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ktdiskのブログ

読んだ本の感想、所々の雑感、日々のあれこれを綴るブログ。

『文章のみがき方』 伝えたいという書き手の心の静かな炎

『文章のみがき方』を読んだので書評を。

文章のみがき方 (岩波新書)

文章のみがき方 (岩波新書)


天声人語」を13年間担当した朝日新聞の元論説委員辰濃和男による文章論。

ある日ふと、いままで書き写した言葉のうち「文章論」に関するものだけでも整理しておこうという気持ちになり、散らばっていたものを集めはじめました。さまざまな人の言葉を体系づけて、私の感想を書きそえてみようと思い立ったのは、もう五、六年前です。
この本は、さまざまな方々の「文章論」や「作品」を読み、私がそこから学んだことを記したものです。
『文章のみがき方』 〜まえがき P.鄯〜

「文章を書く」プロが、「文章を書く」達人の、「文章を書く」ことに対する金言を集め、それを5〜6年をかけ、整理し、評を加えた末に完成をしたのが本書。本ブログの読者にわかりやすく言えば『ウェブ時代 5つの定理』文章版という感じか。


定期的に自分の考えをまとめ、世に対して文章という形で発信するということが習慣づいて3年近くたつが、あらためて思うのは、自分の考えをシンプルにまとめ、文章という形で表現をするということの難しさ。下記の本書の目次をみると、一口に「文章を書く」といっても、それが如何に多様な側面のある行為であるかがよくわかる。そして、本書を読めば、その1つ1つの奥深さを痛感し、私など「難しさをわかった気になっている程度なのではないか」とさえ思えてくる。

まえがき
I 基本的なことを、いくつか
 1 毎日、書く
 2 書き抜く
 3 繰り返し読む
 4 乱読をたのしむ
 5 歩く
 6 現場感覚を鍛える
 7 小さな発見を重ねる

II さあ、書こう
 1 辞書を手もとにおく
 2 肩の力を抜く
 3 書きたいことを書く
 4 正直に飾りげなく書く
 5 借りものでない言葉で書く
 6 異質なものを結びつける
 7 自慢話は書かない
 8 わかりやすく書く
 9 単純・簡素に書く
 10 具体性を大切にして書く
 11 正確に書く
 12 ゆとりをもつ
 13 抑える

III 推敲する
 1 書き直す
 2 削る
 3 紋切型を避ける
 4 いやな言葉は使わない
 5 比喩の工夫をする
 6 外来語の乱用を避ける
 7 文末に気を配る
 8 流れを大切にする

IV 文章修業のために
 1 落語に学ぶ
 2 土地の言葉を大切にする
 3 感受性を深める
 4 「概念」を壊す
 5 動詞を中心にすえる
 6 低い視線で書く
 7 自分と向き合う
 8 そっけなさを考える
 9 思いの深さを大切にする
 10 渾身の力で取り組む


これだけ多彩なテーマについての文章論を展開しながら、筆者の主義主張は一貫している。

同時に、私がいつもおもうのはいい文章のいちばんの条件は、これをこそ書きたい、これをこそ伝えたいという書き手の心の、静かな炎のようなものだということです。大切なのは、書きたいこと、つたえたいことをはっきり心でつかむことです。そのとき、静かな炎は、必要な言葉を次々にあなたに贈ってくれるでしょう。
『文章のみがき方』 まえがき P.鄱

このことだけはどうしても相手にわかってもらいたい。その一途な思いがあるからこそ、文章に命が吹き込まれるのです。あなたの思い、あなたの考えを間違いなく伝えること、それは文章の基本中の基本です。くどいといわれそうですが、文章というものは、「これだけはどうしても伝えたい」という思いのこもったものでありたい
わかりやすい文章を書くためには、さまざまな文章技術が役に立ちます。が、それを超えて大切なのは「これだけはなんとしてもあなたの胸に刻みたい」という切なる思いです。
『文章のみがき方』 ?〜II さあ、書こう P.85、86〜

「これをこそ伝えたいという書き手の心の静かな炎」、これもまた「文章を書く」ことについての金言の1つ。まぁ、私の場合は、あまり固く力をいれないという趣旨を込めて、ブログのタイトルに”Casual”と銘打ってはいるが、肝に銘じたいと思う。

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