Thoughts and Notes from CA

アメリカ東海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

リアルタイムで人とつながるということ Twitterの力

Twitterを使用しはじめてかれこれ半年ほど経つ。ブログ同様つぶやきの頻度は低いものの情報収集、発信のツールとして重宝している。先週の大震災の際になかなか得がたい経験をし、「リアルタイムで人とつながる」というTwitterの力を実感することがあったので、共有させて頂きたい。

今日の通信手段はTwitter

3月11日(金)に大きな地震があったのは皆さんご存知の通り。私はオフィス(@恵比寿)で会議中のところを地震に見舞われたが、幸いにして怪我などはしなかった。揺れがおさまった後にウェブで情報を確認したところ東北地方で巨大な地震があったとのこと。
まずは、家族の安否の確認をと、電話やSMSで妻と連絡しようとするも、両方とも全くつながらない。直感的に「今日は固定電話も、携帯電話も通信手段としては機能しないな」と感じた。仕方ないので、GMailを見てみると問題なく使えたので、まずは家族に安否確認のメールを送信。そして、メール発信後にTwitterを見ると、地震後につぶやかれている妻のツイートを発見し、妻の無事を確認。私も無事であることをTwitterで連絡し、その後も保育園、幼稚園にいた子供たちの無事をTwitter経由で連絡してもらうことができた。その時点で一番カタい通信手段だったので、「今日の家族との連絡はTwitterを使おう」と決めた。

自宅まで18kmを歩いて帰ることに決定

電車が動かないということで、仕方なく余震が続く中仕事をしたが(これは完全に見通しを誤ったが・・・)、JRはその日は復旧できないとギブアップ。覚悟を決めてうちまで歩いていくことに。とは言っても、恵比寿から自宅の三鷹まで歩いて帰るなんてことは想像をしたこともない。どうやって帰ればいいのか、どのくらいかかるかなど検討がつかないので、Googleに聞いてみることに。Google Mapで調べてみると家までは約18kmほどで、時間としては3時間30分以上はかかるとのこと(Google Mapが徒歩の時間まで算出してくれることを初めて知った)。4時間であれば歩けないこともない。海外旅行に行けば、一日中街の中をぷらぷら歩くなんてことはよくあることなので、まぁ何とかなるかと楽観的に考えることにした。オフィスのエレベーターはもちろん動かないので階段を降りることからスタート。

人とのつながりで見えた家までの道

歩いて帰る旨を妻に連絡しないといけないので、Twitterで「歩いて帰ってみます」とつぶやくと、「自転車貸すから必要ならDM頂戴」と2分後に友人から早速の返信。15分後にはTwitter経由で妻から帰宅ルートと共に途中で休憩場所や食事を提供してくれる友人宅の情報が提供された。その後も続々と応援のつぶやきや住所を記載したDMがよせられた。初めは見当もつかなく真っ暗だった自宅までの道のりが、Twitterによって寄せられる中継ポイントの情報と私を支援・応援してくれる人とのつながりによって、どんどん明るく照らされていく感覚を覚えた。歩き初めて1時間もたたないうちに必要な情報がほぼ全てそろえることができ、手元には充分に充電されているiPhone「あぁ、今夜はどうやら無事に帰れそうだな」と根拠なんてないが、強い安心感を覚えた。

Twitter中継で進捗報告

家族の安全がとりあえず確認できているので、あとは粛々と歩くのみ。永福町、高井戸あたりのチェックポイントを目指し黙々と歩く私。ただ歩いていてもつまらないので、途中経過や感じたことをTwitterで中継しながら進むことに。15分くらいに目に止まったり、感じたことをつぶやけば、ネットの先で私のことを心配してくれている人への安否確認にもなるし、ゴール、各中継ポイントで待ってくれている方への進捗報告にもなる。以下中継の抜粋。

手が寒かったのと人の流れがあるので、全て感じたことをつぶやくことはできなかったが*1、中継をすることで、ただひたすら歩くという苦行が、得がたい経験を観察するという学びに変わり、当初思っていたよりも道中は短く感じた。

中継地点到着、そしてゴール

そんなこんなで、高井戸の知人宅になんとか到着し、おにぎりと暖かいお味噌汁をご馳走になった上に、自転車を借りることができた。恵比寿を出発してから実に3時間10分。革靴で歩いたので足に痛みとしびれをかなり感じていたころで、本当に助かった。
自転車を手にしてからは正に羽が生えたような気分。あまりに軽快なので立ちこぎで全速力で走ったところ、あっという間にばててしまい、調子に乗ってはいけないと猛省することに。その様子も引き続き下記のように中継。

自転車で走りはじめて30分、恵比寿を出発しておよそ4時間10分して、ようやく家にたどり着くことができた。もちろん、到着したことも下記の通り報告。

今回の経験からえた学び

多くの方の支援のもと、上記のような得がたい経験をできたが、そこからえた学びをいくつか共有したい。

家族との連絡手段に冗長性を持たせることの重要性

平たく言えば、連絡手段をいっぱい持っておくということだが、この重要性を今回は実感した。今回はたまたまTwitterで連絡をとることができたが、Twitterのサーバーだっていつ落ちるとも限らない。重要なのはいくつも連絡チャネルを持ち、どこかでつなげるようにすることだと思う。なお、これを機に私はSkypeとTangoを妻と私のiPhoneにセットし、連絡がとれるようにした。

ウェブの持つ「個のエンパワーメント」という特性

ウェブの持つ「個のエンパワーメント」という性質は当ブログの一つのテーマであるが、今回の件ほどそれを実感したことはなかった。連絡手段を冗長化することも容易だし、目的地と現在地の把握も容易にできる。災害時に我が身一つであっても、ウェブとつながっているだけで、できることの幅が圧倒的に広がる。その恩恵に授かるべくウェブへのアクセス手段をいかなる時も確保することは非常に重要だ。

携帯電話よりスマートフォン

そして、そのウェブとの親和性という点で携帯電話とスマートフォンを比較すると、スマートフォンにはるかに軍配があがる。何万人という人が今回の災害で私と同様に何時間も歩くことになったと思うが、スマートフォン組と携帯組でその困難さがかなり違っただろう。また、パソコンからの充電も容易であるという点も見逃せない。iPhoneを持っている人は充電を満タンにして出発したが、携帯電話の人は出発までに友人や家族と連絡をとろうとし、充電に不安を残したまま出発をしていた。言うまでもないが電源がはいってなんぼである。


最後に、支援、応援、協力の申し出を頂いた方にこの場を借りて改めてお礼をいいたいと思います。私の上記のようなくだらないつぶやきに対して暖かい応援のつぶやきを多く頂き、それが力になったのは紛れもない事実。本当にありがとうございました。同じ状況に陥る可能性も充分にあると思いますので、その際はよろしくお願い致します。

*1:あらためて見返すとあまり観察になっていない・・・。「トイレ使って下さい」という手書きの張り紙をしている飲食店のことや、夜遅くまで開放して休憩所を提供している公民館のことや、iPhoneを持っている私に道を尋ねる人のこととか、もっとつぶやくべきことがあったな

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