中央青山監査法人に金融庁より業務停止命令処分がくだった。ニュースなどでそういう検討がされていることを知った時、「上場企業の3分の1弱のシェアをにぎる監査法人に業務停止命令をするなんて、ほんとに可能なのか?」と第一に感じたし、各種ニュースを見るにつけ、その影響範囲の大きさに「うへぇ〜、こりゃぁ大変だなぁ」とみているだけで吐きそうになる。
特に経理のご担当の方の苦労・心労はきっと大変なものでお気の毒としかいいようがない・・・。
「金融庁も致し方なしとは言えむごいなぁ」とか、「中央青山もここまで金融庁に踏み切らせるまでひどいことになって、ほんとけしからん」とか直感の感想は色々あるが、「ある経済圏におけるプラットフォームとなることの責務と怖さを象徴するような事件だなぁ」というのが一番の感想。
なのでネット経済圏でプラットフォームの役割に担う、GoogleやAmazonのような企業にとって、この事件は飛び火することの無い「こちら側」という対岸の火事では決してない。
というのも、今回の事件は、
- 企業が資本主義経済において事業を営むための「プラットフォーム」となっている監査法人におきた事件であり
- その「プラットフォーム」の上で多くの企業が活動をしているのだから崩壊しようがないという驕りが、組織内部における自浄作用を機能不全にした
という側面を持つからである。
プラットフォームの上で経済活動をする人が増えれば増えるほど、崩壊する際の影響範囲が大きくなるため、責務が増えるのは言うまでも無い。
ただ、その影響の大きさがある規模を超えると「こんなにがっちり基盤として組み込まれているのだから崩せるわけがない」という意識は必然的に芽生えるものだ。
「いや、自分にはそんな考えは浮かんでこない」と考えている人ほど危うく、そういう意識が芽生える必然性はリスクとして十分認識すべきだ。
そして、頭に浮かんできたそういう意識を、「いやいや、DON’T BE EVILだ」すっぱり断ち切ることが、プラットフォームを担う会社の経営者の責務であり、それができるかどうかは「驕らず、調子に乗らない」ことにかかっている。心に驕りがあれば中央青山の二の舞になるのは避けられない。
今回の事件をみてそんなことを考えた。