ktdiskのブログ

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「権限委譲」を否定するナイーブさ

権限委譲、リーダーシップ、チーム - naoyaのはてなダイアリー
リーダーの役割は、組織が向かう目的を決めること、そしてその目的の実現に向けて、それぞれの組織の構成員が自分の責任にとらわれず自発的に行動をとるように、仕組みや全体の雰囲気を作ること、というのが言いたかったことなんではないかと解釈。別にそれそのものはあまり否定するものではないし、正しいことを言っているのではないかと思う。


私自身、2万人規模の大きな組織の一員だったこともあれば、60名程のこじんまりした会社の一員だったこともある。大きな組織ほど、「これは自分の仕事ではありません」という奴ばかりで、それぞれが「これが私の仕事」というのを足して合わせても、全体の目的を達成するための半分もカバーできなくて穴だらけ、なんてクソみたいな状況に陥りがちで、「権限」があればこいつら全員クビにしてやるのに、と思ったことは数知れない。「私の仕事はここまで」とか、「これをやると他に大事なことができなくなる」とか聞く度に「あなたの一番の仕事は、自分の仕事と他人の仕事の間に線をひくことじゃないですか?」という言葉をぐっと飲み込む(たまにこぼれるでるが)。


また、大きな組織程、人事のレポートライン上「上司」であることや、人事権を発動できる「部下」をなるべく沢山持つことに情熱を注ぐ人が多く、「上司」と「部下」って区分けは小さな組織よりも重視されることが多いのも事実。「部下の数が減った(または、部下がいなくなった)からモチベーションが下がる」とかいうような話しを聞くと「変わった考え方する人だなぁ」とか思う。「自分のダイレクト・レポートが少ないから、私は大きな仕事ができない」とか聞く度に、「問題は『部下』の少なさじゃなくて『器』の小ささでしょう」という言葉をぐっと飲み込む(大人なのでこれはさすがにこぼれでない)。


なんで、id:naoyaさんの言わんとしていること、理想としていることはなんとなくわかる。だけど、そういった大組織の力学にモノを申したり、小さなプロジェクトの活力の素晴らしさを強調するのに、「組織における上下関係」と「権限の付与」という考え方そのものを否定する、という論理の組み立てが私にはよくわからない上下関係や権限があったって、リーダーは目的を決められるし、その目的実現に向けた自立的な貢献を「部下」に促すことはできる。
また、「権限」に必ずくっついてくる「責任」に言及をせず、「上下関係」と「権限」だけで語っているのでわかりにくくなっているのだと思う。「権限」っていうのは「責任」と共に委譲されるもので、どの「責任」と「権限」をどういう風に配分するかを決めるのもリーダーの役割と思う。自発的に何かの「責任」を負う人がいても、そこに「権限」がなければ何もできない。水担当は、オフィスに水をある程度備蓄しておき、水の調達に個々人のリソースが過度にとられないようにするという「責任」と共に組織のお金を使い水を調達するという「権限」をえる。別に水担当が自発的にその役割をかってでようが、誰かに水担当を任命されようが、水担当は組織のお金で水を調達する「権限」をえることに変わりはないし、お金の使途を決めることができる人から「権限」を「委譲」されていることにもかわりはないじゃないかと思う。
なので、「自分の『責任』や『権限』に部下がとらわれすぎないようにリーダーシップを発揮せよ!」ならわかるが、「目的に向けてメンバーが自分がなすべきことを自律的に考えるのが理想だから、『上下関係』や『権限』なんてくそくらえだ!」というのはよくわからない。

相手と自分の間には明確な上下関係があって、意志決定権限・リソース・器、なんでもいいのだけど自分のほうが全部あるいはたくさん持っていて、その中の一部を相手に渡す・・・。そういう考え方が無自覚にも潜んでいる。

いや、無自覚ではなく、誰しもが自覚的にやっていることだと思う。あなただって組織に属するなら誰かから「責任」と「権限」をあたられているのではないかと思うし、そこに自覚がなければ、それは問題だと思う。


私の勤めている会社はかなりフラットな会社で、役職とかで誰も呼ばないし、オープンに色々モノを申せるし、各従業員がいつでも、誰にでも、何回でも金銭的なAwardの授与することができ*1、私はとても働きやすく、いい会社だと思っている。でも、組織における「上下関係」や「責任と権限」というものは存在するし、それなくして組織が回ることは私には想像できない。組織の大きい小さいに関わらず、適切に「責任」と「権限」が配分され、かつ組織の構成員が今手元にある「責任」にとらわれすぎないことが大事なんであり、それを実現するために「上下関係」を否定する必要は別にない。


冒頭にふれた通り、きっと言いたかったことは、「組織の上下関係」や「権限」の否定ではなく、個々人が目的に向けて自発的に動くようにするのはリーダーの大事な役割であるってことだったんだと思う。なので、言いたかったそのものを大きく否定するわけではない。ただ、感銘を受けた多くの若者がいるみたいだが、記事中のナイーブな論理の組み立てでは、組織の上にいるおじさんやおばさんには通用せず、現実の世界に変化は起こせないと思う。部下の数で仕事のやりがいを測ったり、自分の役割を自分自身で規定してしまう人に内在するロジックを「わけわかんねー」ではなく、その人たちが何に縛られているのか理解しないと現実の世界に変化は起こせない。いい話しであるがゆえに、変に「わかものの勝手な解釈」とならないように願いたい。

*1:最終的には、Awardを受ける人の上司が承認をしなければならない

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