Thoughts and Notes from CA

アメリカ在住、外資系企業歴30年の日本人会社員。 アメリカでの生活、海外での子育て、外資でのキャリア構築、そして現地に暮らして見えてきたアメリカ政治のリアルまで、日々の体験を通じて気づいたことをゆるく発信。 グローバルに挑戦する日本人が、少しでも勇気を持てるような発信を目指しています。

とあるTOEICの問題から考える「道具としての英語」教育

とあるTOEICの問題

正月にSNSをだらだら見ていたら、こんなTOEICの問題を目にした。

There is ( ) data available online today.
A) many
B) few
C) much
D) several

正解は C) much
data は不可算名詞なので、その前につけることができるのはmuchだけ、
という基本的な文法問題で、アメリカで仕事をする前なら即答できた問題。

 

正直、一瞬だけ迷った私

が、この問題を見たとき、私は実は一瞬迷ってしまった。
なぜかというと、仕事の中の英語では、"many data" という表現を耳にすることがあるからだ。

  • We looked at many data across segments

  • Many data points support the revised forecast

みたいな言い方は実際の現場では耳にするし、正直実務上"much data"という表現は私には耳慣れない(否定文や疑問文だと、何故か違和感が少ないが)。
文法的には正しいし、TOEICの問題としては明らかに"much data"が正解なのだが、少し実務英語との乖離があるように思う。

 

実際によく使う表現

まぁ、そうは言っても"many data" というのも頻出表現ではない。実務上は"a lot of"が一番多いと思うし、違和感がない。

  • A lot of data suggests the current forecast is too strong

  • We don’t have a lot of data to support that assumption yet

確か、"a lot of"は可算名詞にも不可算名詞にも使えるし、最も違和感が少ないので耳にするケースが多いのだろう 

 

TOEICは「実践的な英語力」を測るテスト

TOEIC はよく、「実践的な英語力」を測るテストと言われている。なので、その趣旨を考慮すればせめて、

There is ( ) data available online today.
A) many
B) few
C) a lot of
D) several

というような問題にすれば、「many dataと言わなくもないけど、a lot ofが選択肢にあれば、利用頻度や文法的な正確性から正解はC)」という解説の元、より納得感が強まるのではないか。

こういうことを書くと「日本の受験英語肯定派」、「日本の英語教育は大学で英語論文を読むためのモノ派」の人々にいつもお叱りを受ける。
が、ごくごく一部の人だけ役にたつ「英語論文を読むための英語」より、「日常、ビジネスシーンで使える実践的な英語」の方が社会の要請としては大きいんではないかと思ってしまう。

実務で毎日英語を使っていると、色々な国の人の英語を聞く機会がある。インド人の同僚はウェブ会議で普通に

Am I audible?
(英訳:Can you hear me?)

というような表現を使うし、細かい文法無視でがんがん自己主張をしてくる。

そういう現場で日々仕事をしてみる身とすると、

  • 正しく、細かい文法知識を身につけなければならない

  • 重箱の隅をつつくルールをだされて、減点される

という経験はあまりプラスにならず、英語を「怖いもの」にしてしまい、コンプレックスを助長してしまうんじゃないかと心配に思う。

なので、小中学校はおいておいても、大学受験英語や TOEIC あたりでは、より実際に使われる自然な英語に焦点をあてたほうが、英語がよりとっつきやすいものになるのではないだろうか。

 

生活と仕事力を高める道具としての英語

英語は「間違いや知的不足を指摘され、減点されるもの」ではなく、「コミュニケーションの幅を広げ、生活と仕事力を高める道具」にもっとなると良いと思う。

休みが明け、明日からまた英語漬けの職場に戻るにあたり、
「英語は完璧じゃなくてもいいんだ」
という、自分自身へのちょっとした勇気づけのつもりで。

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