ktdiskのブログ

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大変だけれども、不幸ではない、何故ならそれが好きだから

少し前の放送になるが、2008/8/26の『NHKプロフェッショナル仕事の流儀』に強い感銘をうけた。その回の主人公は科学者の小池康博。プラスチック製の光ファイバーの第一人者。ガラス製の光ファイバーが主流になる中、黙々とプラスチック製の光ファイバーの研究に打ち込むこと14年間。何度もあきらめそうになったり、他の研究分野への転身のオファーがあったりする中、一人孤独に研究を続け、遂に解に辿り着く。


その14年間の苦闘を振り返って、「14年間続けてこれた理由は何ですか?」という問いに対して答えたのが下記の言葉。

あっという間の14年でもありましたけれども、今から思い出すと1年1年くっきりと覚えていますね。
ずっと続けられたというのは、たぶんそれが好きだったから。だからこだわれたんじゃないかと思うんですね。それをやっているとき、じゃ、自分は大変だったかといったら、それは大変でしたと答えるけれども、じゃ、不幸だったかというと、そうではなかったような気がします。必ずしも逆境の時が不幸かっていわれると、きっとそうじゃないんですよ。

14年間出口を見えないなかを彷徨われた苦労の大きさは私などは全く想像できない。仕事で出口の見えない中を彷徨うことはままあるが、精々3ヶ月、どんなに長くても1年程度だ。そういった凡人には想像を絶する長い期間、苦闘を続け、その上で「大変だったけれども、不幸ではなかった、何故ならそれが好きだったから」と言ってのける姿があまりに格好良く、尊敬の念、そして強い羨ましさを覚えた。
英語で「絶対にギブアップしない執拗さ」のことを"Tenaciousness"というと、梅田さんの『シリコンバレー精神』で紹介されていたが、小池氏こそ正に"Tenaciousness"だと思った。

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

もう一つ「テネーシャスネス」(tenaciousness)という言葉がある。「もうとうに諦めたかと思ったら、アイツだけやり続けていた。変な奴だなぁ。本当にあいつのテネーシャスネスには驚くよ」というような使い方をするが、「絶対にギブアップしない執拗さ」を意味する言葉だ。
シリコンバレー精神』 〜文庫のための長いあとがき P.278〜


そして、締めの「小池さんにとってのプロフェッショナルとは?」という問いに対する答えがまた格好良い。

誠実に一歩一歩未来を創っていく。未来をただ予測するのではなく、未来を創っていける人がプロフェッショナルだと思います。

自ら体現した人だからこそ一層格好良い。もう付け足す言葉なし。オリンピックの北島康介とかを見て「自分も頑張ろう」と思った子供は多いと思うが、30過ぎたおっさんながらも、恥ずかしながら子供のよう気持ちで、「自分も誠実に一歩一歩頑張ろう」、と思ってしまった・・・。


ちなみに今週はアンコール放送だが、以前の放送を見ながら、娘のいる私はかみさんと一緒につい感情移入してしまい、これまた恥ずかしながら鼻水と涙を垂れ流してしまった(最近、年のせいか涙腺がゆるめ)。そういったこと抜きにしても、プロフェッショナルとしての田村さんの姿は感動的。前回見逃した方、今回はお見逃し無く。

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