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ktdiskのブログ

読んだ本の感想、所々の雑感、日々のあれこれを綴るブログ。

Mass Collaborationは万能か?

WIKINOMICSを遅ればせながら、英語の勉強も兼ねて原書で読み始めた。

Wikinomics: How Mass Collaboration Changes Everything

Wikinomics: How Mass Collaboration Changes Everything


まだ、全部読んだわけではないので、わからないが本書の要点は下記のセンテンスに集約されると推察できる。

The growing accessibility of information technologies puts the tools required to collaborate, create value, and compete at everybody’s fingertips. This liberates people to participate in innovation and wealth creation within every sector of the economy. Millions of people already join forces in self-organized collaborations that produce dynamic new goods and services that rival those of the world’s largest and best-financed enterprises. This new mode of innovation and value creation is called “peer production,” or peering―which describes what happens when masses of people and firms collaborate openly to drive innovation and growth in their industries.1
情報技術が普及することにより、誰の手にもコレボレーションし、価値を創出し、競争をするためのツールが行き渡った。それにより、あらゆる経済活動の場において人々はイノベーションや価値創造に参加することが可能となった。数百万人の人々がすでに自律的に組織化されたコラボレーションに参加をし、新しい物品やサービスを創造し、世界で最も巨大で、巨額の資本が投下された企業と競合をしている。この新しい類のイノベーション、価値創造は”ピア・プロダクション”、または”ピアリング”と呼ばれ、不特定多数の個人や企業が組織の垣根にとらわれず協働し、イノベーションや成長を推進することを意味する
『WIKINOMICS』 〜1.WIKINOMICS P.11〜

第1章では、既存の所属企業や所属組織という垣根にとらわれず、全世界のTalent Poolへのアクセスを高め、イノベーションと価値創造を推進することの重要性が強く強調される。
企業の幹部には、不特定多数の知識・知見にアクセスできるという可能性を有効活用し、競争優位を築くことを求め、特定の個人、及び個人事業主には、従来は巨大組織に属する者のみが手にすることができた生産手段・能力を保持できたことの恩恵に十分あずかることを強く求めている。


上記の問題提起やマス・コラボレーションの重要性に疑いを持つものではないが、ただ少し盲目的にこの新しい流れを賞賛しすぎ、下記のように従来の階層型組織が数年のうちに駆逐されるというように結論を急ぎすぎていることが気になる。

And in the years to come, this new mode of peer production will displace traditional corporation hierarchies as the key engine of wealth creation in the economy.
そして、この数年のうちに、この新しいピア・プロダクションという流れは、経済における富の形成のエンジンとして伝統的な企業における階層組織を駆逐する。
『WIKINOMICS』 〜1.WIKINOMICS P.18〜

情報技術の進歩によって、マス・コラボレーションの適用領域が今まで以上に増え、経済活動を営むものに、階層型組織の活用も含めて、より広範な選択肢が与えられる、という経営手法のバリエーションが1つ増える程度にとらえるのが私には妥当に思える。
コングロマリットという経営手法が1980年代にもてはやされたが、GEのように依然としてコングロマリットを維持し、その恩恵にあずかりながら超優良企業であり続けているケースもあれば、金融という特定の業態の中で企業連合を形成することで効果を発揮しているケースもあれば、事業選択と集中に回帰しているケースもある。あるひとつの経営手法が盲目的に正しいとみることそのものが間違いの始まりであり、一番大事なのは自社の特性・能力・経営資源などの制約にあわせて、どの経営スタイルが効果的かを持続的に考え続けることのように思う。

今、最も読んでおくべき本であるとは思うが、盲目的に本書の中身を受け入れるのではなく、上記のような批判精神をもって読み進めていきたい。

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