Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

グーグルの米国広告市場におけるシェア

"グーグルは「すごい」のか「すごくない」のか(財務的に見たGoogle)"を見た。
「非常にあらっぽい」と言いながらも「さすがプロ!」という感じで非常に興味深い。
ただ、海外売上高についてばっさりきってしまっているため、米国の広告市場におけるグーグルの占める比率が大分異なっている。GWに突入し時間もあるので、僭越ながら肩の上に乗らせて頂き、せっかくの内容の精度向上に貢献させて頂きたい。


対象となるのは下記の記述の赤字部分。Googleの売上の全てが米国であがっているという計算となってしまっており、米国でのインターネット広告市場の7割をGoogleが占めるという違和感のある数字となってしまっている。

広告市場全体の対GDP比は、米国のGDP 11兆7,343億ドル(外務省HPによる。名目2004年。)に対しては、やはり1%程度。グーグルの売上6,138Mドルは当然海外売上げも含まれていますが、米国インターネット市場に対する単純な割合を取ると、約7割にもなります

今後、インターネット広告市場が当面は加速を続け、対前年比20%→25%→30%→35%程度で成長すると仮定すると、2009年のマーケットは21,908Mドルで、広告市場全体のサイズは横ばいとすると、インターネット広告が約15%を占めるということになります。
(それほど非現実的な仮定ではないかと。)


Googleの成長率92%が、今後、85%→75%→65%→55%70%→30%→20%→10%(広告費のみ)と鈍化していくとすると、4年後の2009年の売上は50,826M 17,907Mドルで、上記の米国広告市場比で約12.5%(当然、全世界市場比でいくと、もっと低い)になります。

参考にするのは同様に"Googleの開示資料(10-K)"。日本の開示資料には「海外売上高」というのが注記にあるので、探してみたところ"Note 13. Information about Geographic Areas"というのを発見。

括弧のパーセンテージは、地域ごとの対前年売上成長率。厳密に言えば、地域ごとに伸び率が70%→30%→20%→10%と一律なのはおかしいが(特に今年の米国の伸び率が70%というのは考えずらい)、来年以降30%→20%→10%と大分コンサバティブによまれているので、地域ごとの伸び率は一律とここでは仮定(突っ込んでるわりにいい加減ですみません)。
すると、米国の売上は2005年の3,756Mドルに対して、2009年には10,960Mドルになる。これをもとに上記の記述を変えると下記の通り。

広告市場全体の対GDP比は、米国のGDP 11兆7,343億ドル(外務省HPによる。名目2004年。)に対しては、やはり1%程度。グーグルの米国における売上3,756Mドルは、米国インターネット市場に対する単純な割合を取ると、45%にもなります

今後、インターネット広告市場が当面は加速を続け、対前年比20%→25%→30%→35%程度で成長すると仮定すると、2009年のマーケットは21,908Mドルで、広告市場全体のサイズは横ばいとすると、インターネット広告が約15%を占めるということになります。
(それほど非現実的な仮定ではないかと。)


Googleの成長率92%が、今後、85%→75%→65%→55%70%→30%→20%→10%(広告費のみ)と鈍化していくとすると、4年後の2009年の売上は50,826M 17,907Mドルで、その内米国の売上は10,960Mドル、上記の米国広告市場比で約7.6%になります。

ますます、現実味をおびた数字という印象をうけるがいかがでしょう。少し偉そうな言い方で恐縮ですが、上記の修正を理解できない方は、磯崎さんのエントリーの内容もあまり理解できていないと思われるので、せっかくの良エントリーなので頑張って読み直してみましょう。


なお、本エントリーはあくまで米国の広告市場におけるグーグルの占める比率に対する内容であり、"グーグルは「すごい」のか「すごくない」のか(財務的に見たGoogle)"でふれられている、グーグルのPERの視点でみた時価総額のFeasibilityに対してはなんら影響を与えるものではない。念のために。

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