Thoughts and Notes from CA

アメリカ在住、外資系企業歴30年の日本人会社員。 アメリカでの生活、海外での子育て、外資でのキャリア構築、そして現地に暮らして見えてきたアメリカ政治のリアルまで、日々の体験を通じて気づいたことをゆるく発信。 グローバルに挑戦する日本人が、少しでも勇気を持てるような発信を目指しています。

『DIE WITH ZERO』ETFの配当より「記憶の配当」を

私は財布の紐は結構かたいほうだ。

 

「値ごろ感がある」ものを購入できた時は、すごく幸せな気分になるし、つまらない「無駄金」を使うのはとにかく嫌いだ。ノースカロライナ州では必ず$3はした「おかめ納豆3パック」が、物価の高いカリフォルニアでは$2.5で購入できることに毎週小さな幸せをおぼえるし、たまにセールで$2という破格の値段で購入できると「良い週末だった」となる。

 

たかだか$1-2で幸せになれるのだから安い人間である。

 

が一方で、品質に見合わない金額を支払う時は、それが少額であってもすこぶる気分が悪い。特に、外食の価格については過敏と言っても過言ではない。どんなに美味しくても、「でもこの味でこの値段か~」と感じると食事の満足度が激減してしまう。折角美味しかったら「あぁ、美味しかった」と満足できればよいのに「ケチ」だなぁと思う。が、これは性分なのでもう直らないだろう。

 

そんな性分なもので、将来への貯蓄も余念がない。ここ10年くらいでこつこつと上場投資信託などを買い貯めている。貯蓄額が積みあがるほど安心感は増し、臨時収入などがあっても、その分贅沢をせずに、ついつい貯蓄に回してしまう。正直、より高い点数をだすゲームになってしまっている自覚もある。

 

日本でも話題になっていて、前から気になっていた『DIE WITH ZERO』を読んだ。これは「手放しに称える名著」というより、上記のような性分の私に「グサグサとつきささる」内容であった。

 

特に印象的だったのが、「記憶の配当」という考え方。

 

元の経験から副次的に生まれる経験は、まさに記憶の配当だと言える。その経験は、積み重なっていく。忘れがたい旅を振り返ることで、どれくらい多く、豊かな時間を過ごせただろうか。繰り返し思い出すことで、元の経験よりも多くの喜びが得られることだってある。 金を払って得られるのは、その経験だけではない。その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれているのだ。
『DIE WITH ZERO』 人生が豊かになりすぎる究極のルール p. 52-53

この「記憶の配当」という考えは、私には目から鱗であった。

 

経験そのものはもちろん楽しいが、確かにそれを何度も思い出すことで、あとからあとから幸せな気持ちが湧いてくる。わが家では、コロナ禍が明ける頃に行ったローマ旅行がまさにそれだった。

 

美食、芸術、歴史、美しい街並み……。
あの旅行は、今でも家族の中で「良かったよね~」と話題にのぼるし、「また行きたいね〜」という会話がふとした時に出てくる。それがまさに、「記憶の配当」なのだろう。

 

そして、私の頭の中に「このまま高得点をたたきだすために、せっせと貯蓄ゲームに興じてよいのだろうか」という疑問があたまをもたげる。きっと、今そう思うのは娘も大学生になり、家族全員で旅行できる機会など今後限られるくらいしかないからだろう。

 

残念ながら、値段に見合わない食事からよい「思い出」を作ることは私はできないので、せめて家族全員で行く旅先の宿くらいは奮発して、家族と良い「思い出」を作ろうと思うようになった。

 

今年は娘の初のアメリカへの帰省にあわせて、家族でヨセミテに旅行した。寝て帰るだけの宿にあまりお金をだすことは普段はあまりしないのだが、有言実行で奮発した。
ハイキング好きの私に家族をつきあわせて、かなり昼間はハードであったが、疲れた体をよさげなホテルで癒すことができ、家族の満足度も高かった(と期待する)。これが、しょぼいボロボロのホテルだったら、寝るだけとは言え、不機嫌になるやつとかがでてきて、きっと旅行の後味もよくなかっただろう。

 

「人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出づくりです。最後に残るのは、結局それだけなのですから」
『DIE WITH ZERO』 人生が豊かになりすぎる究極のルール p. 42

高配当上場投資信託を買い込んで「配当金」を積み増すばかりではなく、より良い思い出作りをして「記憶の配当」を増やすことにももっと力をいれよう。

 

そのために、今後はもう少し財布の紐をゆるてみよう。

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