Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

人は自由を獲得するために働いている

先週は海外出張だったため、飛行機の中で読むために日経ビジネスAssocieを購入。「今、読むべき本」という特集だったが、それ以上に「働く人の心に効く耳の痛い話」というコラムがとても面白かった。私の勤め先も少ないながらも新卒を採用したのだが、新入社員には是非読んでもらいたい記事だ。ポイントをいくつか紹介したい。

「人は自由を獲得するために働いている」
例えば、新入社員の頃は誰もが例外なく「不自由」な状態にあります。実績も実力もスキルも、人脈も権限もお金もない。「ないない尽くし」で社会にデビューするので、誰もが不自由を感じます。
仕事は選べないし、給料もまだ少ないから食べたいものを食べることも、住みたいところにすむこともできない。

この「人は自由を獲得するために働いている」という考え方にはとても共感できる。
今年で社会人13年目だが、確かに社会人1年目の頃の自分と比較すると、自由度は飛躍的にました。社内外含め仕事の選択の幅は非常に広いし、給料もそれなりなので衣食住に不自由なく、趣味の旅行やゴルフを楽しむにもお金がネックになることはあまりない。仕事を通して積み重ねてきた人との信頼関係のおかげで、自分だけではコントロールが難しいこと対峙しても、多くの助けをえることができる。今の自由のベースとなっているのは、やはり目先の自由に逃げ込むことなく、その都度全力を尽くして仕事に取り組んだ結果と思う。
一方で今の自由度に満足しているかと言えばそんなことはない。特に最近やりたいことに対して時間の自由度が少なく、苦心している。時間の自由をえるために、仕事量を減らすというのも選択肢としてはあるが、先々の自由度が犠牲になりそうなので、もう少しプロアクティヴな形での解決を試みたい。
スティーヴ・ジョブスの「好きを貫く」という仕事観にも共感できるが、新卒の頃から徹頭徹尾「好きを貫く」なんてことは誰にでもできることではない。自分の志向は常に自問しながらも、まずは「自由を獲得するために働く」というほうが新卒にはよいのではないかと思う。

今の若い人は、目先の小さな自由に逃げ込む傾向があるように見えます。例えばニートフリーター、あるいは仕事に対するサボタージュ
でも今、小さな自由に逃げ込んでいたら、将来どんどん不自由な状態に追い込まれます。そうなりたくなければ一生懸命に仕事に向き合い、周囲と信頼を築き上げていくこと。自分の"信頼残高”さえ増えれば自由になれるのです。

「小さな自由に逃げ込んでいたら、将来どんどん不自由な状態に追い込まれます」、という言葉も強く共感できる。日本企業は基本的には横並びなので、30代半ばになってもそれほど大きな差はつかないが、外資系企業で30代半ばともなると、同じ年でも天と地ほどの差がでる。今よりちょっとよい給料という目先の自由を求めて、転職を繰り返し、結果として不自由を強いられている人は沢山いるので、新卒の方は注意したほうがよい。


また、「自分の"信頼残高”さえ増えれば自由になれるのです」という言葉も非常に正しいと思う。まぁ、これについては私が色々言うよりも、下記の本田宗一郎の言葉をそのまま読んだ方が勉強になるので、以下ご参考まで。

俺の考え (新潮文庫)

俺の考え (新潮文庫)

だから信用というものは、正直さがあくまで土台になっているといえる。・・・<中略>
やはり長時間かけて世間が下してくれた勤務評定なのである。それはいいかえれば、社会という銀行にあずけた預金みたいなものである。わずかな行いでも、一つ一つ積み重ねていってはじめて築きあげられるものであり、その代り一定の線まで築きあげれば、その利息も決して少なくはなくなってくる。そして将来は、その利息が利息を生んでくるというようになってくるのである。
『俺の考え』 〜ウサギと企業とお稲荷さん P.32〜

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