ktdiskのブログ

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もしものための弁護士保険、 訴えられそうになったはなし

今勤める会社の福利厚生には健康保険や年金に追加して、弁護士保険なるものがある。これは任意加入なのだが、もし裁判沙汰になったりして、弁護士の支援が必要になった場合に、その弁護士費用が保険でカバーされるというもの。月に9ドル払わないといけないのだが、アメリカは訴訟大国というので、もしもの時の保険としては決して高くないので加入している。

「もしもの時」と言いながらも、実は今まで3度ほど利用している。交通違反の切符を夫婦で通算して3枚程頂いてしまい、裁判所に招集されること三度(私の州では小さな違反でも直ぐに裁判所行き)。折角保険を払っているので、今のところ全て弁護士にお願いをし、お陰で罰点のつかないように取り計らってもらい(アメリカでは罰点がつくと自動車保険料が跳ね上がる)、保険の恩恵にあずかっている。

 

そんな感じで違反切符でしか利用する機会しかなかった弁護士保険だが、先日、前の大家から「何ならでるところに出て決着つけようじゃないか!」と言われ、すったもんだあったので本日はその話を。

 

私は8月に米国で家を購入したのだが、住んでいた借家は11月更新の年間契約。途中解約するために2ヶ月分の家賃を大家に払わなければならなかった。が、幸いにも新しい借り主が早く見つかり、9月頭から入居することになったため、途中解約のために支払った一部の金額が私に返却されることに。9月の所定日までの家賃ということで、500ドル手にすることになる。

 

ところが、この新しい借り主がとんでもない野郎で、とにかく家に難癖をつけて家賃を値切ろうとしたり、そもそも支払わなかったりして大家と大揉めの日々。やれ電子レンジのドアのプラスチック部分に亀裂が入っているだとか、やれ庭のある場所がぬかるみがちで蚊の天国じゃないかだとか、家のドアが開きにくいとか、クレームのオンパレード。結局もめにもめて裁判所で前の大家と新しい借り主が決着をつけることに。前の大家から、以前住んでいた時はそれほど問題なかったなどのことが記載された念書にサインを求められ、渡米間もない私を親身に色々助けてもらった恩もあるので、内容を確認してサインをすることに。で、結局、新しい借り主は9月分の家賃の半分のみを支払って、強制退去するとの裁決が下ることになる。

 

当の裁判には私は念書にサインをする以外に何もしていないのだが、とんだとばっちりを受けることに。その裁判が終わったら、大家から「9月の家賃の半分しか払わなくてもよいとの裁決がくだり、相手が相手だけに回収の見込みもたたないので、$500を返して欲しい」との連絡を受ける。

腑に落ちる話であれば、すぐにでも返却してやるところだが、今ひとつ腑に落ちない。「9月の家賃の半額を相手が払う義務があるのであれば、それは君と今の借り主の間の問題であり、回収を初めから諦めて、こっちに返金を求めるのはおかしいのでは」とか、「そもそも借りる前に1ヶ月分のSecurity Depositを納めるはずなのだから、半月分の家賃はそこからとれるではないか」などと指摘をしたら、「裁判所が払えといった9月分の半分の家賃は9月後半に対するものであり、君に返した$500は9月前半分のものだから、全額返して欲しい」という強弁をふるう始末。「そんなもん、納得できるわけがないだろう」と突っぱねると以下のメールが送られてくる。

I understand that you were not convinced.  Instead of arguing, it may be better to ask the Court to decide whether you need to refund the rent $500. How about we file a case in the Small Claims Court? If the Judge or Magistrate decide you win, you do not have to pay anything, Small Claims Court does not require attorney. If the Judge or Magistrate decide I win, you can refund the $500 plus Court cost. After the Court decision, we can still be good friends with each other, no more argument. 

