Thoughts and Notes from CA

アメリカ西海岸の片隅から、所々の雑感、日々のあれこれ、読んだ本の感想を綴るブログ。

著作権のきれているはずの「ねずみ」に対する雑感

そろそろ3つになる娘がいる私。昨日は炎天下の中、家族サービスでディズニーランドにでかけ、肉体的な疲労が色濃いので、今日は軽いタッチで表題のことについて思ったことを書いてみたい。


ディズニーランドというのは、そもそも家族連れで賑わい、おとうさんがここぞとばかりに家族サービスに勤しみ、敷地内に解き放たれた20〜30匹のミッキーマウスと子供が楽しげに記念撮影などをする場というイメージがあったのだが、3〜4年行っていなかったら大分様相が変わっておりびっくりした。


まず、驚いたのが、眉間にしわをよせて頭を抱えている人が多いこと。人気アトラクションに少ない待ち時間で入ろうと、開演直後に人をかきわけダッシュをしたり、ファストパスをどのように取得するかについての戦略を討議したり、園内にちりぢりになったグループが携帯でリアルタイムで情報を共有しながら、どのアトラクションにはいるのか戦術を練ったり、まぁ必死な形相の人の多いことには驚かされた。手段の目的化というか、人気アトラクションに効率的にはいることが目的化しており、私のような数年に一度しか登園しない人間には、少し敷居が高くなっている印象を受けた。


次に、驚いたのが、ミッキーマウスをはじめとしてディズニーのキャラクターがいないこと。7時間以上いたにもかかわらず、結局ミッキー、ミニィ、ドナルドなどの主要キャラクターには会えずじまい。昔はそこかしこにいて、写真を一緒にとってくれたやに記憶しているのだが、みやげもの屋と駐車場の看板以外にミッキーマウスをみなかったことには非常に驚いた。ほんとにここはディズニーランドか。妻がミッキーの家に行けば会えるのではないかというので言ってみるとなんと80分待ち。まだ2つの娘に80分もの時間長蛇の列で待たせるのは忍びなく断念。ミッキーマウス法で利権を囲いながら、さらにお金をはらって、7時間もの時間をかけている顧客に対しても出し惜しみをするウォルトディズニー社の姿勢には一人の子を持つ親として疑問を覚える。


最後に、眉間にしわをよせている人に加え、ディズニーキャラクターの追いかけを真剣でしている女性の多いことにも驚かされた。家族で手をつないで歩いている前方から黒山の人だかりがあらわれ、背伸びをしてその中心をみるとスティッチを発見。娘はスティッチ好きなので握手をしたり、一緒に写真でもとれるかと思ったら、スティッチそのものの写真をとるべく人だかりに先回りしようと真顔で激走する女性と危うく激突しそうになったのを何とか回避。娘をだっこしてスティッチに近づこうとすると、今度は周囲を取り囲む係員に阻まれ、写真を一緒に撮るどころか、1メートル圏内に近づけない有様。本当にやれやれといった感じ。


園内でのディズニーキャラクターの希少性を高め、年間パスポートを購入するようなロイヤルティの高い顧客に何度も足を運んでもらおうとする施策そのものは、まぁ営利を追求する企業としてはありだとは思う。でも、そういう人しか、握手をしたり写真をとれないっていうのは、ミッキーマウスというキャラクターを考案したウォルトディズニー本人の真意にそっているのだろうか。ミッキーマウスそのものはパブリックなものにし、ウォルトディズニー社のように「自社のミッキーマウス」の希少性を高めるというブランド戦略をとる企業が存在する一方、ごくごく普通の家族が楽しめる「場」を提供する会社も存在するというのが一番良いのではないだろうか。少なくとも私は、いくら娘のためとはいえ、著作権のきれているはずの「ねずみ」と写真を撮るために80分も並ぶのはごめんである。

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