ktdiskのブログ

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『日経ビジネス3月28日号 311 企業がすべきこと』日経ビジネスへの期待

今週の日経ビジネスは「311 企業がすべきこと」という特集でなかなか面白かった。冒頭で「復興に貢献する使命と決意」というタイトルで編集長の寺山さんの決意表明が掲載されており、非常に力のはいった文章で読み応えがあった。

誰が未曾有の難題に挑むのか。国難に立ち向かうのか。その主人公は、震災の現場で働く皆様であり、被災からの復興を目指す多くの方々であり、経営や実務のプロである読者の方々であり、読者の方々が働いている企業や自治体などの組織にほかならない。私たちはそう信じています。・・・<中略>
生産を立て直し、物流網を作り直し、省エネルギー環境対策を徹底追及し、新しいマネジメントのあり方を模索していく。その困難な営み一つひとつに資する情報をお届けし、再建への着実な歩みに寄与していくことが、日経ビジネスに与えられた使命だと認識を新たにしています。
日経ビジネス 2011年3月28日号』 P.1

3月21日号も震災特集だった。通常何ヶ月も取材をした上で特集記事を組む日経ビジネスが震災発生の2週間で震災復興の特集を2本も掲載しているところに本誌の力の入れ具合がうかがえる。


少し内容にもふれる。冒頭は日本マクドナルドのCEOの原田さん。

今回の震災で私はまず、被害状況を知るために情報を整理させました。「ピープル=P(人的被害の状況)」、「ソーシャル=S(社会的責任の状況)」、「ビジネス=B(事業の状況)」の視点から、全国各地がどのようなダメージを受けたか、「赤(甚大な被害)」「黄(危機)」「緑(問題なし)と色分けさせたのです。
日経ビジネス 2011年3月28日号』 P.9

全国津々浦々に展開しているマクドナルドが震災の被害状況を把握するのはもちろん容易ではない。それを上記のようなシンプルな形で中央に情報を集めようと即座に意思決定できるところは流石。言われてみれば当たり前なのだが、自分や家族の身に危険を感じるようなあの状況において、ぱっとそういう意思決定ができるところが、プロの経営者なんだと思った。刻々と変化するP、S、Bの状況に応じて経営資源の配分を見直すとか、P、S、Bは別々の責任者をアサインする、など仕組みと論理でマネージするという原田さんのスタイルがすけてきて参考になるし、また面白い。ただ、震災を受けて、食の供給の細る被災地にいかに食料を提供するかという外食産業の社会的使命みたいな視点がなかった(単に紙面上とりあげられなかったのかもしれないが)点に、これでいいのかしら、と少し疑問をおぼえた。


一方で「食」のインフラとしての使命を果たす上で、切れた供給の鎖を如何に早期に修復するかというテーマを全国的に取り組んだのがローソン。全国で品薄になったおにぎりを東北地方に如何に供給していくかが生々しい臨場感と共に語られており、とても読み応えがあった。
店舗毎の被害状況、おにぎりの生産設備の稼働状況が確認され、設備の稼働と物流を復活させるために燃油がボトルネックであることを徐々に明らかになる。東北地方でおにぎりを供給するために全国レベルで燃油を東北に融通する企業単体としての努力、結束により震災発生から1週間で1店舗あたり100個のおにぎりが各店舗に供給されることになる。京都府内の加盟店オーナーが保有するタンクローリーを提供し、被災地に軽油を届けるくだりがあるのだが、全国で一丸となって協力する様がありありと浮かんでくる。たったの2ページなのだが1つのドキュメンタリー番組のようで読み物としても秀逸。


次に新潟中越沖地震被災した自動車部品メーカーのリケン会長の小泉さん。4年前に被災者として多くの企業からの支援を受けたという視点が他の方とは異なる。新潟中越沖地震の際には取引先企業30社から延べ1万人以上の方が復旧支援にかけつけてくれ、3週間で通常モードに戻すという驚異的なスピードを復旧を遂げた。その際のことを振り返っての小泉さんの言葉がふるってる。

自分たちの意欲だけでは、あそこまでのバカ力はでなかった。・・・<中略>最初は単にありがたいという感覚だけなんですが、次第にこの人たちに応えなくてはいけないというモチベーションに変わっていきます。
日経ビジネス 2011年3月28日号』P.14

単に困っているところを助けるというだけでなく、その支援を通して、平常時よりさらに強い被災者の方の力を引き出す、そんなことが大きな被災を免れた東京都民としてできたらよいと思うし、他国から多大な支援を受けている現状に対し、その恩義に日本国民として応えないといけないという力もわいてきた。


上記のような経営者へのインタビュー記事の他に「電力不足長期化 復興のネックに」、「東電を待つ次なる危機」というような特集記事が続くのだが、こちらのほうは既に新聞やネットで取り上げられている内容が多く、今ひとつ。毎日新しい情報がわっと溢れているのでニュース性に欠くのは、まぁ仕方がない。日経ビジネスの強みは、その看板で各社の経営陣に会えることだと思うので、災害対策、復興支援という切り口でどんどんインタビューをして、有用な情報を提供して欲しいと願う。もちろん、多くの会社はインタビューどころではないが、「自社の対応・ノウハウを全国レベルで共有するのも日本復興のためには必要なことです」みたいな感じで切り込んで欲しい。

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