないんだ」とさらっと流し、「料理の楽しさに目覚める男性がもっと増えればよいね」と応援してあげればいいのにと思う。

「家に帰るまでが遠足」と一緒で、「調理器具・キッチンを片付けるまでが料理」というのが私の信条なので、「洗い物までしっかりやらなければ意味がない」というポイントもわからないでもない。だけど、今時料理をしない男性というのは、それなりの理由があって今に至るわけだから、いきなりハードルをあげずに、まずはキッチンに立ってもらうところから始めないと。「人に料理を作って、美味しいと喜んでもらえる楽しさを覚えてもらうこと」が第一に超えてもらうハードルであって、それを過ぎた後に片付けや段取りの話をもってこないと長続きしないだろうに。料理に慣れてくれば、段取りや片付けを意識しながらしたほうが、調理がスムーズに進んで楽しい、という別の料理の楽しみを自然と覚えるようになると思うのだが。

上記の2点は外野からの突っ込みと思われるが、「長時間労働の是正が先だ!」という点は、「おとう飯」キャンペーン対象の料理をしない層からもでている声だろう。この批判にも私は違和感がかなりある。長時間労働是正にしても、男性の家事・育児への参加にしても、長く培われてきた慣習をより良い方向に変えていこう、という話しなのだから、どっちが先で、どっちが後というものでもない。「長時間労働は国が何とかしてくれ」という他力本願具合も何とも頂けない。そんな批判をしている人は、残業時間が一時間減ったくらいで、その時間を料理に回すということはまずないんではないだろうか。まぁ、育休取得奨励という働き方とセットで進めた「イクメン」と、肩に力いれずに飯作りなよ、というメッセージングのみの「おとう飯」の、キャンペーンとして構想力の違いが、受け取られ方の差を作っているのだろうが。

若干、進め方やメッセージに頂けない点はあったかもしれないが、そこは目をつぶって、「おとう飯」キャンペーンの意図を汲んで温かく見守ってあげたい。

Creative Commons License
本ブログの本文は、 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 非営利 - 継承)の下でライセンスされています。
ブログ本文以外に含まれる著作物(引用部、画像、動画、コメントなど)は、それらの著作権保持者に帰属します。