Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

『いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。』 自分と向き合う時間を作る

ステイホーム生活が始まってからわが家では朝礼を朝食を食べながら毎日実施している。日ごとに子供も含めて担当の家事が決まっているので、その日の家事の内容を確認したり、夜の電話会議の予定を全員と共有したり、週末に皆で決めた晩ごはんのメニューを確認したりしている。私の一日は朝の家事と朝礼をし、朝食をとるという「家族と向き合う」ことから始まる。

 

子供のオンライン授業は7時30分から始まり、私は大体朝の7時から8時の間にその日の一番初めの会議が始まる。世界各地の地域ヘッドクォーターが仕事のカウンターパートであるので、アジアパシフィックにあわせて全体会議は朝の7時から始まることが多いし、インドにオフショアセンターがあり、日常業務の多くを助けてもらっているので、そのチームと打ち合わせをすると7時か8時くらいが最適な時間となる。朝一の会議が終わると、そのまま数珠つなぎのように会議詰めの時もあれば、大量に来ているメールやチャットをこなす作業時間がとれることもあれば、役員からテキストが来て緊急対応で午前中がつぶれる、なんてこともよくあり、午前中の残りの時間は「仕事や同僚と向き合う」時間だ。

 

子供たちは授業は開始の時間は同じなのに、娘の昼休みは10時30分から始まり、息子の昼休みは11時30分から始まる。なので、妻は娘と昼ご飯を食べ、私は息子と昼ご飯を食べる。料理が好きだが、昼食の準備にあまり時間をとるわけにはいかないので、準備時間は10分以内と決めている。授業が終わると息子からLINEが入るので、YouTubeを見て腹筋と視力回復体操を15分ほどして、ちゃちゃっと昼ご飯を作って、息子と一緒に食べる「家族と向き合う」時間がしばしある。

 

昼ご飯が終われば、仕事に戻り、ひたすら「仕事や同僚と向き合い」、時間がとれたら休憩がてら息子と散歩に言って「家族と向き合う」時間をしばし過す。夜に会議がはいることもあるが、基本的には午後の5時30分くらいにはなるべく業務を終え、少し休憩しつつ、散歩やランニングや筋トレなどの運動をし、少し「自分の時間」を過す。

 

ステイホーム生活が始まってから晩ごはんの支度は家族ですることにしており、午後6時15分が開始の時間となっている。家族で分担をして三品作り、風呂に入って、家族で夕食をとるという「家族と向き合う」時間を過ごす。晩ごはんを食べ終わると子供はテレビを観るか、自室に戻るかするので、夜の会議が無い時は、軽くワインでも飲みながら「妻と向き合う」時間を過ごす。私の生活はこんな感じで、仕事が忙しくて大変に思うこともあるが、家族との時間をたっぷりとれているので、満足している。

 

『いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。』は、『ずっとやりたかったことをやりなさい。』の続編で、自分らしい自分だけの人生を歩むための多くの示唆を与えてくれる自己啓発書だ。モーニング・ページ、アーティスト・デート、ソロ・ウォーキング、メモワールという4つの手法が紹介され、どうやって「自分のやりたいことを見つけ、実戦していくか」について、様々な事例と共に紹介されている。正直、私は20〜30代の頃に自己啓発書はたっぷり読んだので、最近は殆ど読まない。「アメリカで家族と楽しく過ごす」という「やりたかった」ことを謳歌しているので、特に自分探し系の自己啓発書は「結構でございます」という感じだったのだが、中田敦彦のYouTube大学で紹介されているのを見て、妙に気になって手にとってみた。

 本書を読んで、改めて自分の一日を上記のようにまとめてみて気付いたことがある。私は「自分と向き合う」時間を殆どとっていないのだ。ランニングをしている時など、走りながら自分の頭の中の雑念がはらわれる感覚が覚えることはあるが、意識的に自分と向き合ったり、内省することがいつからか殆ど無くなっていることに気付いた。

 

本書を読みながら、本書で推奨されるモーニング・ページというものをやり始めてみた。これは、朝一に、ノートに自分の頭の中に浮かんだことを徒然なるままに2ー3ページ書くという作業なのだが、本書ではそういう言い方はされていないが、これは朝一で自分と向き合う時間を作りましょう、という行為なのだ。直観的に今の自分に必要だなとは感じたが、実際に初めて見ると思ったよりも効果が高い。ノートに書かれることの殆どは自分が今気になっていることであり、気になっているということは大体は懸念事項であったり、何がしかのアクションをとらないと薄々認識しているものだ。そういうことを言語化し、内省し、可視化すると、それを一つ前に進めるためのアイデアが浮かんだり、アイデアを実現するためのアクションが浮かんだりする。そういうアクションは大体が、着手するのに躊躇する面倒なことなのだが、書き出すという行為を通して「これはやらんとあかん」と自分を説得することができているため、モーニング・ページをやる前よりも物事がぐいぐい進んでいる気がする。

 

今はまだ第一段階として、頭の中のゴミの整理をして、出発に向けてチューニング作業をしている状況であり、「ずっとやりたかったこと」に創造的に取り組むという段にいたっていないが、他の手法も試して次のステージに進んでいきたい。コロナ禍で仕事や家族との向き合い方を今一度考えているという方も多いと思うが、本書はそのとっかかりと具体的な方策を与えてくれる良書だ。今一度自分と向き合い、自分の人生について考えないといけないと、少しでも思っている方にはおすすめの一冊だ。

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