Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

在宅生活を機に、改めて歴史を学ぶ

「自分が知っているのは歴史の断片的知識だけで、歴史の基本的な流れをわかっていない」というのは、詰め込み型の勉強で受験を乗り切り、その後あまり歴史に興味をもたなかった人の多くが抱えるコンプレックスなのではないだろうが。もちろん、こういう書き出しをするくらいなので、私も例に漏れず、「御成敗式目」とか、「御家人」とか、キーワードは勿論頭の中に残っているのだが、それを歴史の流れとして説明したり、学んだ歴史を現代に起こる事象と関連づけて考えるということは誠に苦手であった。海外に住むので自国の歴史の大まかな流れや、歴史的な流れで捉えた時の自国の特徴などを説明できるようになりたいのだが、読書と言えば読み易いビジネス書や自己啓発書に偏りがちで、歴史は長らく避けてきたテーマだ。

 

話は少し変わるが、渡米して6年以上経つが、自分の子供たちを見ると、無論日本史を勉強する機会に乏しく、現地校と補習校の課題に追われ、母国の歴史に対する知識は残念ながら皆無といっても過言ではない。漫画日本の歴史は買い揃えたものの、そこに手を伸ばすきっかけがなければ、子供も自主的には手にとるまい。

自分も勉強しながら、なおかつ子どもたちも楽しみながら勉強できる方法は無いかと考えていた所にこの在宅生活が始まった。オンライン授業が始まるまでに少し時間がかかりそうだったので、中田敦彦のYou Tube大学の日本史世界史を一日二動画(合計1時間ほど)見て、晩ごはんの前に、三人の歴史上の人物について、どの時代にどんなことをして、歴史の中でどんな役割を果たしたのか、ということをそれぞれ説明することにした。中田氏のYou Tube大学は、日本史と世界史をそれぞれ駆け足で5時間ほどで説明をするという、そのざっくり感が特徴だ(各論もあるが、まだ各論には手をだしていない)。勿論、そこに紹介される知識だけでは受験を勝ち抜くことはできないし、ぶった切り過ぎ感はある。が、まずは大まかな流れをつかんだ上で、細かい知識を深めていくというのが順番としてはあるべきだと思うし、家族でわいわいと楽しくできるので、詰め込み型からくる歴史の勉強への嫌悪感を回避でき、なかなか上手くいっている。

在宅生活中に一週間ごとに日本史と世界史を繰り返しているので、流石に飽きもくるので、『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』と『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』を日本から取り寄せたところ、倍速で動画をざっと視聴し、もう30分くらい参考書をぱらぱらながめてその日の夕方に備えるというサイクルができてきた。

 

大まかな流れがわかると、「総論をもう少し深めたい」、「この各論をじんわり掘り下げたい」という欲求もわいてくる。それに、私自身が「歴史の流れ」を意識した示唆を子どもに与えないといけないので、必然的に深堀しなければならなくなる。いくつか歴史の本を読んだが、山本博文氏の『歴史をつかむ技法』はなかなか面白く、そして勉強になった。

歴史をつかむ技法 (新潮新書)

歴史をつかむ技法 (新潮新書)

  • 作者:山本 博文
  • 発売日: 2013/10/17
  • メディア: 新書
 

 

筆者の一貫した考えは、現代とは違う歴史、時代を学ぶことによって、現代を相対化する視点を養うということで、現代の小学校から高校までの詰め込み型日本史教育の問題点を指摘しつつ、日本史を歴史の流れで俯瞰する視座を提供してくれる。いきなり歴史の中身に入らず、「歴史学」とは何かというテーマに紙面の3分の1をさき、歴史との向き合い方への心構えを問いた上で中身にはいるという構成も心憎い。こんな本が歴史の教科書だったら、もっと面白く勉強ができたのにと思う。

 

歴史の本は何冊か読んだが、前提となる知識が本によって異なるので、一概に良し悪しを判断することが難しい。が、引き続き「歴史の流れ」を捉えるという点と「自分が学生の頃に読んでいたらもっと歴史が好きになったのに」と思うような本との出会いがあれば、本ブログで紹介していきたい。

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