先日、ボストンに家族旅行にいってきた。東海岸のノースカロライナ州に住むわが家から飛行機で2時間弱の近さで、ニューヨークほどの喧騒はなく、ノースカロライナほど田舎でもなく、歴史を感じる文化レベルの高さを感じる都市で大いに楽しむことができた。「秋のボストン」を楽しみたい、というのが旅行の主の目的ではあるのだが、今回はもう一つ目的があった。それは、衆議院選挙の在外投票だ。
在外投票というのは、結構ハードルが高い。まずは、在外選挙人登録を日本の市区町村の選挙管理委員に対してしなければならない。領事館が側にないわが家では、
- 管轄領事館に在外選挙人登録申請書を郵送
- 管轄領事館が申請書を外務省に郵送
- 外務省が市区町村の選挙管理委員会に郵送
- 選管が登録手続きをしたら外務省に「在外選挙認証」を郵送
- 外務省が管轄領事館に「在外選挙認証」を郵送
- 管轄領事館が「在外選挙認証」をわが家に郵送
という果てしない郵送での書類のリレーが発生した。在外日本人関連の手続きは、ウェブ申請の恩恵を最も受けることができるエリアであるにも関わらず、ウェブ化が最も遅れている。「在外選挙人登録申請書」のPDFを領事館のウェブサイトからダウンロードできる、というところが唯一ウェブ化されたところであるというのは、悪い冗談のようで、在外日本人の現実であったりする。はっきりと覚えていないが、申請をしてから「在外選挙認証」の受領まで3ヶ月はかかったと思う。
「入り口」となる「在外選挙認証」の手続きのハードルはご覧いただいた通り、かなり高いのだが、個々の投票も郵送で対応しようとすると、同様にハードルは果てしなく高い。手続きとしては、
- 「投票用紙請求書」と「在外選挙人証」を日本の市区町村の選挙管理委員会に郵送
- 日本の選挙管理委員が投票用紙と封筒を郵送
- 投票用紙に記入して、日本の選挙管理委員に郵送
となり、「在外選挙認証」とは異なり、領事館と外務省が中抜きできているのでまだマシと言えばマシではあるが、それぞれの投票をするまでに、わが家の場合だと日米間で合計三度の郵送でやりとりが発生し、お金も時間も結構かかる。
日本ではいよいよマイナンバーカードを利用した電子手続きが進み始めているが、マイナンバーカードの発行されない、在外日本人がそういった電子化の恩恵を受けるのは遠い未来のこととなるだろう。
ついつい愚痴と不平が長くなってしまったが、本題に話を戻したい。在外選挙の方法として郵送の他には大使館、並びに領事館で投票をするというありがたい方式がある。「在外選挙人証」と「パスポート」を持って在外選挙を実施している領事館に行けば、その場で投票できるのでかなりお手軽だ。手続きとしては、
- 領事館で「投票用紙請求書」と「在外選挙人証」を提出
- 投票用紙をその場で受領
- 投票用紙に記入をし、日本と同様に封筒に投票用紙を入れて、投票
と、日本と殆ど変わらない手間と時間で投票ができる。が、ノースカロライナ州という米国東海岸の田舎に住むわが家から一番近いのは、ワシントンの大使館か、アトランタの領事館だ。両方とも車で片道5〜6時間はかかるので、「じゃぁ、選挙に今日は行ってくるか」というトーンで行けるものではない。
というわけで、今回は未だ訪ねたことのないアメリカの領事館のある大都市であるボストンに投票も兼ねて旅行にいくことにしたわけだが、この企画は一石二鳥で大当たりであった。その手続の重さから、しばらく投票ができていなかったのだが、これを機にわが家では、少なくとも衆議院選挙と参議院選挙の際は、領事館のあるアメリカの都市を旅行してしまおう、という新たなルールを作ることにした。領事館があるアメリカ本土の都市は、
- アトランタ
- サンフランシスコ
- シアトル
- シカゴ
- デトロイト
- デンバー
- ナッシュビル
- ニューヨーク
- ヒューストン
- ボストン
- マイアミ
- ロサンゼルス
- アンカレジ
- ポートランド
となる。旅行先として、魅力的な都市もあれば、そうでないところもあるが、中々悪くない企画だと思う。同じ悩みを抱えている、在米日本人の方、是非参考にされたし。