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ktdiskのブログ

読んだ本の感想、所々の雑感、日々のあれこれを綴るブログ。

芯のあるジャーナリストとないジャーナリスト

日経ビジネスの2009年3月31日号の「敗軍の将、兵を語る」がかなり面白い。

ネットによる言論も大いに結構です。ただ、教養に裏打ちされた文章ばかりというわけではありません。このように言論状況が玉石混交となっている時だからこそ、論壇誌として健全な論壇を支えていかねばありません。それなのに今回、諸君!を休刊することになって、心苦しい限りです。

諸君!の発行人だった松井清人さんがでているのだが、出版会全体が苦境に苦しむ中、諸君!を休刊せざるを得なくなってしまった苦しい胸のうちが吐露されている。ただ、苦境の原因がインターネットの台頭であることを認めながらも、いたずらにそれを批判するわけではなく、リベラル派がインターネットをあまり活用しないことを不思議がったり、健全な論壇を形成する上でのインターネットの論調の懸念点を指摘したり、当事者でありながらも客観的な視座から現在の状況を考察している。そして、客観性を維持しながらも、日本の言論の質を高く保たなければならないという松井さんの強い熱意が文章全体から伝わってくる。


こういう骨の太い文章を読んだ後に、不幸にも"書くことの難しさ ネットの言論はなぜ質が低いか"という藤代さんの釣り記事を読んだのだが、これにはかなりがっかりした。というか、がっかりを通り越して、怒りのほうが強い。タイトルで「ネットの言論は質が悪い」とキャッチーなタイトルをつけて注目を集めながら、

日経IT-PLUSのコラム「書くことの難しさ ネットの言論はなぜ質が低いか」に色々な意見を頂いています。整理が十分でない原稿を出してしまったことを反省しています。

と自らの原稿の質の悪さを別途自身のブログで詫びる始末。狙ってやったのかわからないが、この自爆テロ的なプロモーションはあまりにいただけない。大見得をきって「質を問う」以上、自身の論考の質を一定以上に保ちつつ、かつそれに対して十分な自信を持って欲しいものである。

このCoSTEPでの経験とマスメディア内に蓄積されたノウハウを使って、新たなジャーナリスト教育に取り組めないか。昨年末に記者や研究者らに構想を打ち明けたところ、10人以上から協力を得られ、大学生を対象にしたジャーナリスト教育プログラム「スイッチオンプロジェクト」を立ち上げることができた。この週末の合宿からプログラムはスタートする。

「ネットの言論は質が悪い」というタイトルで釣りながら、結局自身の手がけているプロジェクトの宣伝で原稿が締めくくられており、マーケティング戦術的*1にはあからさまで素人臭く、ジャーナリズムという点では一切の品位が感じられない"書くことは本当に難しい"というフォローアップのブログエントリーでも、質の低さを表向き詫びつつも、自身のプロジェクトの宣伝で最後を締めくくり、余念がないことこの上なく失笑を禁じえない。


松井さんの文章にはジャーナリストとしての芯を感じたが、逆に藤代さんの文章は芯のなさがよく表れている。ジャーナリストとしての倫理みたいなものがいくらかでもあるなら、今から「私はなぜスイッチオンプロジェクトをはじめたのか?」くらいにタイトルを変えたらどうだろうか?まぁ、昔はジャーナリストだったが、今はそうでないというようなら別にいいのだが・・・。

*1:SWOTをマーケティングの基本理論と紹介するあたりで、お勉強の度合いはしれたものだが・・・

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