New York Timesの”Senior Executive Leaving Google”という記事を読んだ。ここ2ヶ月でVice Presidentが二人もGoogleを去っており、規模拡大に伴う大企業化、株価上昇の落ち着きが人材流出を招いているとの見解が示されている。
この件について2点程コメントをしたい。
まず、1点目は、別に人材流出がすることそのものはGoogleにとって別に悪いことではないということ。企業は色々な興味関心を持った人の集合体であるわけだから、会社の成長のステージに合わせて去る人もいれば、新しく入ってくる人もいる。優秀な人材を磁石のように吸いつけるという万能感は一時期はあったが、人材市場におけるGoogleバブルに一区切りがついただけとみるくらいが健全だろう。人材流出は必ずおこるもの。各種Retention策の結果、人が去るのは仕方がないと考え、並行して走らせるRecruit策により、去った人以上の人材(人数×能力)をいかに確保するかが重要。New York Timesも去る人だけでなく、どんなSenior Executiveがここ半年くらいでGoogleに入ったのかもあわせて評価して欲しいところ。
2点目は、GoogleからのSenior Executiveの人材流出が始まり、Googleが21世紀の人材輩出企業と呼ばれるかどうかを今後注目すべきということ。GE、P&G、IBMなどの世に人材輩出企業と呼ばれる会社は多くある。それらの人材輩出企業の卒業生が、まだ何者にもなっていない会社に転身し、世の中に新しい風を吹き込むというのは、企業主体の資本主義経済における一つのエコサイクルだと思う。インターネット経済の中心となり革命の震源地となったGoogleのExecutiveが、その震源地に留まることなく、地震の余波が届いていないところに赴き、新たな震源地を作ることができるかどうかは非常に興味があるところ。そういう点で、エンジニアのVice PresidentであるDouglas MerrillがEMIに移るというのは非常に興味深い。
人材が流出したからGoogleはもう元気がなくダメだというのではなく、流出ではなく輩出された人材により、さらに社会がよくなるかどうかを注目していきたい。