Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

ドリコムの第一四半期業績考 短期借入金について

ドリコムの第一四半期の業績が8月6日に開示された。以前、年次決算が開示された時に"ドリコムの株主総会で聞いてみたいこと"というエントリーで私がドリコム株主であれば、経営者に対してどのような突込みをするか4点ほどあげてみた。第一四半期も昨年の年次決算同様、かなり盛り沢山の内容になっているため、前エントリーのフォローも含めて気になる点を2〜3回にわたって書いてみたい。


まずは短期借入金について。以前のエントリーでは短期借入金について下記のような記述をした。

ただ、昨年上場をして、資金調達をしたばかりで、当期売上金額相当の7億円の短期借入というのは、使いっぷりもさることながら、借りっぷりも相当な大判振る舞いだ。この7億円の主要使途については、株主としては是非確認したいところだ。しかも、2007年4月26日という次期決算期では(株)ジェイケン取得のために13.2億円のキャッシュアウトが見込まれている。一方で、当期現金残高は4億円足らずであり何とも心もとない。

(株)ジェイケンが相当なキャッシュリッチ会社であるとか、増資による資金調達の目処がたっているだとか、短期借入金7億円の返済目処というのはものすごく気になるところ資金ショートでゲームオーバーの可能性も十分にあるため、返済プランについては必須確認項目だろう。

その際の懸念事項をまとめると下記のとおりとなるため1つ1つ見ていきたい。

  • 前四半期の借入金7億円は(株)ジェイケン取得のためのものだったのか否か
  • (株)ジェイケンは相当なキャッシュリッチ会社であるか否か

前四半期の借入金7億円は(株)ジェイケン取得のためのものだったのか否か


上記が今回開示された連結BSの一部。ご覧いただければわかるとおり、第一四半期に新たに11億円の短期借入をしている(第一四半期借入金残高18億円−前四半期借入金残高7億円)。この11億円を使って(株)ジェイケンを買収したということは今回の報告書の中ではっきり記載されている。なので、前四半期の借入金7億円は(株)ジェイケン取得のためのものではなかった。
そうすると前四半期の7億円は何に使ったのか気になる。投資のキャッシュフローをみてみると下記の通り。

一番右は前四半期の投資のキャッシュフローの項目になる。金額が大きく目に付く項目は、「投資有価証券の取得による支出」と「連結の範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出」。ただ、投資有価証券は取得もしているのが、売却もしていることが見てとれるため、7億円は子会社株式取得に使用されたとみるのが妥当。



この時期に取得した会社は(株)ベストパートナーであり、9千万円の現金のみを保有する会社に5億5千万円ののれん代を計上していることは前回のエントリーで疑問を呈したとおり。
業績が不調の際に、売上と同等額の短期借入金をして、さらにその8割近くをのれん代として支払っていることになる。人員増に伴い、売上が伸び悩む中で販管費が大幅に増え、運転資金がきついというのがドリコムの経営状況。今のこのタイミングで、まるまる借金をしてまで5億5千万円もののれん代を(株)ベストパートナー株主に支払った経営判断の合理性を私が株主ならば経営者に問うてみる。





(株)ジェイケンは相当なキャッシュリッチ会社であるか否か


右は注記からの抜粋で(株)ジェイケン取得時の情報が記載されている。それによると(株)ジェイケンの取得時現金残高は約2億6千万円。売上規模や資本金から判断するに、堅実にキャッシュを貯めてきたことは推察されるが、「相当なキャッシュリッチ」会社とまではいかない。
前四半期の7億円、当四半期の11億円の借入を通して結果として、ドリコムは非常に貸借対照表が膨らんだ会社になった。総資産が約34億円で、その内の半分以上を短期借入金が占め、なおかつ営業キャッシュフローはマイナスで本業が借金を返すに十分な現金を稼ぐ力も今のところない。
短期借入金とは1年以内に返済することになっている借入金であるが、現金もそれ程なく、現金を稼ぎ出す指標である営業キャッシュフローもマイナスの状態で、どのように借入金を返済する予定なのか、私が株主であれば間違いなく確認する。


ドリコム株をこの第一四半期の借入金の状況について、皆さんどんな考えをお持ちなのだろうか・・・。

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