ktdiskのブログ

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日本とインドのシステムインテグレータの決定的な違いと日本の行く末

前回のエントリーで日本とインドのシステムインテグレータは非常に似通っているという話をしたが、今回は決定的に違う点を1点指摘したい。既にぶくまのコメントでも頂いているが、その違いは使用言語、もっと俗っぽいいい方をすれば英語力だ。インドのシステムインテグレータの規模は10万人程度と紹介したが、10万人全てが例外なく英語を話し、全てのプロジェクトが英語で進行する、これは日本のシステムインテグレータとの大きな違いだ。


私のインド人の同僚曰く、インドにはヒンディー語と英語という2つの公用語があるが、ビジネスの世界では英語が公用語となっている。よって、TCSやWiproのような巨大システムインテグレータに勤める人の中には、英語ができないどころか、英語が苦手という人は一人もいなく、プロジェクトが英語以外(ヒンディー語も含め)の言語で行われることもまずない


この言語力から派生して、日本とインドのシステムインテグレータの海外売上高比率は大きく異なる。下記の図はTCSのIR資料からの抜粋であるが、ご覧のとおりインドからのビジネスは全体の10%以下で、北米からの売上げが多くををしめる。

一方で日本のシステムインテグレータは、海外売上高が10%に満たないため、国内と海外の比率を開示していないところが殆ど。自国以外への展開状況は日本とインドのシステムインテグレータはまさに間逆をいっている。


似通ったビジネスモデルで、かたや現地語の日本語、かたや世界共通語の英語を使っているというのが現状。短期的には、日本とインドのシステムインテグレータは、日本市場と世界市場と別々のマーケットを扱っているのでバッティングしないと言えなくもないが、長期的には地力の差が大きな形でつくではないか。日本のシステムインテグレータが、ソフトやハードのベンダーに「おたくは日本語の資料が充実していない」と不平を言っている間も、インドのシステムインテグレータは充実した英語の資料を読み、粛々と仕事を進めていくのだ。外資系ソフトウェア企業に勤める私としても、短期的なビジネスを取得するためには、各種文書の日本語化を進めていかなければならないのだが、長い目で見ると手厚い翻訳サービスというのはある意味国力を弱めるのではないかと、悩ましさを覚える。


今から英語力でインドに追い付くのは容易ではないが、インドにも隙はある。というのも、メールでやりとりしている分には彼らは限りなくネイティヴなのだが、話してみると「これで英語が話せると言えるのか・・・」と思うくらい彼らのインドなまりの英語はわかりにくい。アメリカ人ですらたまにわからず、インド人との会議の最後にこそっと「次回は英語で会議をやりたいな・・・」などと言うシーンもしばしばインドはもはや英語を話す人が世界で最も多い国となってしまったので、彼らが発音を直すことは日本人が英語を習得するより多分難しい。学校の英語でフォニックスなどを導入して、日本人がきちんとした発音ができるようになれば、まだ挽回の余地は十分にある。


英語力の話は、日本のシステムインテグレータに勤める人にとって、突かれてあまり気分の良い話ではないかもしれない。でも、10年後、20年後の業界のあり方や行く末を考えるに割けては通れないトピックであることに間違いはない。限られた日本のマーケットの中で言語を参入障壁にしてい生きていく道を選択するのか、グローバルなマーケットで堂々と海外の会社と競合していく道を選択するのか、どちらが本当に進むべき道なのだろうか。私はどうしても前者で明るい20年後がイメージできない。本ブログは、30代のシステムインテグレータ勤務の方が結構多いのではないかと勝手に推察するが、是非意見を聞いてみたい。

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