君が納得していないことはよくわかった。もうあれこれと議論するのはやめて、君が$500返金しないかいけないかどうか裁判で決着をつけたほうがいいと思うので、少額裁判所で裁判をするのはどうだろう。もし君が勝てば、何も払わなくてもいいし、少額裁判所に弁護士は必要ない。もし私が勝てば君は$500の返金にプラスをして裁判費用を払わなくてはならない。裁決がくだった後は、私と君は引き続き良い友だちでありつづけ、これ以上議論をするのも良そう。

 $500を争って裁判で戦い、引き続き良い友達でいようというのがポーズなのか、普通なのか理解に苦しむが、まぁ、とにかく「なんならでる所にでようではないか」と挑戦を受けることになる。

これには、私もはじめは「おっと、そうきたか」と正直少し躊躇をした。訴えられたことなどうまれてこのかた一度もないし、できることならそういう自体は避けたい。でも、前の大家は、私がアメリカでの生活に色々慣れていないことは知っているので、「訴えるぞ」と言えば、びびって返金をするだろう、と考えていることは容易に想像できる。

正義がこちらになければ、争いごとは避けるところだが、でも自分の心に問うても全額払う必要性は感じられない。こっちだって、渡米してそろそろ2年で、色々な経験を積んで、引き出しの数も増えてきているのだ、「舐められてたまるか」だ。しかも、イザという時のための弁護士保険で、こちらはプロの支援を受けられるのだ。で、ここは攻めようと出したメールが下記。

君がどうしても裁判所で決着をつけたいというならそれでも構わない。だけど、君が裁判所で、争うのは私ではなく、私の代理人の弁護士だ。私は会社の弁護士保険に加入をしているので、ネットワークの中の弁護士であれば、私は1円も払わず裁判の対応を依頼できる。君が私を訴えるのであれば、今回の件はプロの弁護士にお願いをすることにする。

$500をめぐって君と裁判で争うことは本意ではないが、君がどうしても訴えるというのであれば仕方ない。

 どんな反撃がくるかと、ドキドキしながら待ったが、連絡は一切来ない、、、。結構メールのレスポンスがいいやつなのに、ちっとも返信がないので、ここは一気に攻めようと電話をしてみることに。

 

私「もしもし、色々メールのやり取りをしてくれてありがとう」

 

大家「やぁ、、、」

 

私「裁判の件はメールでみたけど、私の返信は見てくれた?」

 

大家「、、、うぅ、いや忙しくて、まだ見れてないんだよね、、、」

 

私「(いや、どうも見ているっぽいなぁ)

     そうか、じゃぁ、電話で少し話をさせて欲しい。

     君が訴訟を起こしたいのなら、私はそれでも構わない。

     ただ、前もっていっておくが、私は弁護士をたてるから

     君が裁判所で話をするのは、私の代理人のプロの弁護士だ。

     メールにも書いたけど、弁護士費用は会社の福利厚生でカバーされるので、

     私は特に出費がないので、プロにお願いをしようと思っている、

     裁判所になんてできれば行きたくないというのがホンネだが、

     君が訴訟をおこしたいというのでれば、仕方がない」

 

大家「、、、」

 

沈黙が続くこと1分ほど。大家は困っているのか、何なのかわからないが、一言も発しない、、、。あまり自分から妥協案をだすのは、交渉上得策ではないが、いつまでもこんなことで揉めていても仕方ないので、こちらから妥協案をだすことに。

 

私「でも、色々お世話になった君と裁判所で争うことはできれば避けたい。

     で、一つ提案があるんだけど、半額の$250を返金するというのはどうだろう。

     そもそも9月に全額家賃が入っていることを互いに見込んでいたのに、

     残念ながら半分しかはいってこないことになってしまった。

     君と私は共通の被害者なんだから、損失を互いに分け合うなら、公平だと思う」

 

この私の提案を大家はほっとした感じで、受け入れてくれることに。

 

大家「それなら受け入れられるよ、そうしてくれるならありがたい。

     これで、ぼくたちは引き続き友達でいられる。」

 

お前、人のこと訴えようとしておきながら、引き続き友達って、、、という感じだが、まぁ根は良いやつなので、これで手を打つことに。実際に裁判というのも経験としては積んで見たい気もしたが、1年以上お世話になり、それなりに仲の良い大家とのもめ事を当事者同士で解決できず、裁判所に仲介をお願いするというのは、やはり私の好むところではない。たがいに、納得のできる妥協点に落ちつけてよかったと思う。

 

実際に自分が訴えられる日が来るなんて内心思っていなかったが、訴訟社会アメリカを実感することに。こんな感じで威嚇にも使えるので、弁護士保険という制度は何とも心強い。できることなら頼りになりたくはないが、引き続き加入しておこうとの思いを強くする。いやぁ、それにしても、色々おこるなぁ、、、。

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