梅田さんの"「九六年夏」にも似た未来創造への狂気が溢れる"を読んだ。シリコンバレー全体では「2000年のネットバブルの崩壊」を受けて、「次はうまくやろう」ではなく「次もうまくやろう」なんだなぁということがひしひしと伝わってきてなかなか面白い。
日本のエスタブリッシュメントの感覚で言うと「ネットバブルの崩壊」は
- 現実的なビジネスモデルを持たない企業が乱立し、
- 馬鹿騒ぎに興じて膨大な資本・人材がネットバブルに投入され、
- 経済を混乱に陥れた忌まわしい出来事
というとらえ方がまっとうで、結局のところ大半の人は「あれは失敗」という評価を下すだろう。
ところが、シリコンバレーの雰囲気はというと
「Web 2.0」の定義は相変わらず曖昧だ。しかしその定義を議論し続けるのではなく、数百、いや千以上のベンチャーを本当に作って競争・淘汰させ、その中から一つでもいいからグーグルみたいな突然変異を生み、「Web 2.0」という概念が本当は何だったのかを実証してみよう、そのプロセスに全体として一兆円くらい張ってもいいんじゃないか、という気分がシリコンバレー全体に出てきた。
だと言う。
- 産業モデルとしてどれだけ現実感があるかどうかはわからないが、
- 技術革新とビジネスモデル構築の熾烈な競争を起こすために巨額な資金を投じ、
- 未来創造に向けての混乱の中から突然変異がおき、ぽっこり新しい何かが生まれたらいいな
という感じで、全く逆である。
前回エントリと同様の引用で恐縮だが、あちらの方々は
こうした投資ブームは、新たな産業ブームの最初の三〜五年にわたって生じるのが普通だが、この時期には資本がかなり無差別にその産業の流入する。上昇局面では、こうした資本の流入によって創造性が急激に発揮され、新市場の発展が加速され、米国はトップの座にとどまりづつける。
- 作者: アンソニー・B.パーキンス,マイケル・C.パーキンス,斎藤精一郎,吉川明希
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『インターネット・バブル』 〜1章 P.32〜
結局、バブルを新しい産業を生み出すための「必要悪」としてしかとらえていないのだろう。
前回のバブルの成果としては、
が構築されました、じゃぁ次は?という期待感が先行し、「2000年のネットバブルの崩壊」への反省なんて感覚がみじんもない人が多いのではないだろうか。
「数百、いや千以上のベンチャーを本当に作って競争・淘汰させる」という感覚は、金をだすほうも、起業をするほうも正に"狂気"*1。"狂気"の先にある"突然変異"*2に期待しているのであれば、それもやっぱり"狂気"・・・。本当にそんなに盛り上がるのか、今後興味をもって見ていきたい。