Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

ブログの書籍化考

先日読み終えた『インターネットの法と慣習』はHOTWIREDの人気連載を一冊の本にしたものだが、書籍としての仕上がりはそれ程品質が高いとは正直言いがたい。書籍化にあたり、「全体像を見極めて構成要素を整理する」という構造化と「構成要素を秩序づけて一つにまとめあげる」という体系化がそれ程なされていなく、紙面に限るのある書籍向けに章立てをきりなおしただけという感は否めない。


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

インターネット上に公開した文書の体系化と構造化をきっちりやり書籍化するということは、梅田さんが『ウェブ進化論』で正直やりすぎた感があるので、後に続く人は大変だろう。ただ、末永く、かつ幅広い層にまとまった知として受け入れられるためには(ひいては書籍の売上がそれなりにあがるためには)、その度合いがキーポイントになるのだろう。


もっとも、『インターネットの法と慣習』はカジュアルな語り口の割りにかたい内容が含まれるので、法というものを真面目に考えたことのない私のようなものには、インターネット上に公開されているものを読むより、持ち運びが容易で読みやすい書籍になっていたほうが理解のためにはありがたいのは事実。そう考えるとウェブ上に公開されている一定水準の論考は、あまり手を加えないのであれば新書で出版し、構造化と体系化をきっちりはかるのであればハードカバーで出版するというのがよいかもしれない。


本屋にまでインターネット上の玉石混交の余波が押し寄せることは想像に難くないが、その辺りのフィルタリングとメディア選定を出版社のほうできっちりやってもらえると読者としてはありがたい。

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