Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

Google Chrome考 「ブラウザ」に押し込められた2つの機能

Google Chromeが大分話題を呼んでいる模様。いくつかの記事を読んだり、実際に自分に使ってみた印象で遅ればせながら私もいくつかコメントしてみたい。


ブラウザというのは、そもそもウェブ・ページをBrowse(閲覧)するためのものだからブラウザという名前がついている。だが、最近は「ウェブ・アプリケーションの実行環境」としての役回りが非常に大きくなってきている。私もZimbraでスケジュール管理をしながら、Salesfore.comでパイプラインやフォーキャストの管理をし、Oracle Applicationを使って経費の精算をし、GMailでメールを処理したりしており、半分くらいのアプリケーションはブラウザで実行している。なので、江島さんのコメントに対しては、実務的な面で強く同意できる。

タブごとに異なるプロセスを割り当てることで枯れたOSのメモリマネジメントの恩恵をそのまま受けられるところなど、非常に現代的な設計思想になっていると思います。
「異なるタブ=異なるアプリケーション」という使われ方が多くなってきている現在、あるウェブアプリのせいでブラウザ全体が落ちるというのは許容しがたい状況になってきています。ブラウザがOSとして使われるようになってきているということなのですが、そう考えてみると今のブラウザはまだまだ貧相なOSで しかありません。


Google Chromeのリリースに対して、各所で色々な議論がなされているが、最も重要な点は、「ウェブ・アプリケーションの実行環境」をGoogle最新の技術を使ってリエンジニアリングした、という点であることに間違いはない。その重要性と比較する巷で騒がれている「さくさく動く」なんてことはどうでもよいことだ。そもそも、私の使用感で言えば感動するほど速くなっているとも思わない。ひいきにしているブランドのビールをその実力値以上に美味いと感じるように、Googleというブランドが体感速度をその実力値以上に高めているだけだろう。まぁ、体感速度が高まれば、それはそれでいいのであるが・・・。


少し脇にそれたので、話を元に戻す。

I would have run this marketing campaign in the vein of the french surrealists with a big title that said "THIS IS NOT A BROWSER!"
フランスの超現実主義の流れをうけて、「これはブラウザじゃない!」というタイトルを冠した大々的なマーケティングキャンペーンを実施したい。

Marc Fleuryが、Google Chromeをブラウザとしてリリースしたことは、マーケティング上の明らかな間違いであるといっているが、これには賛同できない。というのも、結局Googleは、「ウェブ・ページをブラウズする機能」と「ウェブ・アプリケーションの実行環境」を1つのGoogle Chromeというアプリケーションに押し込むという選択をしたからだ。そういう点で、Google Chromeはまだブラウザの域をでない。一方で、実務的には両者が同じアプリケーションにのっている必然性はない。私は技術のことはあまりわからないが、「ウェブ・ページをブラウズする機能」の最適化と「ウェブ・アプリケーションの実行環境」の最適化が両立できないエリアがあるのであれば、ブラウザから「ウェブ・アプリケーションの実行環境」切り離すべきだと思う。


Googleがそれをするのか、他の会社がそれをするのかはわからないが、ブラウザに押し込められた2つのファンクションを切り離し、誰かが再びリエンジニアリングしてくれる日を心待ちにしたい

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