Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

音楽の違法交換数が減った本当のわけ

米連邦最高裁判所がPtoPソフトウェア会社に不利な裁定を下した夏以降、オンラインで音楽ファイルを違法に交換する世帯の数が、米国において激減したと述べた。・・・<中略>違法なファイル交換に反対するエンターテインメント業界のキャンペーンが功を奏したことが考えられるとNPD GroupアナリストのRuss Crupnickは述べた。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20093162,00.htm

音楽の違法交換数が減ったとのこと。それは結構なことだが「エンターテインメント業界のキャンペーンが功を奏した」という見解にはあまりすっきりしない。iTMSという手軽かつ安価に音楽を入手する手段が整備され、普及してきたからと考えるのが普通ではないだろうか。
単純な購入価格の比較ではなく、iPODや自宅のステレオのボタンを押したら聞こえるという状態にするまでに発生する手間なども含めたコストを比較した際、いつになったらダウンロードが完了するかわからないP2Pソフトより、99セント払えばすぐに保障された音質で音楽を楽しむことができるiTMSのほうをユーザが選んだと考えるのが自然である。
キャンペーンによる呼びかけや訴訟リスク増加の効果ももちろんあるが、それは違法コピーという手段の入手コストを押し上げる働きをしただけであり、決定的な要因と考えるべきではない。
「実際に金をはらっても1ドルで入手できるなら・・・」というのがアメリカの消費者の動きだとすると、"200円"という価格設定やiTMSという流通チャネル利用に未だに動き出さないレコード会社が多い日本の音楽業界は、技術革新の恩恵にあずかり有料配信という文化に消費者をぐっと引き込む千載一隅のチャンスをみすみすと逃しつつあるのでは、と不安に思ってしまう。

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