NYTの"The Graying of the Web"という記事に、日本で言うところの団塊の世代層のSNS事情が書かれておりなかなか興味深い。要点は下記の通り。
- 10代、20代のに焦点をあててきた投資家や起業家が、最近団塊の世代に目を向けている
- 55歳以上のインターネットユーザ数は18歳から34歳のユーザ数と同じという統計もあり、市場規模も大きいためベンチャーキャピタルも積極的に投資をしている
- 団塊の世代のユーザはMySpaceやFacebookでは、参加者が非常に移り気で、根をはってじっくりと親密な関係を構築ができないと感じているため、Multiply.comのようなシニア向けのサイトに集まる
- そこでは、病気、健康、離婚などのシニア向けの話題が盛り上がる傾向にある
- 団塊の世代ユーザは、参加への敷居は高い反面、一度入り込めば、定着し、息の長いユーザとなる
上記の流れは2つの文脈でとらえることができる。
まず、インターネットというツールを通じて人と人が結びつくという一昔前ではかなりGeekな人たちの世界でのみされていたことが、事業として注目される程度にシニア層にも伝播したということ。新しいテクノロジーへの敷居の高い方たちに伝播しているという事実は、単なる流行を越えて、提供価値がきちんとあり、なおかつわかりやすい形でそれが表れたとみてとることができる。
2つ目にシニアな世代がネットワークに参加することにより、その価値が全体的に高まるということ。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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ソーシャル・ネットワーキングとは「世界中のすべての人々が互いにどういう六、七人の知己関係の連鎖でつながっているか」という「巨大な人間関係マップ」を構築する過程にあると考えることもできる。
・・・<中略>ソーシャル・ネットワーキングは「人々をテーマごと、局面ごとに評価する」という「人間検索エンジン」とも言うべき仕組みへと発展する可能性を内在しているのである。
『ウェブ進化論』 〜第五章 P.201〜
『ウェブ進化論』にSNSは「巨大な人間関係マップ」との記載があったが、人脈というのはある年齢までは年を経るごとに拡大していくもの。団塊の世代の方の現在の人脈は、人生の中でちょうど最大化されている時期とみることができる。「巨大な人間関係マップ」の中にこの「大きなピース」を取り込むことの意義は結構大きい。
おまけでもう一つだけ妄想するに、団塊の世代の人脈は現在をピークに徐々に減少していくことが想像される。というのも、お年がお年なだけに、亡くなる方もでてくるからだ。Multiply.comのようなサイトには訃報機能があったりするのだろうか・・・。自分の知人が亡くなった場合は一定範囲のネットワーク内に訃報が伝達され、訃報を風の噂で聞くなんてことがなくなるとか、結構現実的で需要がありそうな機能だと思う。まぁ、「あなたが亡くなった場合の訃報伝送機能」なんてあまり客引きにならないだろうが・・・。