"大手SIerの利益悪化がとどまることを知らない件"で紹介されている表をちょっと拝借し、営業利益率を加えてみた。
社名 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | ||||||
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2007 年度 |
2008 年度 |
2009 年度 |
2007 年度 |
2008 年度 |
2009 年度 |
2007 年度 |
2008 年度 |
2009 年度 |
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NTTデータ | 10,449 | 11,390 | 11,429 | 898 | 985 | 816 | 9% | 9% | 7% |
大塚商会 | 4,694 | 4,671 | 4,271 | 300 | 270 | 160 | 6% | 6% | 4% |
野村総合研究所 | 3,279 | 3,412 | 3,386 | 481 | 497 | 400 | 15% | 15% | 12% |
ITホールディングス | 3,224 | 3,383 | 3,148 | 199 | 237 | 159 | 6% | 7% | 5% |
伊藤忠テクノソリューションズ | 3,192 | 3,072 | 2,903 | 250 | 216 | 215 | 8% | 7% | 7% |
日本ユニシス | 3,377 | 3,101 | 2,720 | 196 | 158 | 71 | 6% | 5% | 3% |
NECネッツエスアイ | 2,546 | 2,490 | 2,177 | 78 | 109 | 98 | 3% | 4% | 5% |
NECフィールディングス | 2,141 | 2,110 | 1,908 | 88 | 104 | 101 | 4% | 5% | 5% |
新日鉄ソリューションズ | 1,653 | 1,615 | 1,521 | 148 | 115 | 107 | 9% | 7% | 7% |
富士ソフト | 1,696 | 1,650 | 1,468 | 93 | 73 | 32 | 5% | 4% | 2% |
住商情報システム | 1,371 | 1,342 | 1,273 | 103 | 90 | 64 | 8% | 7% | 5% |
ネットワンシステムズ | 1,092 | 1,311 | 1,243 | 54 | 88 | 50 | 5% | 7% | 4% |
社名 | 売上高(M$) | 営業利益(M$) | 営業利益率 | ||||||
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2007 年度 |
2008 年度 |
2009 年度 |
2007 年度 |
2008 年度 |
2009 年度 |
2007 年度 |
2008 年度 |
2009 年度 |
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TCS | 5,032 | 6,187 | 6,680 | 1,139 | 1,469 | 1,771 | 23% | 24% | 27% |
Wipro | 4,392 | 5,715 | 6,050 | 750 | 921 | 1,146 | 17% | 16% | 19% |
Infosys | 4,176 | 4,663 | 4,804 | 1,159 | 1,374 | 1,460 | 28% | 29% | 30% |
- インドの大手SIerは、売上・利益ともに依然として成長を維持している
- 日本の大手SIerの中で、インド大手SIerを上回る規模の会社は今やNTTデータくらいである
- 売上規模で勝るNTTデータも、営業利益を比べると大手SIer3社全てに後塵を排している
- 野村総合研究所が一社頑張っているが、日本の大手SIerとインドの大手SIerの利益率の差は歴然
数字の差がはっきりしているので、日本人としては少し悲しいが完敗と言わざるをえない。これだけ、差が歴然としていると「日本のSIerはビジネスモデルが悪い」と結論づけてもあまり乱暴ではないだろう。
では、日本とインドのSIerの差は何なのだろうか。IRの資料を読んだり、インド人の同僚から聞いた範囲で考えるに、
- 日本の大手SIerは売上の殆どは日本国内からあげるが、インドの大手SIerは売上の90%近くは海外からあげる
- 日本の大手SIerは外注を活用することが多いが、インドの大手SIerは10万人以上の従業員をかかえ外注率は日本ほど高くはない
- 日本では下請けにだされた仕事はさらに孫請け、曾孫請けと複数階層におりていくが、インドでは下請けは使うものの階層は2階層が一般的である
- 日本の30〜34歳のエンジニアの平均年収が541万円なのに対し、インドのエンジニアの平均年収は194万円と人件費に大きな差がある
というあたりが思い浮かぶ。よく「丸無げ体質の顧客が悪い」というような愚痴めいたことを聞くが、顧客がSIerにおまかせにしてしまうという慣行はインドも日本も実は同じで、そこには差異はあまりない。最近になって両国のSIerの提携がはじまってきたようだが、安いオフショア開発の委託先ではなく、この不況下でも高収益を実現する先進的な優良企業として、日本の大手SIerはもっと積極的にインドの大手SIerから学ぶべきだろう。