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ktdiskのブログ

読んだ本の感想、所々の雑感、日々のあれこれを綴るブログ。

震災で垣間みえる外資系企業の実情

大阪のホテルに予約殺到、外資系幹部の避難用か
【東日本大震災】H&M、関東全店舗休止 スタッフら最大2000人関西に
駐日大使館や外資系企業、帰国勧告や日本西部に避難


こういった記事を最近よく見る。この不透明な先行き感の中、各社によって対応が異なり、それぞれの企業の色がでて中々興味深い。私は外資系企業に現在勤務しており、「東京のオフィスを大阪に全部移す必要はないのか?」と息巻く外人と電話会議をしたり(答えはもちろんノーだが)、海外メディアを通じての情報しか知らない外人に対して東京の状況を一次情報として伝えたり、現場で各種の対応をしている。上記の記事をみると外資系企業に勤務する者として思うところもあるので本エントリーではそれを共有したい。

本国をいさめる会社と本国にのっかる会社

「本国からの指示で東京から退避」というような記事を見ると、この会社は日本でのグリップがあまりきいてないんじゃないか、と直感的に思ってしまう。海外メディアを通じてしか情報をえることができない本国に対して、日本の報道、世論、現場での一次情報を適切に伝え、日本としての状況判断ととるべき対応を伝える、というのが日本法人に求められることだ。
本国が「わっ」と騒いだからと言ってすぐ「よし、じゃぁ皆、関西に移転しよう」と流され、のっかってしまうのは私にしてみれば日本法人としての機能を果たしていない*1。適切に状況判断し、過剰反応する外人をいさめることこそが、日本法人の役割だ。東京の店舗・日本本社を閉鎖し、家族も含めて関西に移転なんていうのは如何にしてもオーバーリアクションで、日本での制御がきいていないのではないかと疑問を覚える。

危機的状況において、トップが日本に不在であるということ

海外から赴任している東京の外人を関西に移動させる、国外に移動させる、というのは私はまぁ致し方ないと思う。日本人は母国語で、テレビや新聞のようなマスメディア、ブログやTwitterのようなウェブのメディア、そして知人との情報交換などの幅広いチャネルから情報を大量に収集することができる。一方で日本に赴任している外国人は、母国語での情報が限られており、空気が読めない中、余震の危険性がどのくらいで、原発事故が東京に及ぼす危険性を適切に状況判断することは難しいだろう。
震災翌日の土曜日に早々にアメリカに帰国した某大手ERPベンダーの社長もいるようであるが、上記のことを考えるとその人個人を責めることなんて絶対できない。ただ、こういう状況において、陣頭指揮をとるべきトップが日本からあっという間にいなくなってしまう体制をしいている企業とそうでない企業の間に、日本市場に対する真剣味に差があるのはまぎれもない事実だ。こういう状況においてトップが日本にいなくても平気な会社とトップが睡眠時間を削って陣頭指揮をとっている会社、どちらと付き合うべきか、どちらの製品・サービスを購入すべきか、考えるまでもない。

ロジカルではあるが、後付け・無理矢理感の否めない理由

本社との議論の中でメインとなるのは、震災の影響で東京でライフライン、ビジネスインフラが保てているかという点と、福島第一原発の現状をどう評価し東京の安全性をどう評価するかという2点だ。
関東近辺の店舗、オフィスを閉鎖している外資系企業がいくつかあるが、前者のポイントで論理的には筋が通った致し方ない理由を並べている。
被災地では深刻なエネルギー不足となっているため、関東の3店舗を臨時休業することでエネルギーが極力被災地に提供されるようにしたい(IKEA)」
「物流拠点が東京電力計画停電で操業停止に追い込まれ、商品の供給が難しくなった(H&M)」
「サポートセンターおよびバックオフィス部門を西日本支社に移管し、お客様およびパートナーの皆様に対する万全なサポート体制を保持しております(SAPジャパン)」
だが、現在の状況を鑑みるに、「東京でライフライン、ビジネスインフラが保てているかという点」で関東撤退がやむをえないというのは無理があり、もしそれが本当の理由であればその企業の経営者の情報処理能力に私はかなり疑問を覚える放射線の危険性に対する不安からの関東撤退がありきで、後付けで上記のような理由がつけられた感が否めない。IKEAなんかは良くこんな理屈を考えたもんだと思うが、福島原発が全て廃炉になって夏場、冬場にエネルギーが不足する事態になったら、春・秋は関東でも営業し、夏・冬は営業停止なんて対応をするのだろうか。


まぁ、上述した会社は、まだ公に企業としてのポジションを示しているだけでましである。公に何の発表もしないで、東京の店舗を閉じているシャネル、ルイ・ヴィトンディオールというような消費者を馬鹿にしている企業もある*2今回の件は、外資の中でどこの会社がどのくらいの真剣度で日本市場にのぞんでいるのかを、如実に表している。取引先の外資系企業をよくよく注視することをお勧めする。

*1:もちろん、飛び交う情報を日本法人として判断し、意思決定したという場合もあろうが

*2:[追記]一部誤解があるようなので、追記をするが、個人として関東圏を離れる人をあれこれ言っているわけではない、それぞれの健康や心のゆとりに応じて、自分の優先順位で決めるべきだと思う

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