Amazon.comは、18世紀のハンガリー人貴族の「発明」をまねて、繰り返し発生する大量の仕事に取り組む方法として人間の知恵を活用する新サービスを発表した。
Amazon Mechanical Turkと名付けられたこのサービスは、ソフトウェアに実行させる処理のうち、人間の方が得意と思われる単純作業を開発者がウェブ上に掲示する電子市場だ。タスクを仕上げた個人には少額の報酬が支払われる。
人力で解決--アマゾン、ソフトウェアの苦手作業を代行するサービスを開始
アマゾンがコンピュータが苦手とする、もしくはコンピュータで実現するのは凄く難しい(例えば写真に写っている人が男か女かを判定するなど)単純作業の委託仲介業を開始するとのこと。無理やり自動化につきすすむというのではなく、人に任せたほうが良いところは人に任せてしまうというやり方も確かに興味深いが、
Amazon Mechanical Turkにお願いしたいこと
でふれられているように、これは正に「労働市場におけるロングテイル」に着目したサービスという点がなにより興味をひかれる。
一般的には必要なスキル、働く場所、働く期間・時間などがマッチしたら労働市場では取引が成立する(価格は市場によっておのずと決められると考えると)。
などのような案件については、雇用者と労働者のニーヅをマッチングするエージェントも存在し、労働市場で今まで活発に取引されてきた。
しかし、「11月11日の18時までに2時間程度のExcelのデータの単純加工作業をお願いしたい」という雇用者側のニーヅと「11月11日の午前中は時間を持て余しているので小遣い稼ぎをしたい」という労働者のニーヅのように、より細切れになった案件をマッチングするエージェントは今までは存在しなかった。「Excelの単純加工作業」をスキルとしてできる人間は市場に多くいるが、特定の日の特定の時間にある作業をできる人というように細切れになるとそういう人を探すことは既存の仕組ではとたんに困難になる(というよりそんな仕組は存在しない)。だが、その一方でそれらの細切れの数え切れないほどのニーヅは、今までなかったわけではなく、満たされることのないニーヅとしてロングテイルの中に点在していたということは確かだ。
品質が担保されるどうか、適切な価格形成のメカニズムをどのように構築するかなど課題はもちろん多いが今後注目していきたい。