『マッシュアップ--仮想空間と現実をつなぐ地図』を読んだ。要旨は下記の通り。
- 複数の情報源から提供されるコンテンツを組み合わせることによって作られたWebサイトまたはアプリケーションを"Mashup"と呼ぶ。
- Google Mapsの登場が人々のインスピレーションを喚起し、デジタル地図の分野で沢山の"Mashup"が生まれている。
- 地図"Mashup"の出現に伴い「誰もが地図に情報を加え共有できる」ことが可能になり、色々なことの利便性が飛躍的に高まった。
- 地図"Mashup"は個人が情報共有目的で使用することもあれば、地域密着型の広告配信サービスとして企業がビジネス目的で使用する場合もある。現時点ではどの"Mashup"が最後に笑うかはわからない。
普及の要因の色々な視点からの分析やGoogle Mapsを使用した"Mashup"の豊富すぎるほどの事例が記載されており、考えるネタが色々盛り込まれており、なかなか面白い。
「マッシュアップで利益を出すことが可能になれば、いずれ淘汰が起きるだろう。生き残るのは、ソリューションを持つ者だけだ」(Kreitler)
どの地図サービス、またはマッシュアップが最後に笑うのかを判断するのはまだ早いだろう。
上記のように記事の関心は、「誰かが淘汰され」、「誰かが最後に笑う」という"Mashup"、及び地図サービスの商用目的の可能性によっているようにみえるが、豊富な事例やその普及の背景を考えるにつけ、
- 技術革新の結果、"Mashup"という新しい創作手法が可能になり、WEB上の不特定多数のCreatorの創造性を喚起し、質の高いWEBサービスの絶対量の増加が促進された。
- "地図情報"のような不特定多数の人間の目と手を投入したほうがコンテンツが充実する世界で参加型のアーキテクチャが有効に機能している。
などの時代の流れがすけて見えてくる。
現在読み途中の『デジタル音楽の行方』に下記の記述があるが、
結局のところ、文化も芸術も無から作られることはない。それどころか、常に多くの影響をブレンドしたものであり、その中にはまったく新しい素材もあれば、非常に古いものもある。
- 作者: David Kusek,Gerd Leonhard,yomoyomo,津田大介
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2005/12/06
- メディア: 単行本
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『デジタル音楽の行方』 〜第3章 P.68〜
偉大な作曲家が先人にインスパイア新しい音楽の境地を拓き、我々の文化的生活を豊かにしてきたように、"Mashup"が多くのCreatorを創作活動に駆り立て、WEBサービスが充実することにより我々の生活が豊かになるというより大きな視点での理解がまずあるべきだと思う。"Mashup"でどうもうけるか、WEBサービス提供時のコストが安くなり助かるという点しかみないのはいかにしてもせこい。